非定型うつ病
非定型うつ病は、食欲の増加、体重増加、眠気、過眠、顕著な疲労または衰弱、情緒が周囲の環境に非常に敏感になる、そして、極端に拒絶に対して敏感になるといった、特定の症状を含む、大うつ病、もしくは気分変調性障害の亜類型です。
非定型うつ病とは?
非定型うつ病は、大うつ病、もしくは気分変調性障害の「指定詞」といえるでしょう。非定型うつ病の人は、まず、十代という若年齢でうつ病を経験していることが多いです。
従来型の大うつ病の人は、以下の9の症状のうち、最低5つが当てはまります。
・ほぼ毎日、1日のほとんどの時間、悲しい、もしくは憂鬱な気分である
・以前、楽しかったことが楽しくなくなる
・体重や食欲の大きな変化(1ヵ月以内で、体重の5%の増加もしくは減少する)
・ほとんど毎日、不眠、もしくは、過眠
・他人に気づかれるほど、肉体的に不穏な状態、もしくは、疲れ果てている
・ほとんど毎日、疲弊しているか、活力がない
・ほとんど毎日、絶望感、価値のなさ、もしくは過度の罪悪を感じる
・ほとんど毎日、集中力や意思決定に問題がある
・死や自殺をしようという考え、自殺の計画、もしくは自殺の試みを繰り返す
現在、精神医学の世界では、「持続性抑うつ障害」として知られる、気分変調性障害の場合、憂鬱な気分が大人では、最低2年以上の期間、子どもや若者では1年以上現れるだけではなく、上記に関連する症状が最低2つから4つ現れます。上記の症状が5つ以上ある場合、大うつ病を発症していると診断されます。
非定型うつ病は、名前に反して、頻繁に起こる病気です。これは、うつ病の他の亜類型「メランコリー型」うつ病と対比され、(過眠ではなく)不眠、(食欲の増加ではなく)食欲の喪失、周囲の環境にへの情緒の変化が比較的減少する、そして、楽しさを感じる能力が顕著に低下するという症状があります。
非定型うつ病の症状とは?
メランコリー型うつ病とは異なる、非定型うつ病の主な特徴は、情緒の反応性です。つまり、非定型うつ病の人は、良いことが起こると、気分が向上します。メランコリー型うつ病では、プラスの変化によって気分が変化することは滅多にありません。さらに、気分の反応性が伴うと診断する基準は、以下の症状のうち、最低2つが見られることです。
・寝すぎ(睡眠過剰)
・食欲、体重の増加
・拒絶に対して激しく反応する、もしくは、敏感になる。その結果、社会的、もしくは職業に関する人間関係に問題が起こる。
・圧迫、まひ、もしくは、「のろくなった」という感覚がある
医者が、この症状の身体的な原因を調べるでしょう。そのために、身体検査や、甲状腺機能低下症のような問題を調べる検査が行われるでしょう。甲状腺機能低下症の場合、甲状腺ホルモンの量が減少することで、気分の落ち込みや体重の増加といった症状が引き起こされる場合があります。
非定型うつ病の原因は?
うつ病は、情緒と脳の他の領域との伝達をコントロールする脳の回路の機能が低下することで起こると考えられています。この回路に含まれる神経細胞は、ドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンといった、神経伝達物質と呼ばれる脳内化学物質を通して、信号を伝達します。抗うつ薬は、このような化学物質を「ひねり(微調整し)」、それにより、情緒に関連する脳の回路の機能を向上させます。
うつ病の正確な原因ははっきりしていませんが、以下のように、うつ病のリスクとなる要因があります。
・家族にうつ病の人、もしくはうつ病を患ったことがある人がいる
・うつ病に対するもともとの脆弱性を呼び起こすような、死別、離婚、別居といった非常に大きな喪失(通常の悲しみより大きなもの)
・人間関係による葛藤や、罪悪など、それに関連する感情
・身体的、性的、感情面にかかわらず、すべての種類の嫌がらせ
・生物学的にうつ病にかかりやすい人における、転居、転職、失業、卒業、退職、もしくは、社会的孤立といった人生の節目となる大きな出来事
・がん、心臓病、脳卒中や、ヒト免疫不全ウイルスHIVといった深刻な病気
・薬物、もしくは、アルコール依存
非定型うつ病はどのように治療するのでしょうか?
非定型うつ病の治療には、症状の重さによって、心理療法(トークセラピー)、医薬品、もしくは、その両方が勧められるでしょう。治療のために、さまざまな種類の心理療法、医薬品があります。精神科医、心理学者、メンタルヘルス治療の有資格の専門家を紹介されることもあるでしょう。