カギカズラ

その他

カギカズラ(釣藤鉤(チョウトウコウ))は東洋の抗てんかん薬で、抑肝散の主成分として高齢者の激越の治療に用いられています。神経保護作用を持ち、抗けいれん性で、アリピプラゾールのような抗精神病性も持つようです。

概要

カギカズラ(キャッツクローと混同しないよう注意してください)は和漢薬で、高血圧、けいれん性疾患(てんかん)、頭痛や目眩といった様々な頭部の病気の治療に使用されます。多様なアルカロイドを含んでおり、その中でも特に注目すべきはカギカズラの正式名称ウンカリア・リンコフィラから名づけられた化合物リンコフィリンと、GME(ゲイッソシジンメチルエーテル)と略される薬剤に似たアルカロイドです。日本の一般的な薬である抑肝散の成分であり、ウラルカンゾウ(リコリス)と共に神経保護作用を媒介するようです。

植物自体や分離したアルカロイドの経口摂取を行う試験は、現段階では動物を用いたもののみです。しかしながら、アリピプラゾール(薬剤)がセロトニンやドーパミンの受容体にもたらす作用によく似た作用がGMEでも得られ、よって抗精神病性であるとも考えられます。セロトニン受容体への作用は不安を軽減する効果も持ち、社会的な攻撃性を抑えることができます(これが抑肝散が認知症の高齢者の激越に効果をもたらす理由であると考えられています)。

また、主に脳の支持細胞(神経細胞を保護する神経膠細胞)が炎症に対して活性化するのを防ぐことによる神経保護作用もあります。この脳における抗炎症作用が、カギカズラの植物を経口摂取した際に表れる抗てんかん性の背後にあるようです。

この植物は、一酸化窒素のシグナル伝達の促進に次いで、血圧を下げる効果を持つ可能性もありますが、生体における研究はまだ進んでいません。

基礎知識

混同注意
キャッツクロー(ウンカリア・トメントーサ、ウンカリア・ギアネンシス)

摂取方法

臨床試験が行われていないため、人間の至適用量を推奨することはできませんが、ラットを対象とした研究では250-1,000mg/kgの水抽出物を摂取した際に効果がみられました。よって、人間の用量は以下のように予測できます。

・体重150lbの人なら2,700-11,000 mg
・体重200lbの人なら3,600-14,500 mg
・体重250lbの人なら4,500-18,000 mg

抑肝散(一回の服用量は20.5グラム)として知られる薬剤には、3グラムのカギカズラが含まれています。単体での服用であっても、この用量から始めるのが安全かもしれません。

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