統合失調症の原因とは
統合失調症の正確な原因はわかっていません。研究では、肉体的・遺伝的・環境的要因が複合的に、統合失調症の発症に関係しているのではないかと報告しています。
統合失調症になりやすい人がおり、ストレス、感情的になる人生の出来事が、精神病発現の引き金となっている可能性があります。しかし、なぜ統合失調症になる人とならない人がいるのかについてはわかっていません。
統合失調症となるリスクが高い場合
統合失調症になるリスクがあがることには、次のような要因があります。
遺伝
統合失調症は家族で遺伝する傾向があります。しかし、単一遺伝子に問題があると思われているわけではありません。
おそらく、異なった遺伝子の組み合わせが統合失調症に脆弱にさせているのではないかと思われます。しかし、こうした遺伝子があるからといって、必ずしも統合失調症になるわけではありません。
双子に関する研究結果から、統合失調症は部分的に遺伝しているとのエビデンスがあります。一卵性双生児は同じ遺伝子を共有しています。
一卵性双生児において、もし双生児の片方が統合失調症になった場合、もう片方も2分の1の確立で統合失調症を発症する可能性があります。これは、双子がそれぞれ別々に育てられたとしても割合はこの通りでした。
二卵性双生児の場合は、異なった遺伝子構成であるため、双子のうちの一人が統合失調症を発症した場合は、もう片方が統合失調症を発症する可能性は7分の1でした。
これは、一般の人たちの発症率が100人に1人であることよりも高確率ではあるものの、研究により、統合失調症の発症には遺伝子は要因の一つに過ぎないことが示されています。
脳の発達
統合失調症の患者に対する研究では、患者の脳内の構成がわずかに異なっていることがわかりました。
こうした脳内の変化は全ての統合失調症の患者に見られるわけではなく、また、精神疾患のない人にも見られる場合がありました。しかし、統合失調症の原因は部分的に脳の機能障害である可能性が示唆されています。
神経伝達物質
神経伝達物質は、脳細胞間にメッセージを伝える化学物質です。
神経伝達物質と統合失調症の間に関係性があり、脳内の神経伝達物質の値を変える薬剤は、統合失調症の症状をいくらか和らげることで知られています。
研究によれば、統合失調症は、ドーパミンとセロトニンという二つの神経伝達物質の値の変化によって起きている可能性があると示唆されています。
いくつかの研究では、2つの神経伝達物質のバランスの乱れが統合失調症の根底にある可能性があることを示唆しています。他の研究では、神経伝達物質への体の感受性の変化が統合失調症の原因の一つであるとしています。
妊娠と出産時の合併症
研究では、統合失調症を発症した患者は、出生前後で、以下のような合併症を経験していることが多いことを示しています。
・低体重児出産
・未熟児出産
・出産時の酸素不足(仮死)
おそらく、このようなことは脳の発達にわずかに影響を与えている可能性があります。
誘因
統合失調症になる恐れのある人が統合失調症を発症する原因となる要因には次のようなものがあります。
ストレス
統合失調症の主な心理的な要因は、次のようなストレスがかかる人生の出来事です。
・家族や親友との死別
・仕事や家を失う
・離婚
・恋愛関係の破綻
・肉体的虐待・性的虐待・感情的虐待
このような経験は、非常にストレスを受けるものではありますが、統合失調症の原因となるわけではありません。しかし、すでに統合失調症に脆弱になっている人が発症する要因となる可能性があります。
薬物乱用
薬物は直接的には統合失調症の原因にはなりませんが、研究では薬物の誤った使い方が統合失調症や同様の疾患を発症するリスクを上げることがあることが示されています。
特に、大麻、コカイン、LSD、アンフェタミンなどの特定の薬物は、統合失調症になりやすい人の症状の要因となる可能性があります。
アンフェタミンもしくはコカインの使用は精神病の原因となることがあり、以前の精神病発現から回復した人たちがそれを再発する原因となります。
主要な3つの研究の結果では、15歳以下の10代の子供たちが大麻、特にマリファナやその他の形態のドラッグを一定的に使っている場合、26歳までに統合失調症を発症する可能性が4倍高くなります。