糖尿病のためのインスリン注射を自分で打つ

その他

糖尿病を持っている人は、インスリン注射によって、皮膚と筋肉の間の組織である皮下組織に薬を送り込みます。皮下組織は、体中に存在します。

インスリン注射を使う際には、次の手順に従いましょう。
※これらの指示は、ペン型インスリン注入器や針なし注射器を使用している人にはふさわしくありません。

インスリンの道具を集める

清潔で乾いた作業場を見つけ、次のインスリン道具を集めましょう。

・インスリンのボトル。
・包装紙が取り外された、消毒のしてあるインスリン注射(針つき)。
・アルコール綿2枚(もしくは綿ボールと消毒用アルコール)。
・使った道具を入れるための容器1つ(硬いプラスチック製の容器やねじ式の蓋もしくはきつく閉じられた蓋のついた金属製の容器、あるいはシャープスコンテナー)。

石鹸と温水で手を洗い、清潔なタオルで拭きましょう。

インスリンと注射器を準備する

・インスリンのボトルからプラスチックのキャップを外す。
・インスリンを混ぜるために、インスリンのボトルを手の中で2,3回転がす。気泡が発生し、引き抜かれるインスリンの量に影響が出るため、ボトルは振らないようにする。
・インスリンのボトルの上のゴムの部分を、アルコールパッドもしくはアルコールで濡れた綿ボールで拭く。
・インスリンのボトルを近くの水平な面に置く。
・針のキャップを外す。

同時に2種類のインスリンを注入するように処方された場合は、次の項目の指示に移りましょう。

・プランジャーを引くことにより、必要な空気量を注射器に入れる。この際、注射しなければならないインスリンと同量の空気を入れなければならない。必ずプランジャーの上端から測るようにする。
・針をインスリンのボトルのゴム栓に挿す。ボトルに空気を入れるためにプランジャーを押す(このことにより、インスリンが吸い込みやすくなる)。針はボトルの中に入れたままにする。
・ボトルと注射器をひっくり返す。インスリンが針を覆うようにする。
・必要な量のところまでプランジャーを引く(プランジャーの上端から測る)。
・注射器に気泡がないか確認する。注射器に入っている気泡は体内に注入されても害はないが、注射器に含まれるインスリンの量は減る可能性がある。気泡を取り除くためには、気泡が上のほうに移動するように注射器を突き、プランジャーを押す。投与量を再確認し、必要に応じて注射器にインスリンを足す。
・針をインスリンのボトルから抜く。注意して針にキャップをはめなおす。

2種類のインスリンの測り方

医師は、糖尿病治療のために同時に投与されなければならないインスリンを2種類処方するかもしれません。このように2種類のインスリンを投与することで、人によっては血糖コントロールが改善される可能性があります。

2種類のインスリンを投与する際には、次の指示に従いましょう。

・上記の準備手順を両方のインスリンのボトルに行う。
・プランジャーを引くことにより、必要な空気量を注射器に引き込む。この時、必要なNPH(中間型もしくは時効型)インスリンと空気が同量になるようにする。必ずプランジャーの上端(針に最も近い端)から測る。
・針をNPHインスリンのゴム栓に挿す。ボトルに空気を入れるために、プランジャーを下に押す(このことにより、インスリンを引きやすくなる)。この段階では、まだ注射器にインスリンを入れない。針をボトルから抜く。
・プランジャーを引くことにより、必要な空気量を注射器に引き込む。この時、必要なレギュラー(速効型)インスリンと空気が同量になるようにする。必ずプランジャーの上端から測る。
・針をレギュラーインスリンのゴム栓に挿す。ボトルに空気を入れるために、プランジャーを下に押す(このことにより、インスリンを引きやすくなる)。
・ボトルと注射器をひっくり返す。インスリンが針を覆うようにする。
・必要な量のところまでプランジャーを引く(針に最も近い端である、プランジャーの上端から測る)。
・注射器に気泡がないか確認する。注射器に入っている気泡は体内に注入されても害はないが、注射器に含まれるインスリンの量は減る可能性がある。気泡を取り除くためには、気泡が上のほうに移動するように注射器を突き、プランジャーを押す。投与量を再確認し、必要に応じて注射器にインスリンを足す。
・針をレギュラーインスリンのボトルから抜き、NPHインスリンのボトルのゴム栓に挿す。
・針と注射器をひっくり返す。インスリンが針を覆うようにする。
・必要なインスリンの合計量のところまでプランジャーを引く(プランジャーの上端から測る)。

重要:これは、正確に測られなければなりません。もしNPHインスリンの量が多すぎたら、注射器に入っている薬はすべて出さなければなりません。注射器に入っているレギュラーインスリンがNPHインスリンに入ってしまわないように気をつけましょう。もし注射器の中でインスリンを混ぜる際に大きな気泡ができてしまった場合には、この分は捨て、手順をやり直さなければなりません。インスリンをボトルに戻してはいけません。

・注意して針にキャップをはめなおす。
・これで、インスリンを投与する準備はできました。下記の指示に従いましょう。

注射部位を変える

糖尿病の場合、日常的にインスリンを投与することになるため、どこに注射するか、また、どのようにその部位を変えていけば良いかを知らなければなりません。注射部位を変えることによって、注射が楽に、安全に、そしてより快適になります。もし同じ部位に繰り返し打っていたら、皮膚の下が硬くなり、インスリンが正常に働かなくなる可能性があります。

重要:自分で注射をする際には、体の前半分だけにしましょう。他の人にしてもらう場合は、どこに打ってもかまいません。

次のガイドラインに従いましょう。

・注射部位を、医師や看護師、健康教育者に尋ねる。
・注射部位は、毎回変える。最後に注射した部位から1.5インチは離れたところに打つ。
・毎日、同じ時間帯には似たような部位に注射する(例えば、昼食前の注射は腹部にする)。
※腹部はインスリンの吸収が最も速く、その次に腕、太もも、尻となる。
・注射したことのある部位は記録しておく。

注射部位を選び、消毒する

インスリンの注射をするために、部位を選びましょう。

関節や鼠蹊部、へそ、腹部の中心、傷跡の近くなどには注射してはいけません。

注射部位(皮膚の2インチ程度)を、アルコール綿もしくは消毒用アルコールで塗らした綿ボールを使い、円を描くようにして消毒しましょう。

インスリンを注射する

利き手を使って、注射器の胴をペンのように持ち(針が下になるようにする)、指がプランジャーにかからないように注意する。

・針のキャップを外す。
・もう一方の手を使って、消毒された注射部位2,3インチを優しくつまむ。
・つまんだ皮膚に、直角に(まっすぐ)すばやく針を刺す。針は、皮膚に完全に入っていなければならない。
・注射器の中のインスリンがなくなるまで、プランジャーを押す。
・すばやく針を抜く。注射部位はこすらない。注射をした後は、出血をする可能性があるが、その場合にはアルコール綿で軽く押さえる。必要に応じて注射部位に絆創膏を貼る。

注射器と針を処分する

針にキャップをつけてはいけません。注射器そのものと針を使用済み用の容器に入れます。容器がいっぱいになったら、蓋もしくはカバーをつけ、ごみ箱に入れましょう。

この容器をリサイクル用のごみ箱に入れてはいけません。地域によっては、処分に関する
細かい法律があります。あなたの地域における具体的な決まりについては、地域の保健局に尋ねてみましょう。

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