糖尿病と認知症には関連性があるかもしれない
研究者たちによると、軽度の認知機能障害のある人は、糖尿病、うつ病、ビタミンB葉酸値が低いなどの症状も有る場合、いずれ認知症になりやすいと報告しています。
地中海料理を摂っている人たちは、認知症となるリスクが低いことも報告されています。
軽度認知障害は、考えたり自分が知っていることを思い出すことが困難な人たちの症状を総称している障害です。日常的なことも思い出せなくなることが時々困難なことがありますが、日常生活において深刻な問題を起こすほど重症ではありません。
思考力と記憶力の低下は、通常の老化現象で起きる典型的な思考力・記憶力の低下よりも度合いが強いものですが、認知症ほど重症ではありません。
認知症とは、重度の記憶の喪失と思考力、問題解決、発話の問題を含んだ一連の症状のことです。こうした症状は、患者の日常生活にも重大な影響を与えます。
軽度の認知機能障害の患者の約46%が、3年以内に認知症を発症しますが、通常の老化現象による思考力の低下がみられる人の場合の割合はわずか3%となっています。
数百万人のアメリカ人が、アルツハイマー病など、なんらかの認知症に罹っている、と米国アルツハイマー協会は言っています。この後数年で、罹患人数はさらに増えることが予想されています。
アメリカン・ジャーナル・オブ・サイキアトリーによって発表された研究によると、軽度の認知機能障害が悪化して認知症となるリスクを探求している62の研究報告について再調査を行ったとのことです。軽度の認知機能障害の患者、約16,000人がこうした研究報告では対象として含まれていました。
ロンドン大学ユニバーシティカレッジのジル・リビングストンによって率いられた研究者達は、軽度の認知機能障害の人たちについて以下のことがわかったと報告しています。
・糖尿病は、軽度の認知機能障害が認知症に進行しやすくしている可能性がある
・うつ病の患者は、軽度の認知機能障害が認知症に進行するリスクがありますが、その証拠は決定的なものではない
・葉酸の値が低い人は、軽度の認知機能障害が徐々に認知症に進行するリスクをさらに高くしている
・人生の長期間に渡って大酒飲みの人は、軽度の認知機能障害が悪化して認知症になりやすい可能性がある。しかし、中度の酒飲みの人は、軽度の認知機能障害が進行して認知症となる可能性はあまり高くない。
「現在のところ、認知症には治療法がありませんが、認知症となるリスクを下げるために一番よい方法についてはわかっています。それは、脂肪分の高い魚と野菜が豊富な地中海料理のような食事を摂り、運動を定期的に行い、タバコを吸わず、血圧を定期的に検査してもらうことです。」と、英国アルツハイマー協会の研究長のクレア・ワルトン博士は言います。