摂食障害

症状

食事や食物、自身や他人の体重といった問題ばかりで頭がいっぱいで、生きていく上でそれ以外のことに全く集中できないようであれば、それは摂食障害の早期兆候である可能性があります。研究によれば20人に1人は人生のどこかの時点で摂食障害の影響を受けると言います。適切な処置が取られなければ、究極的には、人は摂食障害が原因で人生をコントロールできなくなり、深刻な、或いは致命的な合併症を発症する可能性さえあるのです。一般的に摂食障害は女性と関連付けられがちですが、男性もまた発症する可能性をもっています。

症状

摂食障害は、精神面・肉体面に深刻な問題をもたらす一連のコンディションを指します。それぞれのコンディションが食事・体重に極度に関係しています。しかしながら、それぞれがその特有の症状で各々を特徴づけています。

神経性無食欲症

無食欲症を患った人は、減量に取りつかれるあまり、餓死するまで食事をとらなくなります。無食欲症下では、人は食欲を否定して食べることを拒否したり、過食を行い下剤を用いたり、或いはカロリー摂取を制限し、控え、「燃焼」するにあたって疲弊するまで運動を行ったりします。

無食欲症の精神面での症状には過敏症、社会的な離脱、気分や感情の低迷、状況の深刻さの判断がつかなくなる、公で食事を取ることが怖くなる、食事と運動に取りつかれる、等です。「太る」ことへの恐怖から特定の食事行為が儀式化したり、特定の食物群がまるごと食生活から除外されたりします。

無食欲症は肉体に多大なダメージを与えます。食事量が少なく栄養が不十分であると人は大幅にやせ細ってしまいます。身体はエネルギーを保存するために代謝速度を遅くすることを余儀なくされ、これによって月経周期に異変が生じたり或いは月経が来なかったり、便秘や腹痛が引き起こされたり、鼓動が乱れたり、血圧が下がったり、脱水症になったり、不眠症になったりします。食べることを制限する人がいる一方で、過食して下剤を用いる無食欲症患者もいます。

神経性大食症

大食症を患った人は自制が効かなくなり、短時間に多量の食物を過剰摂取し、その後必死に余分なカロリーを取り除こうとし、意図的な嘔吐、下剤の濫用、過剰な運動を行います。これがクセとなってこのサイクルが繰り返されるようになり、当人の人生の様々な側面が制御できなくなり、精神面と肉体面の両方にネガティブな影響が出ます。大食症患者は通常、普通の体型・体重であるか、少々体重過多でありさえします。

大食症の精神面の症状には、自尊心の低下(異常なほどに体型や容姿と関連している)、物事を自ら制御できなくなった感覚に陥る、食べることに対して罪悪感や羞恥心を抱くようになり、友達や家族から遠ざかるようになる。

無食欲症と同様、大食症は肉体にもダメージを与えます。過食と下剤の使用は、食事や消化に関わる身体の部位に害を与え、頻繁の嘔吐によって歯がいたみます。また、酸の逆流は一般的です。限度を超えた下剤の使用は脱水症を引き起こし、身体の電解質液が影響を受け、不整脈になったり、心不全になったり、最悪の場合は死に至ることさえあります。

過食性障害(BED)
BED患者は自身の食事行動が制御できなくなり、短時間で大量の食物を摂取してしまいます。空腹時でないときや不快なほど満腹になっているときでさえも大量の食事を摂取しています。これが患者自身の中に羞恥心や自己嫌悪、鬱感情や罪悪間を生むのです。BED患者は、過食のエピソードの後、無食欲症や大食症の患者のように下剤を濫用したり過剰な運動を行ったりはしません。過食性障害の患者の体重は普通、体重過多、肥満など様々です。

原因

摂食障害はとても複雑なコンディションであり、科学者らは依然として原因を調査しています。摂食障害は全て食事や体重についての問題を抱えているという点で共通していますが、ほとんどの専門家らは今では、摂食障害は人が感情に圧倒されていたり辛い心情になっている際に当人がそれと上手く折り合いをつけるために食事をコントロールする、ということを行うときに引き起こされるものだ、と考えています。残念ながら、これは最終的には当人の肉体的・精神的な健康、自尊心、そして自制心がダメージを受けます。

