歯周病:症状と治療

その他

最近、歯磨きをしたときに、水と一緒に血が流れませんでしたか?その血は歯周病の最初のサインかもしれません。

歯周病のうち、軽度のものを歯肉炎と呼びます。歯肉炎にかかった場合は、歯肉のみが感染しています。これを治療しないでいると、歯肉線を越え、骨まで感染するかもしれません。そうなった場合、重度の歯周病である歯周炎となります。

歯肉炎も歯周炎も、心臓病や骨粗鬆症、肺炎、がんの発症確率を高めるということがわかっています。早期の発見が最善の策でしょう。

症状

どんな症状があるかを知っておけば、悪化する前に歯周病を発見して治療することができます。以下の症状を見つけたら注意しましょう。

・赤く腫れた歯肉。最も初期の症状の一つです。ロマ・リンダ大学の歯周病学の助教授、Erik Sahl医師は、「歯周病は、歯肉線に沿った炎症から始まることが多い」と言います。歯磨きやデンタルフロスをする際に、違和感や痛みを感じたり、出血しやすくなったりすることもあります。

・口臭。人の口内は、温度が高く、湿っているため、絶好の細菌の温床です。細菌は、歯垢のもとで育つので、歯垢があればあるほど細菌は繁殖します。「細菌が出す酸は、歯や歯肉を刺激し、臭いにおいを発することがある」とSahl医師は言います。

口臭は、重度の歯周病の症状でもあります。逆に、歯肉炎の場合はあまり口臭はくさくなりません。

・歯肉の縮小。今までより歯が長くなったように思えたら、それは歯が伸びているのではなく、おそらく歯肉が縮小しているのです。

「骨が衰え始めると、歯肉は歯から離れ始め、ポケットができる」とSahl医師は言います。この分離を歯肉の後退と呼びます。

・歯の過敏。冷たい飲み物を飲んで痛みを感じたなら、それは歯が歯周病のサインを出しているのかもしれません。これは、歯肉の縮小と共に見られる症状です。「歯肉が後退すると、象牙質という歯の敏感な部分が露になり、冷たい水や空気に過敏に反応する」とSahl医師は言います。

・歯がぐらついたり、動いたりしてしまう。笑顔が以前と変わってはいませんか?歯周病によって、歯を保持している骨がダメージを受け、歯が緩くなったり動いたりします。主な原因は歯周炎で、酷い場合には噛み合わせを変えてしまうこともあります。

治療

目標は感染を抑えることです。歯科医は、どの部分が感染しているかを把握してから適切な治療を選択します。

・ディープクリーニング。歯周病治療の最初の一歩は、丁寧で綿密なクリーニングです。

Sahl医師曰く、歯肉線より上まででしか行わない普通のクリーニングと違って、ディープクリーニングは歯肉線より下の部分まできれいにします。また、歯科医が特別な器具を使います。

【※訳者注 ディープクリーニングは日本では行われていない(米国では常識)みたいなので、抜くべきでしょうか。以降の文章にも度々登場します】

スケーリングという方法もあり、歯肉線の上下にある歯石を削り落とすことを指します。また、ルートプレーニングという治療では歯の根っこのざらざらした表面を滑らかにします。これにより、歯肉が歯に再度張り付きやすくなります。

これらの治療は一回の施術で終わらない場合もあります。

・薬の投与。歯周病を治す錠剤やクリームは存在しない、とSahl医師は言います。それでも、治療の一環として歯科医から薬を処方されることはあります。

処方される薬の例として以下のようなものがあります。

・防腐性のチップや抗菌マイクロスフェア。歯肉のポケットに入れられたこれらの小さなジェルや微粒子は、時間をかけてゆっくりと薬剤を流し、ポケットを縮小させたり細菌を殺したりするのを助けます。

・抗菌ジェル。ディープクリーニング後にこれをポケットに流し、感染を抑えます。

・酵素抑制剤。ディープクリーニング後にこの錠剤を服用し、口内の特定の酵素が歯肉の組織を破壊しないようにします。

・経口抗菌薬。感染の程度が重い場合、これらのカプセルや錠剤を服用します。

・手術。ディープクリーニングをしても完治しない場合、治すにはさらに深くまで行く必要があるかもしれません。手術の種類としては以下のようなものがあります。

・歯肉移植手術。口蓋などの、口内の別の場所から組織を持ってきて、露になっている歯の根っこを覆う手術。これにより骨の消失や劣化が防げる上、歯の過敏を和らげられます。

・フラップ手術。歯肉線よりも遥か下にある歯石を取り除けるように、一旦歯肉を切開して切り離します。その後、元の位置に歯肉を縫いつけるのですが、この時にこれ以上歯石が形成されないように、歯にぴったりと縫い付けます。

抗菌マウスウォッシュが勧められることもあります。毎日の歯磨き習慣の中に取り入れることで、細菌の繁殖を防ぎます。医師から処方されるものも、市販で手に入るものもあります。

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