ネット依存症で人生が狂う?

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うつろな目で四六時中、ダウンロードをし、メッセージや電子メールを送る人々。これは社会の心配の種になっています。ログインしてから何時間も過ぎていっても、彼らはネットから離れることができないのです。

害の無いネットサーフィンが、俗に言う「ネット依存症」のような過度な利用とみなされるのはどんな時なのでしょうか。

フロリダ州ゲインズビルにあるフロリダ大学のMcKnight Brain Instituteに勤める精神科医、Nathan A. Shapira医師は、1997年からこの社会問題について研究しています。Depression and Anxietyの最新号に掲載された彼の最新の論文では、この現象についての学説が概説されています。

彼によれば、コンピュータ時代が急激に始まった20年前の時点で、研究者はコンピュータや科学技術への依存についての研究を進めていたのです。しかし、彼らはインターネットの過剰利用が引き起こすとされる、特に人間関係に対しての、悪影響を見つけ出すことはできませんでした。それどころか、精神科医たちは未だに、何が起こっているのかを解明しようとしており、この問題を解決する最善策を探しています。

「これは残念なことだ。」とShapira医師は言い、「我々はこの素晴らしい、広く普及した技術を持っているのにも関わらず、我々がその技術からどんな影響を実際に受けているのかは、誰もわかっていないのだ」と述べています。

長所が短所に

紛れも無い事実として、多くの人々が、性的なことが含まれているかには関係なく、満足感や興奮を得たり、緊張から解放されたり、気持ちを落ち着かせたりするためにコンピュータを使っている、と彼は記しています。長い時間が費やされているのは、ネットサーフィン、チャット、オンラインゲームといったものです。

ネットサーフィンも、運動や瞑想と同じような利点があることを忘れてはいけない、とShapira医師は記しています。彼曰く「他の衝動性の障害のように、ネットサーフィンによって苦しんだり、他のことに無力的になったりしうるのは、インターネットの利用が過度な時だけ」なのです。

喫煙や過度な飲酒にあるような生理的な依存ではなく、テレビや運動、セックス、賭博にあるような心理的な依存がそこには働いているとShapira博士は記しています。

また、ネット依存症はしばしば、別の精神医学的問題と深いつながりを持ちます。賭博や買い物などの強迫性障害持ちの人は、インターネットを逃避先とするのかもしれないのです。それ以外の人も、憂鬱状態になるとネットを過剰に利用する傾向があり、その結果、孤独の力によって回る悪循環から抜け出せなくなるのです。

この問題はすぐには落ち着かない、と彼は言います。「人々は3台のコンピュータを同時並行で使い、それぞれで別々のことを進めることに快感を覚えます。そして通信の速度が上がれば、さらに問題は悪化します。速さは誘惑の一部なのです。」

異常の発見

「もう2時なんだから寝なさい」と日頃から言っているのなら、もしかするとネット依存症の人と暮らしているかもしれません。以下の症状は重度のネット依存症に見られるものです。

・ネットが、やめられないものになるほど熱中している
・予定していた時間よりも長くネットを使ってしまう。Shapira博士は「1時間後にやめると言ったのに3時間経ってもまだやっている人」を例として挙げています。
・ネットに熱中していることで、人間関係や仕事、その他の重要なものに重大な支障をきたす
・使用する時間を減らそうとするも、できない
・ネットに対して、過剰な考え方をする
・使う前は緊張感や興奮を覚え、使い始めると、物を盗んだ後の窃盗狂のように、喜びを得る。
・請求書の支払いなどの責任を果たさなくなる

テキサス州ヒューストンにあるBaylor Psychiatric Clinicの副所長Kristin Kassaw医師は、これらの症状は薬物やアルコール中毒にも当てはまる、と言います。彼女曰く、「これらの行動を改めるには12段階のプログラムのようなものが必要になる」のです。

助けをもらう

実は、ただの治療をしても効果が無い、とShapira博士は言います。彼曰く、過度にネットを利用してしまう感情に対処する方法を学ぶ、といった認知行動療法を受けることで、衝動を抑え、上手く時間を管理できるようになるそうです。

薬の投与も効果があります。「うつ病や強迫性障害が関与している場合、気分が安定すると、衝動の抑制に効果が見られる」と彼は言います。

Shapira医師によると、変化に最初に気付くのは家族や親しい友人です。画面から離れられない本人が依存を自覚することは滅多にないのです。「最初に破綻するのは人間関係だ」と彼は言います。

家族や友人に心配な人がいるなら、その人に打ち明けて、ネット依存症の懸念を伝えましょう。その後、心理学者を紹介してあげれば、助言をもらえるでしょう。

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