ストレッチの真実

その他

ストレッチの最も効果的な方法と、いつ行うのが一番良いのかについて知りましょう。

以下のうたい文句に、聞き覚えはありませんか?

・ストレッチは、同じ姿勢を一定の時間維持しないとその効果が現れない
・ストレッチをするときに弾みをつけてはいけない(筋肉が裂けてしまうため)
・運動の前にストレッチをしないと、怪我をする

実は、これらはすべて迷信です。はじめに、もっと大きなテーマで考えてみましょう。

そもそも、ストレッチは必要なの?

ストレッチをすることは、とても良いことです、とAmerican College of Sports Medicine (ACSM) は言います。ACSMは、少なくとも一週間に二回、一度の運動につき60秒間のストレッチを主要な筋肉で行うことを推奨しています。

年齢を重ねても体が柔らかいということはとても良いことです。体を楽に動かせることにもつながります。

例えば、定期的にストレッチをすると、年を取ってからも腰やハムストリング筋を柔軟に保つことができます、とLynn Millar博士は言います。彼女は、Winston-Salem State大学で理学療法士と教授として勤務しています。

姿勢や日々の活動で問題を引き起こしている場合は、その問題となっている筋肉を日常的に伸ばすことを習慣付けましょう。一日中机に向かっていることから背痛を引き起こしている場合は、それにふさわしいストレッチをすればよいのです。

簡単な背中のストレッチ

運動生理学者のMike Bracko氏は、仕事が原因の背痛に効くストレッチとして、「猫ラクダ体操」を推奨しています。

・脚を肩幅に開いた状態で起立し、膝を少し曲げます。
・膝のちょうど上あたりの太ももを手でつかみながら、前かがみになります。
・背中を丸めます。このとき、胸が閉じていて、肩が前方に曲がっているかどうか確認します。
・背中がアーチ型になるように伸ばします。このとき、胸は開き、肩は後ろの方まで引っ張ります。
・これを何回も繰り返します。

もしも仕事で一日中同じ姿勢を強いられている場合は、その姿勢をほぐすためのストレッチを行うための休憩を少なくとも一時間に一回、2分間もうけることをBracko氏は勧めています。

ストレッチの効果を得るためには、同じ姿勢を一定の時間維持する必要がある?

必ずしもその必要はありません。

筋肉をできる限り伸ばし、15~30秒間その状態を保つというようなストレッチ法は、「静止のストレッチ」と呼ばれることもありますが、このようなストレッチは、痛みを感じないように加減する限りは、体に害は与えません。

しかし、最近の研究によると、動的なストレッチも、特に運動の前は、同じくらい、もしくはそれ以上に効果のあるストレッチ法であると言います。

上記の「猫ラクダ体操」のような動的なストレッチは、一つの動作の中で、一連の筋肉を滑らかに動かせることが特徴です。

「猫ラクダ体操」の静止のストレッチのバージョンもあります。

・手を組み、手のひらが自分の方を向くようにひっくり返します。
・腕をできる限り遠くまで伸ばし、背中と肩を前方に曲げます。
・この状態を10秒ほどキープします。
・指をほどき、背中の後ろで手首もしくは指を掴みます。
・背中の後ろでできる限り腕を上げます。このとき、掴んだ手首もしくは指は離さないようにし、胸が開き、肩が後ろに引っ張られているようにします。

静止でも動的でも、どのようなストレッチであれ、筋肉が伸びていることを感じつつも、痛みが発生するのはNGです。つまり、必要としている動き以上のストレッチは必要ないということです。

運動の前にストレッチをするべき?

必ずしもその必要はありません。

運動前にストレッチをすることで、怪我を予防したり、運動後の筋肉痛を和らげたり、派をー万巣を向上させるといったことが証明されているわけではありません。

運動前に静止のストレッチをすると、短距離走が遅くなるなど、パフォーマンスを低下させるという研究結果もあるのです。この原因として考えられているのは、ストレッチで状態をキープすることで、筋肉が疲れてしまうということです。

運動前の動的なストレッチは、ウォーミングアップとしてはおすすめです。これがすでに運動の一部のようですが、実際の運動よりは軽めに行います。ランニングの前の良いウォーミングアップとして挙げられるのは、ウォーキング、脚の振り出し、階段の上り下りなどです。

はじめはゆっくりと行い、次第にペースを上げていきましょう。

運動の後はストレッチをするべき?

ストレッチをするにはとても良いタイミングです。

「運動後は、筋肉や関節をよく動かすことで、循環が良くなっているので、体の柔軟性が増します」とMillar氏は話します。

運動後に静止のストレッチを行うと、その効果を最大限に得ることができます。

「ランニングやウエイトトレーニングを行った後は、クールダウンのために少し周りをウォーキングしましょう。その後、ストレッチをしましょう。運動を終えるのにとても良い方法です。」とBracko氏は言います。

ストレッチはいつしてもいいの?

大丈夫です。日常的な運動の前後には絶対にストレッチをしなければならないということはありません。気がついたときにストレッチを行う、というのが重要なポイントです。

朝起きたときや就寝前、仕事の休憩のときなど、さまざまなタイミングがあります。

「ストレッチや柔軟は、日頃するべきことの一つとしてカウントするのが良いでしょう」とMillar氏は言います。

関連記事一覧