薬物依存症とは

症状

脳内の変化

肉体的依存症は、薬物の反復使用が行われ、脳が快感を感じる方法が変わってしまった時に起こります。薬物依存症は、脳内の神経細胞(ニューロン)が物理的変化を起こす原因となります。ニューロンは神経伝達物質と呼ばれる化学物質を伝達に使います。薬物を止めたとしてもこの脳の変化は長く続きます。

どんな年齢、性別、経済的地位の人も、薬物依存症になる可能性があります。しかし、薬物依存症になりやすくなり、依存症となる速度を早めてしまうことに影響する特定の要因があります。

・薬物依存症の家族歴
薬物依存症になりやすい家族歴の人たちがおり、遺伝的素因が関係している可能性があります。親兄弟などの血縁者に、アルコール中毒や薬物中毒の人がいる場合、自分も薬物依存症を発症する大きなリスクがあります。

・男性である場合。女性と比較して、男性は薬物の依存症になりやすいです。しかし、中毒障害の進行は女性の方が早いということが知られています。

・別の精神健康上の障害がある場合。うつ病や、注意欠陥過活動性障害(ADHD)、心的外傷後ストレス障害などの精神健康上の障害がある場合は、薬物依存症になる可能性が高くなります。

・ピア・プレッシャー。ピア・プレッシャーは特に若い人たちが、薬物の使用や中毒を始める要因です。

・家族の関与が欠けている場合。家族の状況が難しい場合や、親や兄弟との絆が欠けている場合は、依存症のリスクが高まります。また、親の監督が欠けている場合も同様です。

・不安、うつ、孤独。精神的な苦痛に対処する方法として薬物が使われることは、問題をさらに悪化させることがあります。

・中毒性が高い薬物を使うこと。覚せい剤、コカイン、鎮痛剤などは、他の薬剤と比べて急速に中毒となることがあります。しかし、中毒性が弱いと考えられている、「ライト・ドラッグ」と呼ばれる薬物を使用することは、薬物使用と中毒への第一歩となってしまいます。

何ができるでしょうか

診察までに以下のことを準備していきましょう。
・薬物乱用について、正直になりましょう。薬物乱用の問題がある時は、自分がどれだけ薬物を乱用しているか、そして依存の程度を甘くみてしまうことは簡単なことです。どの治療法が役立つのかについて正確な情報を得るために、医師に正直に話しましょう。
・服用している薬剤、ビタミン、その他のサプリメントの種類と量についてリストを作りましょう。医師に、使用している合法・非合法薬物について話しましょう。
・医師に効きたいことを準備しておきましょう。

医師が尋ねるであろう内容とは

医師は沢山の質問をすると思われます。時間を節約するために、質問に対する答えを準備すれば、自分が一番知りたい内容に時間を割くことができます。医師は次のようなことを尋ねることでしょう。

・何の薬物を使用していますか?
・薬物を最初に使用したのはいつですか?
・どのぐらいの頻度で薬物を使用していますか?
・薬物を使用する時、どのぐらいの量を使いますか?
・薬物を使用して問題を感じることがこれまでにありましたか?
・自分で薬物を止めようとしたことがありますか?止めたときどうなりましたか?
・家族の誰かが薬物使用について、とやかく言ったことがありますか?
・薬物問題のために必要な治療を受ける準備ができていますか?

薬物依存症の診断には、綿密な評価が必要で、精神科医、精神分析医、アルコールや薬物の専門カウンセラーなどによる評価を受けることもあります。薬物使用の評価のため、血液検査、尿検査、その他臨床検査が用いられますが、薬物中毒の診断検査ではありません。こうした検査は、治療と回復をモニタリングするために使われることもあります。

薬物解毒

解毒もしくは離脱療法とも呼ばれる、薬物解毒の目標は、できる限り早く、安全に薬物中毒をやめられるようにすることです。離脱療法が、外来で行ったほうが安全な人もいます。病院への入院や入居型治療センターに入る方が適している人もいます。

抗うつ剤、覚せい剤、オピオイドなど、異なった種類の薬物からの離脱は、異なった副作用が現れるため、異なったアプローチが必要となります。薬物解毒では、少しずつ薬物の量を減らしたり、メタドン、ブプレノルフィン、ブプレノルフィンとナロキソンの混合剤などの物質を一時的に代替するなどの治療が行われます。

カウンセリング

薬物治療プログラムの一部として、会話療法や心理療法と呼ばれることもあるカウンセリングが精神科医、精神分析医、アルコールや薬物の専門カウンセラーの下で、個別、または少人数のグループや家族とともに行われることがあります。療法士やカウンセラーは次のようなことができます。
・薬物が欲しくなった時に対処する方法を身につける
・薬物を避け、再発を防ぐための方法を提案する
・再発してしまった場合にどう対処すればよいのかについて提案を行う
・仕事、法的な問題、家族や友人との関係上の問題について話し合う
・家族を含めてカウンセリングを行い、コミュニケーションスキルを良くしてもらい、サポートをしてくれるようにすること

薬物依存症を克服して、薬物を使わないようにし続けることは、持続的な努力が必要です。新しい対処法を学び、どこに助けを求めたらよいのか知識があることは重要なことです。次のような行動も役立つはずです。

・セラピストのセラピーを受ける。精神健康に注意を払いましょう。薬物依存症は、精神健康上の疾患や、結婚、家族問題など他の潜在的な問題を含む、多くの問題と結びついていますが、カウンセリングが役立つ可能性があります。セラピストもしくは精神科医に会うことは、心の安らぎを取り戻し、人間関係の修復にも役立つ可能性があります。
・他の精神健康障害の治療を行いましょう。うつ病などの精神健康障害のある人は薬物中毒になりやすいです。精神病の兆候や症状があれば、専門医による治療をすぐに受けましょう。
・支援団体に参加しましょう。支援団体は薬物中毒に対処するためには非常に効果的です。思いやり、理解、経験の共有をすることで、中毒をやめ、薬物なしで居続けるために役立ちます。

違法薬物の依存を防ぐ一番良い方法は、薬物を使わないことです。

中毒になりやすい処方薬を服用する時には注意しましょう。大量に服用したり長期的に使用しないよう、医師はそのような薬を処方する時は安全な量を処方し、患者の使用について監視します。処方された量よりも多い量が必要だと感じた場合、医師に話をしてみましょう。

再発を防ぐには

一度薬物依存になった場合、再び依存症に陥るリスクは高いです。治療を受けていて、しばらくの間薬物をしようしていない期間があったとしても、薬物使用を再び始めた場合、再び薬物の使用の抑制を失います。
・治療計画にきちんと従いましょう。薬物への欲求を監視しましょう。薬物依存症から回復したように見え、薬物を使用しないために踏まなければならない段階をしなくてもよさそうに見えます。そう見えたとしても、カウンセラーの療法を続け、支援団体の会合に足を運び、処方された薬剤を服用することにより、薬物を使わないで居続けられる確率は高くなります。
・リスクの高い状況を避けましょう。以前薬物を入手するために行っていた界隈には戻らないようにしましょう。昔の薬物仲間からは距離を置きましょう。
・薬物を再び使ってしまっている場合、すぐに助けを求めましょう。薬物を再び使い始めてしまった場合、医師、精神科医、その他助けてくれる人にすぐに相談しましょう

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