認知症と自宅の環境

認知症の人にとって、癒えのデザインやレイアウトは大きな影響を与えることがあります。

記憶障害、混乱、新しいことの学習困難の症状は、認知症の人が自分がどこにいるのか、物がどこにあるのか、物事のしくみについて忘れてしまうことを意味しています。

家にいる場合、いつも見ている物は安心感を与えてくれるため、家の中を大きく変更することは望ましくありません。しかし、患者が安全に自立して生活し続けることに役立つ、介助しているあなたにも簡単にできることもあります。

認知症の人にはより適切なライトを付けることが役立つ

認知症は視力が悪くなっていることが多い高齢者が発症する傾向があります。認知症の人は暗いところでは方向がわからなくなるため、常夜灯をつけることは役立ちます。

認知症の多くの人は、家の照明の状態を良くすることで恩恵を受けることができます。混乱したり、転倒する危険性を減らすことに役立ちます。ワット数が高めの電球を使えば、家のライトを明るくすることができますが、どのぐらのワット数まで使えるかどうかはまず始めに確認をすることを忘れないでください。

部屋に自然光を多く取り入れるために、カーテンをあけ、不要なブライドなどは取り除きましょう。窓に影を作って、太陽光を遮ってしまうようであれば、生垣や木を切りましょう。照明は特に階段とトイレで重要です。ライトのスイッチは簡単に手を伸ばすことができる場所にあり、使い方がわかりやすいものである必要があります。

認知症の人には騒音を減らすことが役立つ

誰も見ていない時は、テレビやラジオは消して、騒音を減らしましょう。

カーペットやクッション、カーテンは、騒音を吸収し、部屋の調音を改善することができます。積層材やビニール床材の場合は、単に床を歩くだけでも音がうるさいことがあります。認知症患者が補聴器を付けている場合は、こうした雑音を増幅させてしまい、非常に不快となります。

もし、認知症患者の聴力が加齢により衰えていたら、定期的な聴力検査を行い、補聴器のフィッティングが必要な場合があります。

認知症の患者は、視力と聴力両方に問題がある場合は、症状が悪化することもあります。(盲聾もしくは二重感覚喪失として知られています。)

安全な床と認知症

家でカーペットを交換する必要がある場合、家全体のカーペットの色を同じものに選ぶようにすると、認知症の患者の混乱が少なくなることがあります。

光沢がある床や反射床は避けましょう。床が濡れていると患者が認識する場合があり、認知症の患者が床の上を歩くことが困難になるかもしれません。

床の上にマットや雑巾を置かないようにしましょう。認知症の患者は混乱し、ぞうきんやマットの上を歩かなければならないと思ってしまうため、つまずいたり、転倒したりすることがあります。

対比色は方向をわかりやすくすることに役立つ

床と壁を対比色にすることは、認知症の患者に部屋の奥行き、遠近の感覚を与えてくれます。家具を対比色にすると、見つけやすく、使いやすくなります。

ドアや手すりを壁とは違う色に塗ると目立ちます。トイレの便座を、トイレの中の他の部分と対比色にすると、認知症患者がトイレを探しやすくなります。同様に、テーブルクロスとお皿の色を別にすると、認知症患者には食事がより良く見えます。

ベッドのシーツ、タオル、布地の室内装飾品、壁紙は、パステルカラーよりも混ぜ合わせることが簡単なため大胆な色を選びましょう。パターン柄は認知症患者には混乱をもたらすため、避けましょう。パターン柄の中に、顔や形を見出してしまうため、混乱してしまうのです。

反射は問題を起こすことがあります

認知症の患者が、自分の鏡に映った顔を認識していない場合、鏡に映っている顔もしくは窓に映っている顔をみて、知らない人だと思うことがあります。これは患者を疲労させます。

鏡をロール式のブラインドで覆ったり、夜はカーテンをかければ、ガラスの中に自分の姿がうつっているのを見なくなります。

ラベルを貼れば認知症の患者でも見つけやすくなる

引き出しや、食器棚、ドアにラベルを貼って中に何が入っているのかわかるようにすることは良いアイデアです。例えば、トイレのドアにトイレの写真を貼ったり、カップを入れている戸棚のカップの写真を貼るなどするのもよいでしょう。

また、食器棚のドアを透明のものにすると、認知症の患者には中に何があるか見えるので、非常に役立ちます。

認知症患者にやさしい家財道具

認知症の患者のために特別に設計された家財道具を買うことができます。例えば、持ち手が二つついたカップ、大きなLCD液晶が付いた時計、大きなボタンがついた電話、瓶を開ける道具など、沢山あります。

認知症患者が、蛇口、トイレのレバー、お風呂の排水栓などの付帯設備は典型的な形態のものを好んでいるようであれば、現代的なデザインのものは混乱してしまうかもしれません。

テーブルは全てしっかりと安定したもので丸い形で、端が尖っていないのものにしましょう。患者にとって適切な高さのものを使えば食べ物や飲み物が患者にははっきり見えます。車椅子の場合は必要に応じてテーブルを低くしましょう。

庭や屋外に出ることは認知症患者には良い影響をもたらす

他のどんな人とも同様に、認知症の人は外にでて新鮮な空気を吸って運動をすることで良い影響が出ます。

歩く場所はつまずいたり、落ちたりしないように、平らな場所にしましょう。屋外の場所は安全な場所で、認知症患者が迷わないような場所にしましょう。

動きが制限されている認知症患者に花壇を作ってあげることで、水遣り、花植え、雑草処理などすることで患者は自分の花壇を手入れすることができます。

庭に頑丈で日陰のある腰掛を作ってあげれば、認知症患者は外に長い時間留まることができます。鳥の餌箱、鳥小屋、虫小屋などを作ってあげれば、庭に野生の生き物が多くやってくるでしょう。

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