摂食障害が発達する過程に関わっている可能性のある要素には以下のものがあります。

・遺伝
第1度近親者(兄弟や親)が摂食障害を持っている人は自身も摂食障害を発症するリスクが高くなるようです。これにより遺伝的な関係性が示唆されます。脳内の化学物質であるセロトニンが関わっているという証拠もまた摂食障害を引き起こす遺伝的・生物学的要素であるとされています。
・環境因子
「細いこと」が女性にとって美しさの象徴であり、筋肉が発達していて身体が大きいことが「男らしさ」に欠かせない、といったことを強調する文化的な圧力が存在するせいで、人は分不相応な圧力の下、非現実的な目標を追いかけることを余儀なくされるのです。ポップ・カルチャーやメディアの中のイメージでは体型が細いことと名声、成功、美貌、幸福等が結び付けられる傾向があります。こういったことが、細くなりたいという欲望を作り出します。
・友人、知人からの圧力
とりわけ若い人の間ではこれは強力な力になる可能性があります。圧力は身体の大きさや体重を理由としたからかいやいじめ、あざけり等の形をとります。肉体的・性的な虐待等の過去もまた摂食障害を形成する可能性があります。
・精神的な健康
完璧主義、衝動的行為、人間関係の困窮、といったことは全て人の自尊心を下げ弱体化させて摂食障害を作り出すことに貢献し得ます。

どんなタイプの人でも摂食障害を患う可能性はあります。但し、特定のリスク因子が原因で一部の人の間で摂食障害発症の確率がより大きくなります。

・年齢:摂食障害は十代や二十台前半においてより一般的です。
・性別:統計的には、十代の少女と若い女性がより摂食障害になりやすいですが、気づかれ、処置されやすい傾向にあります。一方十代の少年や男性は助けを求めない傾向にありますが、調査によれば摂食障害を診断される人の10人に1人は男性だということです。
・家族の歴史:親や兄弟で摂食障害を持っている人がいると、自らも発症するリスクが上がります。
・ダイエット:ダイエットが度を越すと摂食障害になります。
・職業由来の使命感や活動:摂食障害は、特に体操選手やランナー、レスラー、ダンサーの間で広くみられます。

診断

摂食障害を持つ人の回復や予後は、診断が早ければ早いほど良くなります。摂食障害が問題としてあがった場合は、医師は通常、身体検査を行い、面談を行って、研究室での検査を命じます。これらの結果を元に診断が形成され、また関連のある医療上の問題や合併症も確認されます。

加えて、精神衛生の専門家が心理評価も行います。このような専門家は食習慣、行動、信念についての質問を行います。また、親のダイエット、運動、過食、下剤使用の過去等についても聞かれる可能性があります。

摂食障害を持つ患者はしばしば治療を要する別の精神病をも抱えている可能性があります。可能であれば、全ての病状や問題を特定し、処置・解決することが最善といえます。こうすることによって患者に包括的な処置・治療を施すことができ、長続きする回復が望めるのです。

処置

摂食障害は様々なテクニックを用いて対処されます。処置は障害のタイプにも依りますが、概して以下のものが含まれます。

・心理療法(言語療法や行動療法等)
・薬剤(抗鬱剤や抗心配薬等。摂食障害を患っている人の多くが同時に鬱や心配等の病状を抱えており、摂食障害を直接的に治療する薬はない一方で、根底に潜んでいる問題は薬剤によって解決することができる患者もたくさんいます。
・栄養面でのカウンセリングと体重の回復のモニタリングもまた不可欠です。子供や乳幼児のいる家族のためには、家庭をベースとした処置を行うことが特に重要です。というのも、健康的な食生活を確立するためには家族の助けや理解、サポートが必要だからです。

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