うつ病の治療はどのように行うのでしょうか

治療方法

うつ病は深刻な病気で、治療法は一つというわけではありません。うつ病による症状は人によって別です。しかし、治療をしたい場合は治療から得ることができるものがあります。

治療はどのように始まるのか

自分がうつ病であると思うのであれば、医師の診断を受けましょう。かかりつけの医師に相談してもよいですし、精神健康の専門医でもよいでしょう。

医師はあなたがどのような感じているのかについて、いくつかの質問をすることから始めます。これはうつ病の症状であるか、または別の精神衛生疾患であるか、それとも身体的原因があるのかどうかを明らかにすることに役立てるために行われます。例えば、血液検査をするように医師が言う場合がありますが、これはうつ病の原因となることがある甲状腺疾患の症状がないか確認するために行われます。

医師がうつ病であると考える場合、最初の治療は以下のような医師が考える治療法にもよります。
・医師は抗うつ剤を処方するかもしれません。抗うつ剤は、感情をコントロールしている脳回路に影響を与える脳内特定の物質を調整することによってうつ病の症状を和らげようとします。
・精神健康専門医に患者を紹介することがあります。心理学者、精神分析医、またはカウンセラーなどです。患者の問題や気持ちを話し合い、それにどう対処すればよいのか考えます。これは心理療法またはトークセラピーと呼ばれます。
・大概において、治療は2種類の治療を組み合わせて行います。

抗うつ剤

抗うつ剤は気分をよくすることに役立ちます。科学者たちは、抗うつ剤が感情をコントロールしている脳回路の動きをもっと効率的にすることでうつ病に効果があると信じています。抗うつ剤の最も一般的なものは、脳内のセロトニン値を増加させることによって作用します。抗うつ剤を処方された場合、効果が現れるまでに2-4週間かかる場合があります。医師は最低でも5-6ヶ月、おそらく1年程度薬剤を服用して欲しいと言うでしょう。

医師は通常、選択的セロトニン再取り込み阻害薬と呼ばれる抗うつ剤から始めます。これは副作用が少ないためです。そうとはいえ、どのような抗うつ剤であれ、以下のような副作用が出る場合もあります。
・吐き気
・神経過敏や睡眠障害
・ドライマウス
・情動不安
・下痢や便秘
・眠気
・めまい、頭痛、視野がかすむ
・勃起を維持できない、オーガズムを感じない等の性機能障害

自分によく効く抗うつ剤を見つけるまでに、数種類の抗うつ剤を試してみる必要があるかもしれません。抗うつ剤を服用し始めてから最初の2-3週間は副作用があるかもしれません。通常、副作用は収まっていきます。数ヶ月経っても症状が良くならない場合、もしくは副作用が耐えられないようであれば、医師に相談しましょう。おそらく他の抗うつ剤を勧められるはずです。しかし、自己判断で抗うつ剤を止めないようにしましょう。そうするともっと色々な問題が起こる場合があります。抗うつ剤を止めるときは、体が再び慣れるように、医師が少しずつ量を減らしていきます。

心理療法

これは、自分の考え、気持ち、感情をより良く理解することを助けてくれる、精神保健専門家とともに話をする方法です。専門家とともに、自分がどうしたらもっと気分良くなることができるのかわかるようにするものです。

心理療法では、なぜ自分がそのように感じるのか、また複雑な感情にどう対処することができるのかわかるようにすることができるものです。これにより、特定のものへの恐れを克服し、自分の感情を対処することには役立たない言動を変えることができるようにする療法です。

心理療法のセッションは定期的に行われます。患者の必要に応じて、週に1-2回ぐらい行われることがあります。セッションは中立的な立場で話を聞き、判断を下すものではなく、秘密は厳守されます。心理療法による効果がでるまでに時間がかかっている間、精神保健専門家は以下のようなことをすることができます。
・思考、感情、行動が、うつ病にどのように影響を与えているのか明らかにする
・ストレスとうまく付き合うための手助けをする
・他の人との付き合い方を改善する方法を教える
・問題の早期兆候を見つけ出し、それに対処する手助けを行う
・自分のためにならない恐れに立ち向かい、克服するための手助けをする

この種類の療法は、患者の病状の深刻さにより、数ヶ月から1年の時間がかかることがあります。しかし、中には数週間で気分が変わる患者もいます。患者とセラピストの間で、心理療法を止めても大丈夫だといえる程に改善した時まで続けます。

自分の感情を共有することが快適だと思えるセラピストに出会うまで、数人のセラピストを試す必要があるかもしれません。

電気けいれん療法

うつ病が非常に深刻な場合、薬剤や心理療法が役立たないことがあり、その場合は医師は電気けいれん療法を勧める場合があります。これは、全身麻酔をかけて眠っている間に、脳に無痛の弱い電流を流し、うつ病の症状を和らげることができる、短いけいれんを起こすという治療法です。

以前は、電気ショック療法と呼ばれていたことがありました。賛否両論があったものですが、今ではうつ病の効果的な治療法の一つとして考えられています。

現在の電気けいれん療法は、最大4週間の間に一連のセッションで治療を行います。外来場合、入院の場合があります。眠りにつくために麻酔がかけられるため、電流もけいれんも感じることはありません。しかし、副作用はいくつかあります。頭痛、吐き気、精神錯乱、見当識障害、記憶喪失などです。副作用は6-7ヶ月続くことがあります。医師が電気けいれん療法を勧めた場合、同意する前に良い面と悪い面について話し合っておきましょう。

他には何ができるでしょうか

治療にはどのようなものが含まれていようとも、医師は自分でできる改善法も提案することと思われます。それには、運動をもっとすること、良い食事を摂ること、体重を減らすことです。こうしたことも気分を良くすることに役立ちます。

そして、睡眠を十分に取ることも重要です。睡眠障害がある場合、医師に知らせましょう。カフェインとアルコールをの摂取を控えることもよいかもしれません。

医師は支援団体に入ることを勧めるかもしれません。同じ病気に悩まされている人たちとコンタクトをとることができます。アドバイスをしてくれるでしょうし、困難な目に遭ったときは分かち合うことができます。

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