レビー小体認知症とは何?
レビー小体は、脳に形成されるタンパク質の塊です。レビー小体が成長すると、記憶、動き、思考能力、気分、行動など、脳の働き方に問題を引き起こす可能性があります。これらの問題が、日常的な作業や、自分を世話する能力に影響を及ぼし、認知症につながります。
レビー小体型認知症(Lewy body dementia:LBD)はアルツハイマー病に次いで、2番目に一般的なタイプの認知症です。通常は、50歳以上の人に発症するとされています。レビー小体認知症には、以下 2つのタイプがあります:
レビ体の認知症
体を動かすのに苦労したときにしばしば始まります。 1年以内に、行動の変化とともに、アルツハイマー病の症状と似たような、思考や記憶の障害が起こり始めます。また、幻覚が見えることもあります。
パーキンソン病の認知症
まず運動障害を引き起こします。記憶障害は、この疾患の後期で発生します。
現在、レビー小体型認知症による認知症を治療する方法はありません。しかし、しばらくの間症状を和らげる方法があります。学者たちは、LBDと他の条件との間の違いを、より理解できるようになってきています。
原因
彼らを発見した科学者にちなんで命名されたレビー小体は、α-シヌクレインと呼ばれるタンパク質でできています。レビー小体が成長すると、脳は2つの重要な化学物質を、正しい量を作れなくなります。これら化学物質の1つは、アセチルコリンと呼ばれるもので、記憶と学習に影響を与えます。もう一つは、ドーパミンと呼ばれ、動きや気分、睡眠に影響します。
科学者たちは、レビー小体が脳内にどのように蓄積し始めるのか、はっきりと分かっていません。また、人によって、LBDを発症したり、しなかったりする理由も分かっていません。
特定の健康状態は、LBDになる可能性を高めると言われています。例えばパーキンソン病の人や、レム睡眠行動障害がある人は、LBDのリスクが高いとされています。
症状
誰にも同じ前兆が見られるというわけではありません。前兆はしばしば、あなたが持っているLBDのタイプに依存します。軽度であることもあれば、時には悪化することもあります。
他の種類の認知症と同様に、LBDは思考、気分、行動、動き、睡眠の変化を引き起こします。症状には以下があります
思考能力
・決断力、距離の判断、マルチタスク、計画、組織化、記憶などの障害
・集中力の欠如
・宙を見つめる
・幻覚
動作
・歩行が遅くなる
・うまくバランスを取れなくなったり、物をよく落とす
・筋肉のこり
・体や手の震え
・姿勢が前かがみに鳴る
睡眠
・レム睡眠行動障害
・日中にたくさん寝る(毎日2時間ほど)
・眠りに入ったり、寝続けることが難しい
・寝ているときに、衝動的に足を動かす(むずむず脚症候群)
思考能力
・決断力、距離の判断、マルチタスク、計画、組織化、記憶などの障害
・集中力の欠如
・宙を見つめる
・幻覚
診断を受ける
LBDを診断できる検査はありません。他の種類の認知症と類似しているため、特に初期の段階では、医師がそれを識別することは困難です。そのため、医師はしばしば同じ症状を引き起こす可能性のある、他の病状を除外しようとします。
医師は、次のような検査を行うことがあります。
・病歴について聞いて、身体検査をする
・血液検査
体内のホルモンやビタミンのレベルをチェックします。量が適切でない場合、他のタイプの認知症を引き起こす可能性があります。
・脳のCTスキャン、またはMRIスキャン
他の認知症が原因になっていないか確認できます。
・記憶力、語学力、思考能力を測定するための検査
治療
現在、レビー小体認知症の進行を止めたり、症状を改善するための薬はありません。しかし、薬を服用することで、数ヶ月間症状を緩和することができます。薬には以下があります。
・ドネペジルやリバスチグミンなど、思考力を治療する薬
アルツハイマー病患者は、しばしばこれらの薬を服用します。
・レボドパ
運動障害や四肢硬直を改善することができます。
・メラトニンまたはクロナゼパム
睡眠障害を緩和することができます。
神経遮断薬、または抗精神病薬と呼ばれる一部の薬は、アルツハイマー病患者の重度の幻覚や、行動障害の治療に効果的ですが、LBD患者にとってはしばしばうまく作用しないことがあります。
これらの薬は、幻覚、動悸、思考の問題などのいくつかの症状を、さらに悪化させる可能性があります。これらの薬が必要な場合、医師は副作用について、非常に注意深く観察する必要があります。
薬以外の方法としては、LBDの症状を緩和するために、以下を行うことができます
理学療法
動きやバランスを改善できる練習を教えてくれます。・
カウンセリングや心理療法
うつ病や不安神経症など、気分に問題がある場合は、これらを受けることを検討してください。専門家が、あなたの感情を処理する方法を見つけるため、サポートしてくれるでしょう。サポートグループに加わることで、他のLBDとつながることもできます。
作業療法
LBDによって困難になっている作業を簡単にできる方法を学習するのに役立ちます。