統合失調症の症状は通常いつから始まるのでしょうか?
統合失調症は思春期の後に通常起こるものです。多くの人が10代後半から30代前半で診断を受けています。
男性も女性も同じ比率で統合失調症にかかる可能性がありますが、男性のほうが発症する年齢が少しだけ低いようです。平均的に、男性は10代後半から20代前半に診断を受けています。女性は20代後半から30代前半で診断される傾向があります。
12歳よりも前や40歳よりも後で統合失調症と診断されることは稀なようです。
転換期
遺伝子の中の何かと環境による何かの要因の反応が、統合失調症の原因ではないかと思われています。研究者たちはもっと研究することが沢山ありますが、多くの要因が役割を果たしていると思われます。まだお母さんのお腹にいる間に、ウイルスや栄養失調に曝されるようなことが原因の可能性もあります。
なぜ通常、統合失調症が青年期に起こるのかについてははっきりとわかっていませんが、いくつかの説があります。
思春期の間、脳は変化し、成長します。このことが統合失調症のリスクが高い人に対する誘因となっている可能性があります。
科学者の中には、前頭葉と呼ばれる脳の部分の発達と統合失調症が何か関連性があると信じている人たちもいます。他の科学者たちは、脳が成熟していくにつれ、多くの神経細胞間での伝達が行われていかないことが何か関係していると考えています。
思春期にはホルモンが大きな役割をしています。仮説の一つでは、女性が統合失調症になるのは男性より後である理由は、女性の思春期が男性より早く起きるため、ホルモンであるエストロゲンがいくらか統合失調症から女性を守っているためかもしれないという説があります。
警告サイン
統合失調症はいくつかの理由により、診断が困難です。一つの理由として、統合失調症の人は自分が病気であると気が付いていないため、医師の診断を受けようと思わないからです。
別の問題として、統合失調症に至るまでの変化の多くは、現実の生活の変化を映し出していることがあります。例えば、病気を発症した10代の子供が、それまでの友達のグループから外れ、新しい友達と親しくなることがあります。また、睡眠障害や突然成績が悪くなったりすることもあるかもしれません。
いくつかの研究では、医師が患者に対して、統合失調症になりかけているが、それがまだ初期の段階である場合と強く信じる場合に、低量の抗精神病薬の服用により進行を遅らせることができるということが報告されています。統合失調症のリスクがある若年層の患者にこうした薬剤が効果があるのかどうかについては、さらなる研究が必要です。認知行動療法、家族療法、社会技能訓練は、早めの段階で用いられた場合は、最低でも短期間、明らかに効果があるように思われるとのことです。
症状
本格的な統合失調症になった場合、症状はさらに深刻になります。次のような症状が起こります。
幻覚
他の人は聞こえない声が聞こえたり、物が見えたり、臭いがしたりします。患者には自分を非難したり、脅すような声に聞こえます。自分ではやりたくないことをするように声は言ってくることがあります。
妄想
他の人が患者が信じていることが間違ったことであることを説明するために証明を見せた時でも、本当ではないものを信じます。妄想は他の人から見ると奇妙に思えます。
例えば、患者はテレビが特別なメッセージを送っていると考えたり、患者の考えていることを皆が聞くことができるように、患者の考えをラジオが放送していると考えたりします。被害妄想になり、他の人たちが患者を傷つけると思ったりします。
思考障害
患者は自分の考えを整理することができなくなり、他の人には理解できないような話し方をするようになることがあります。患者は自分の考えを途中まで話していて突然やめることがありますが、これはその考えが急に頭から抜けてしまったように感じるからです。これは思考途絶と呼ばれるものです。
運動障害
患者がまるで怒っているかのように同じ動きを体が繰り返すことがあります。または動くことや反応することを拒否したりすることがあります。医師はこれを緊張病と呼びます。
陰性症状
患者はつまらなそうに、感情のこもっていない声で話したり、何かをやり遂げることが難しかったり、日常生活に対する関心を失っていたり、人間関係を保つことが難しくなっている、等の症状がでているかもしれません。しかし、悲しみを感じる、涙がでる、その他のうつ病を示す傾向がある症状は、陰性症状と呼ばれており、統合失調症の脳の働きの方法として、こうした傾向を示すものである可能性があります。