尿漏れの種類
尿漏れ ― 尿を思いがけず漏らしてしまうこと ― は、何百万人ものアメリカ人、その多くは女性ですが、多くの人を悩ませています。
腹圧性尿失禁
このタイプの尿漏れは、骨盤底筋やその周辺組織が弱まったことが原因で尿が漏れ出てしまうというものです。腹圧性尿失禁は膀胱への圧力が大きくなった時に起こる可能性があります。膀胱への圧力が大きくなる例としては、運動や笑うこと、くしゃみ、咳などがあります。
妊娠および出産は女性の骨盤底筋が伸び、弱まる原因となる可能性があります。腹圧性尿失禁を誘発する他の要因には、肥満、特定の薬の服用などがあります。男性の場合は、前立腺の手術もその要因となる可能性があります。
切迫性尿失禁
これは過活動膀胱とも呼ばれ、尿意を感じてから出るまでが早く、トイレに間に合わないこともあるというものです。
過活動膀胱の原因には以下のようなものがあります。
・膀胱の神経へのダメージ
・他の神経系へのダメージ
・筋肉へのダメージ
多発性硬化症やパーキンソン病、糖尿病、脳卒中のような病気は神経にも害を及ぼす可能性があるので、尿漏れにつながることがあります。感染症や膀胱結石などの膀胱の病気および特定の薬の服用により切迫性尿失禁が起こることもあります。
溢流性尿失禁
膀胱を空にできず残尿があるなら、それは溢流性尿失禁かもしれません。この場合は、尿が滴るほど漏れ出るおそれがあります。
原因としては、以下の項目が挙げられます。
・膀胱の筋肉が弱まること。
・神経にダメージがあること。
・腫瘍や前立腺肥大など、尿の流れをせき止めるような病気があること。
・便秘であること。
・特定の薬を服用していること。
こうした病気や症状は治療する必要があります。膀胱が空にならないなら、感染症のおそれもありますし、他の病気にかかるおそれもあります。
機能性尿失禁
認知症や関節炎などのような心理的または身体的要因により、トイレに間に合わず尿漏れしてしまうのを機能性尿失禁といいます。
混合型尿失禁
2種類の尿漏れを同時に起こしている状態を混合型尿失禁といいます。多くの女性が腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方を同時に起こしています。
それぞれの尿漏れに対する治療法
ライフスタイルの変化や治療によって、尿漏れの症状は改善することができます。医師が患者に合ったプランを紹介してくれるしてくれるかもしれません。
腹圧性尿失禁の治療
(1)骨盤底筋のエクササイズです。もし子どもを産んだことがあれば、ケーゲル体操をするように言われたことがあるかもしれません。ケーゲル体操は腹圧性尿失禁を防ぐのにも効果があります。いつでもどこでもケーゲル体操をするのが最も良いでしょう。
やり方を説明します。
1.尿の流れを止めるのに使っている筋肉を締めます。
2.締めたまま10秒キープします。
3.10秒休憩します。
4.これを毎日3セットから4セットやります。
注意:ケーゲル体操の方法を学ぶために実際にトイレ中、尿の流れを止めてみてもかまいません。しかし、これを常習化しないようにしましょう。尿の流れを止めることは感染症の原因となります。
(2)注射と手術です。尿道領域を広げる注射が効果的かもしれません。症状がもっとひどい場合は、手術が必要になる可能性があります。ある手術では、少し位置のずれた膀胱を元あった自然な位置に戻すことで膀胱への圧力およびそれにともなう尿漏れを和らげます。また別のある手術では、膀胱を「スリング」で固定し、膀胱が尿を漏らさないように支えます。
切迫性尿失禁の治療
(1)時限排尿と膀胱トレーニングです。まず、トイレでおしっこをする回数と尿漏れする回数を記録して、自己分析をしましょう。パターンを観察した上で、尿漏れしてしまう前に膀胱を空にするプランを考えます。また、膀胱を「再訓練」しても良いでしょう。徐々にトイレに行く間隔を長くしていくのです。ケーゲル体操も効果があるでしょう。
(2)薬の服用、電気刺激、手術です。医師はときどき、過活動な膀胱が収縮するのを阻止する薬を処方することがあります。膀胱の神経を電気刺激することで効果があるケースもあります。手術は深刻なケースのとき行われます。この手術では、膀胱がより多くの尿を保持できるようにします。
溢流性尿失禁の治療
(1)薬の服用と手術です。尿漏れの原因が前立腺肥大にあれば、α遮断薬と呼ばれる薬が助けになるかもしれません。閉じてしまっている箇所があれば、手術が必要になる可能性があります。
(2)カテーテルです。膀胱に残尿がないようにするため、カテーテルを使う人もいます。カテーテルとは、尿道に挿入するプラスチック製のチューブです。医師や看護師がどのように自分で挿入するかを教えてくれるでしょう。
医師に相談しましょう
尿漏れについて話すことに恥ずかしさを覚えるかもしれませんが、話してみる価値はあります。医師は尿漏れの原因をつきとめることができすので、まずは話すところから始めましょう。
医師に率直に話しましょう。単に「膀胱に問題があります。」というだけで良いのです。
医師はいくつか質問をするでしょう。いつから尿漏れが続いているのか、どのくらい症状がひどいか、どのくらい生活に影響が出ているのか、などが聞かれると思います。検査を受けるのを勧められたり、より専門的な医師を紹介されるかもしれません。