心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療と療法

心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者に対する主な治療方法は、薬物治療、心理療法(会話療法)またはその両方を用いたものです。全ての人が異なっており、心的外傷後ストレス障害は人ごとに異なった影響を与えているため、ある人に効果的な治療は他の人には効果的ではありません。心的外傷後ストレス障害の患者は、心的外傷後ストレス障害の治療の経験がある精神保健専門家による治療を受けることが重要です。心的外傷後ストレス障害の患者は、自分の症状を改善するために効果がある異なった治療法を試す必要があるかもしれません。

心的外傷後ストレス障害の患者が、暴力を受けているなどの現在進行形の心的外傷を経験している場合は、その暴力に対する対応も同時に行わなければなりません。他の現在進行形の症状には、パニック障害、うつ病、薬物乱用、自殺願望などがあります。

薬物治療

心的外傷後ストレス障害を治療するための薬には抗うつ剤などの薬剤があります。悲しみ、不安、怒り、まひ感などの心的外傷後ストレス障害をコントロールすることに役立ちます。抗うつ剤やその他の薬剤は、心理療法と併用して処方されるかもしれません。その他の薬剤は、特定の心的外傷後ストレス障害に対して有効な可能性があります。

心理療法

心理療法(会話療法と呼ばれることもあります)は、精神疾患を治療するために、精神保健専門家と会話する方法です。心理療法は1対1で行われることもあれば、集団で行うこともあります。心的外傷後ストレス障害に対する会話療法は、通常6-12週続けられますが、それよりも長くなることもあります。研究によると、家族や友人による支援は、回復するために重要な一部となってることが報告されています。

様々な心理療法の種類が、心的外傷後ストレス障害の患者の助けとなっています。いくつかの種類は、直接的に心的外傷後ストレス障害の症状を対象としています。他の治療法は家族、社会、仕事関連の問題に焦点を合わせたものです。医師や療法士は患者個人個人のニーズに合わせて、異なった療法を組み合わせることがあります。

効果的な心理療法は、症状に関する教育、症状の誘因となるものを特定するためのスキルを教えること、症状の管理をするスキルなどの、いくつかの重要な内容を強調したものです。効果的な心理療法の一つは、認知行動療法と呼ばれる形態のものです。認知行動療法には次のようなものが含まれます。

・暴露療法
この療法は、患者が恐れるものと対峙して恐れをコントロールすることに役立ちます。心的外傷の原因となったものに安全な方法で少しずつ患者を曝していく方法です。想像力を働かせる、書いてみる、心的外傷の出来事が起こった場所を訪れてみるなどの方法が使われます。心的外傷後ストレス障害の患者が自分の気持ちに対処することができるように、療法士はこのような方法を使います。

・認知再構成
この方法は、患者が悪い思い出について理解をすることに役立ちます。時として、人はある出来事を実際に起きたこととは違った内容で記憶をしていることがあります。罪悪感を感じてしまっていたり、患者のせいではないことを恥かしく思ってしまうことがあります。療法士は心的外傷後ストレス障害の患者が、実際その出来事がどう起こったのか現実的な方法で見ることができるように手助けします。

役立つであろう治療法は、他にもいくつかあります。心的外傷後ストレス障害の患者は、療法士と全ての治療法について話し合うべきでしょう。治療は、症状を管理するためのスキルを身につけさせうものであるべきで、心的外傷後ストレス障害を発症する前に楽しんでいた活動に参加できるようにするものであるべきです。

会話療法がどのように心的外傷後ストレス障害を克服させているのか

会話療法は、心的外傷後ストレス障害の症状を誘因する恐ろしい出来事に対処するために役立つ方法を教えます。この共通の目的に基づいて、異なった種類の療法には次のようなものがあります。
・心的外傷やその影響について教える
・リラクゼーション法や怒りの抑制スキルを使う
・よりよい睡眠、食事、運動習慣についてのアドバイスをする
・原因の出来事に対する、罪の意識、恥の意識、その他の感情について、患者が特定し対処することに役立つ
・どのように患者が心的外傷後ストレス障害の症状に対して反応しているのかという変化に注目する。例えば、療法は心的外傷の記憶に立ち向かうことに役立つ

治療以外に、自分でできることは何でしょうか

自分自身を救うための第一歩を踏み出すことはおそらくとても難しいことではないかと思われます。治療とともに、改善するまでにはしばらく時間がかかることを認識することは重要です。どこで治療を始めればよいのかわからなければ、かかりつけ医に尋ねてみてもよいかもしれません。

治療を行っている間に自分でできることとは、次のようなことです。

・治療オプションについて医師と話すこと
・ストレスを減らすために、中度の身体的活動に参加したり、運動をすること
・自分について現実的な目標をたてること
・分量のある仕事を小さな仕事に分割し、優先順位をつけ、自分ができるようにできることを行う
・他の人たちと過ごすように試みて、信頼できる友人や親戚に打ち明けること。症状の誘因となることについて他の人に話してみる
・自分の症状は徐々によくなるもので、急激に良くなるものではないことを認識する
・心地よい状況、場所、人を探してはっきりさせること

例えば、天災、自己、暴力行為など、多くの人が心的外傷を受ける出来事に曝された時は、自分自身と他の人たちのことを気にかけることは特に重要です。

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