カフェイン

症状

カフェインは記憶力を増強する

Physiological Societyの先週の定期会合で発表された研究によれば、カフェインのもたらす効果が高齢者の記憶を増強することへの鍵となるかもしれないそうです。

「コーヒーを一杯飲まないうちには何も始められない、という人がいます。或いはカフェイン含有量の多い飲料がないと続かない、という人もいます。これらの飲料は警戒心と皮質活性を高め、情報処理速度を上げることが研究によって明らかにされています。」主任研究員のMartinVreugdenhil 博士は言います。

実際、カフェインが記憶を増強しているかもしれない過程について、すなわちカフェインが脳の受容体と結びつき、アデノシン神経伝達物質の持つ鎮静効果をブロックすることが今までの研究によって示されています。

脳内のアデノシン濃度は日中に高まり、とりわけ高齢者において高くなっています。アデノシンが受容体A1と呼ばれているものに結びつくと、神経細胞の活動が減少します。一方アデノシンが受容体A2aに結びつくと、活動を活発化させます。

γリズムの増強

The University of Birmingham の研究者らは、ネズミの脳を用いた実験を行った結果、カフェインがγリズムと呼ばれているものを通常状態の三倍に押し上げることを発見しました。

脳内の神経細胞の活動は一定のリズム(周期は40回/秒)の下でシンクロしており、例えば複雑な問題を解決しなければならない場合等にこれが増加すると言われています。

ネズミの海馬をスライスしたものを用い、研究者らはカフェイン(50μmol)が有る場合とない場合でサンプルのγ振動を計測しました。対照試料と比較して、カフェインはこれらのγ振動を332%増加させたことがわかった、と研究者らは言っています。

この効果は受容体A1が選択的にブロックされたことによる、と示唆されています。

こうした結果は、コーヒーを数杯飲んで脳内にカフェインが集中するとγリズムの振幅が大幅に増大し、認知作用に良い効果をもたらす可能性がある、ということを提示しています。

濃度が高すぎると効果は減少する

世界中におけるカフェイン消費量の平均は一日1.5杯ですが、アメリカ合衆国の平均は3.5杯とこれよりも高くなっています。

The University of Bermingham の研究者らは、カフェインの濃度がより高いと効果が多少減ることを発見しました。

更に、Vreugdenhil博士は強いコーヒーを多量摂取することに対して警鐘を鳴らしています。「カフェインによって睡眠に支障が出ていたり、心臓や血流に影響が出ているようであればデカフェを選ぶべきです。また、このようなことを受けて研究者らはカフェインのもたらす良い効果だけを副作用などから切り出そうと努力するべきです。ここが我々の研究において不可欠なステップです。」

関連記事一覧