心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心的外傷後ストレス障害(PTSD)の主な治療法は心理療法や薬物での治療です。

衝撃的な出来事は受け入れることが非常に難しいものですが、自分の気持ちに立ち向かい専門家による治療を求めることが、通常、心的外傷後ストレス障害の唯一の効果的な治療です。

衝撃的な出来事が起きてから何年も経ってから、心的外傷後ストレス障害の治療を成功させることは可能であるため、治療を求めるのに遅すぎるということはありません。

評価が行われる

心的外傷後ストレス障害の治療を始める前に、、個別のニーズに合わせた治療が保証するため、症状の詳細な評価が行われます。

医師は最初に評価を行いますが、詳細な評価を行うため、また、心的外傷後ストレス障害の症状が4週間以上続いている、もしくは症状が重度の場合に治療をするために、精神科医などの精神保健専門家に患者を紹介します。

心的外傷後ストレス障害がある場合、精神保健専門家として精神科医、精神分析医、精神科訪問看護師などの専門家に会うことになるかもしれません。

経過観察

心的外傷後ストレス障害の症状が軽度である場合、または症状が続いているのが4週間以下の場合、経過観察と呼ばれるアプローチが勧められるかもしれません。

経過観察は、症状が悪化するか改善するかについて注意深く監視するものです。この方法が勧められるのは、衝撃的な出来事が起こってから心的外傷後ストレス障害が発現した人の3人に2人が数週間以内に何も治療をしなくても改善しているためです。

経過観察が勧められた場合、経過観察後の診療予約を1ヶ月以内にいれることが勧められます。

心理療法

心的外傷後ストレス障害が治療が必要なものである場合、心理療法が通常はまず勧められます。もし心的外傷後ストレス障害が重度だったりずっと続いているものである場合は、心理療法と薬物治療の組み合わせが勧められるかもしれません。

心理療法とは、通常、情緒障害や、心的外傷後ストレス障害、うつ病、不安障害、強迫性障害などの精神保健上の疾患を治療するために使われる療法の一つです。

治療は、精神保健専門家によって行われ、患者の話を聞いて、障害を取り除くために効果的な方法を考えてくれます。

薬物治療

パロキセチン、セルトラリン、ミルタザピン、アミトリプチリン、フェネルジンなどの抗うつ剤は、成人の心的外傷後ストレス障害を治療するために使われることがあります。

こうした薬剤のうち、パロキセチンとセルトラリンのみが心的外傷後ストレス障害の治療のために特別に認可されたものです。しかしながら、ミルタザピン、アミトリプチリン、フェネルジンも効果があることがわかっているため、認可されるかもしれません。

しかし、こうした薬剤は以下のような状態の場合だけ使われます。

・心的外傷後ストレス障害に焦点を当てた心理療法を選択しなかった場合
・現在進行形でさらなる心的外傷後ストレス障害となる恐れがあるため、心理療法が効果的でない場合(家庭内暴力を受けている場合など)
・心的外傷後ストレス障害に焦点を当てた心理療法を受けたが、あまり効果がなかった、もしくは全く効果がなかった場合
・ひどいうつ病など基礎疾患があり、それが心理療法から利益を得ることに影響を与えている場合

アミトリプチリンやフェネルジンは、精神科医の管理下のみで通常は使われる薬剤です。

うつ病や不安障害、また睡眠障害の症状を和らげるために抗うつ剤は処方されることがあります。しかしながら、通常は18歳以下の人には、専門医が勧めない限り、処方されません。

心的外傷後ストレス障害のための薬剤が効果的な場合、通常、最低でも12ヶ月続けることになり、4週間もしくはそれよりも長い期間で少しずつ薬を止めていくことになります。もし薬剤が症状を緩和させることに効果がない場合は、量を増やすことになるかもしれません。

薬剤を処方する前に、医師は起こり得る副作用を患者に説明しなければなりません。また薬剤を止めていく時に起こる離脱症状についても説明をしなければなりません。

例えば、パロキセチンの一般的な副作用には、気分が悪くなる、目がぼやける、便秘や下痢などがあります。

パロキセチンに関連した離脱症状には、睡眠障害、強烈な夢を見る、不安、イライラなどがあります。薬剤を中止する際、徐々に減らしていく場合は、離脱症状はあまり出ないかもしれません。

子供と若年者

子供や若年者が心的外傷後ストレス障害になった場合、トラウマフォーカスト認知行動療法が通常勧められます。

これは通常、子供の年齢、状況、発達のレベルに合わせて、8-12セッションのコースです。適切な場合は、カウンセリングを行い、家族も治療に参加します。

子供や若年者の心的外傷後ストレス障害の治療では、通常薬物を使った治療は行われません。

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