ヘスぺリジン

治療薬

ヘスペリジンは、オレンジピールからみつかる成分で、身体にフラボノイドのヘスペレチンを与えます。このフラボノイドはヘスぺリジンの持つ有益な効果のほとんどを仲介します。こういった効果の中には、循環の促進、脳を保護する可能性のある効果等があります。ヘスペリジンは、ナリンゲニンと並び、柑橘系から得られる主用なフラボノイドとして知られています。

概要

ヘスペリジンは生体フラボン・グリコシドであり、一般的に柑橘系果実(特にオレンジ)からみつかります。これはフラボノイドであるヘスペリチンの糖結合型です。ヘスペリチンは体内のヘスペリジンの活動を仲介する役割を果たすことが知られています。ヘスペリジンは結腸へと進んで、腸内バクテリアによって「放出」されるため、ヘスペリジンはヘスペリチンを徐々に放出する製剤(time-release)として働きます。以上のように吸収される場合、一人前のヘスペリジンがあれば、摂取後およそ1日に渡って血中ヘスペリチン濃度が上がった状態が保たれます。

経口摂取ヘスペリジンの人体研究結果を見ると、血流が促進され(程度には幅がある)、また血圧に対しても微量の影響を及ぼしたようですが、コレステロールとトリグリセリドに対しては全く効果がありませんでした。以上のような心血管の領域に関するもの以外では、人体研究のデータはほとんどありません。また、糖尿病の分野でも効果は乏しいものです。(眼球は例外です。予備的証拠によればヘスペリジンは糖尿病網膜症から目を守るようです。)

とは言うものの、動物研究によればヘスペリジンの経口摂取は、ヒトに対して行われたものと同様の服用量において、心血管を保護する薬品として高い信頼性が見込めた上、脳を様々なストレッサーから守る働きをするそうです。こういった保護は本質的には酸化を抑制するものですが、実際、解析されているヒトゲノムにおいて未だ見つかっていない抗酸化反応の下で起きているようです。保護効果(心臓と脳において最も顕著。但し、全ての臓器にまで及ぶ。)を除けば、ヘスペリジンは食欲不振を改善する可能性がある上、抗アレルギー性も多少見られます。

オレンジピールを食べることで、人体研究で使われた服用量のヘスペリジン・サプリメントを摂取することができます。また、ヘスペリジンは様々な薬物代謝酵素と相互作用を引き起こすことが知られているため、薬剤使用の際は慎重に扱う必要があります。

基礎知識

混同注意
ヘスペリチン(アグリコン)、エリオジクチオール(ビタミンPとして知られるフラボノイド)
注意事項
・ヘスペリジンは経口用量でCYP3A4を抑制する結果が見られている。これは経口サプリメントにもおそらく当てはまる。
・ヘスペリジンはCYP2C8とCYP2C9の両方を抑制する。但し、後者だけがサプリメントに関係する。というのも、CYP2C8の抑制には大量のヘスペリジンを集中的に投与する必要があるから。
・ヘスペリジン(とオレンジジュース一般)はOAT2B1輸送体を、影響が出る程度に制限する可能性がある。

摂取方法

ヘスペリジンを使用するほとんどの研究は、ヘスペリジン・サプリメントを500mg服用する傾向にあり、日常的に予防措置として服用する場合は、標準的な形状のヘスペリジンを使用しています。

急速的な血流改善に使用される場合(すなわち運動前)、Gヘスペリジンの形態が選ばれるかもしれません。というのも、より速やかに吸収される上、血中濃度の最高点がより高くなるからです。全体的には、他の形状と比べて吸収が非常に良い、ということもないのですが、血中濃度のピークには早く到達するのです。

食品に関しては、ヘスペリジンの効果の得られる最も少ない服用量はげっ歯類を用いた研究によると一日あたり経口服用量がおよそ25mg/kgです。これを成人の人間に換算するとおよそ4mg/kgの経口服用量です。これはオレンジジュース(最適な状態で、150ポンドの男性は1800mlを消費する必要があります)やオレンジ(1800g分)を通して摂取するには多すぎます。上記への例外は、抗アレルギー効果であり、前述の服用量の1/5で効果が見られます。

一方タンジェリンの皮は、5-7日間乾燥(水分を取り除きヘスピリジンを濃縮するため)すると全体の重さの5-10%がヘスペリジンになり、ヘスペリジン・サプリメント500mgはドライ・タンジェリン・ピールを食べれば摂取できるのです。これは安価な代替です。但し、乾燥される前によく擦って洗われ、汚染物や微生物が取り除かれた状態であることが前提です。

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