双極Ⅱ型障害

その他

双極Ⅱ型障害とは何?

双極性障害は精神病の一種です。双極性Ⅱ型障害は、時間の経過とともに、気分の浮き沈みを起こす双極性I型障害に類似しています。
ただし双極性II型障害の人は、「上向き」の気分を経験しますが、本格的な躁状態に達することは、決してありません。双極性II型障害における低強度の上昇気分は、軽躁病エピソード、または軽躁病と呼ばれます。

双極性II型障害の人は、人生の中で少なくとも1回以上の軽躁病エピソードを経験しています。双極性II型障害の人の殆どは、うつ病のエピソードにより頻繁に苦しみます。このことが「躁うつ病」という言葉の由来になっています。

軽躁症とうつ病のエピソードの間に、双極性II型障害を発症する多くの人々は、通常、普段どおりの日常生活を送ることができます。

双極性II障害のリスクは誰にある?

事実上、誰も双極性障害を発症する可能性があります。ほとんどの人は、十代または20代前半で双極性障害の症状を最初に発症します。双極性障害になる人の殆ど全員が、50歳以前に症状を発症します。直系の家族に双極性Ⅱ障害のある人は、リスクがより高くなります。

双極性障害の症状は?

軽躁エピソードの間、高められた気分は、多幸感(気分が ハイになっている状態)または興奮状態のいずれかとして現れることがあります。

軽躁エピソードの間に生じる症状は以下の通りです
・考えが突然他の方向に飛ぶ
・過剰な自信がある
・急に大声をあげる
・異常に活発になり、睡眠の必要性を感じなくなるほどの、エネルギーの増加が見られる

軽躁エピソードを経験している人は、一緒にいるととても楽しいことが、よくあります。彼らはしばしばジョークを言ったり、他の人や活動に強い関心を持ち、他の人に自分の好奇心を抱かせたりして、パーティーのような人生を送っているように一見見えがちです。

楽しい気分でいることのどこが悪いの?と、疑問にもたれるかもしれません。軽躁状態が、躁状態(不安定で不健全な行動)につながることもあります。軽躁症のエピソードは、人が機能する能力に影響を及ぼす完全な躁病(双極性I障害)に発展することがあります。躁病の人は、借金をしてまでお金を費やしたり、通常はしない人とセックスをしたり、危険な結果になりかねない可能性のある、衝動的であり、危険な行動をとることがあります。

双極性II型障害があるほとんどの人は、躁状態よりも、うつ病状態の時間の方が長い傾向にあります。うつ状態は、軽躁症が治まった後すぐであったり、また後で起こることもあります。人によっては、軽躁状態とうつ状態との間を行き来したり、またエピソードの長い時間を通常の気分で過ごす人もいます。

未治療の場合、軽躁病のエピソードは、数日から数ヶ月の間続く可能性があります。最も一般的には、症状は数週間から数ヶ月続きます。

双極性障害のうつ病エピソードは、気分の落ち込み、喜びの喪失、低エネルギーおよび活動、罪悪感または無力感、自殺の考えを伴う「通常の」臨床うつ病に類似しています。双極性障害のうつ症状は、数週間、数ヶ月、まれには何年も続くことがあります。

双極性障害の治療法は?

軽躁病はしばしば、幸福間や、絶え間のない楽観主義かのように思われます。軽躁病が不健康な行動を起こさない場合、しばしば気づないため、未治療になっています。このことは定義上、機能上の問題を引き起こし、投薬や場合によっては入院による治療が必要な完全な躁病とは対照的にあります。

双極性II型障害がある人は、気分を長期間にわたって均等にする薬を服用することで、予防することもできます。また軽躁症の悪影響を防ぎ、うつ病の発症を防ぐのにも役立ちます。

気分安定剤

リチウム

錠剤の形をした、この単純金属は、双極性障害の気分変動(特に高値)のコントロールに非常に有効的です。リチウムは、双極性障害を治療するために、60年以上使用されてきました。リチウムは、十分作用するには数週間かかることがあり、急性軽躁病エピソードよりも長期治療のほうが優れています。副作用を避けるために、リチウムおよび他の検査室検査(腎臓および甲状腺機能など)の血中濃度を定期的に監視する必要があります。

カルバマゼピン

この鎮痛薬は、1970年代から躁病を治療するために使用されてきました。双極性うつ病の治療や予防における効果は、確立されてるわけではありません。肝機能や白血球数を監視するための血液検査も定期的に必要です

ベンゾジアゼピン類

ベンゾジアゼピン類の薬としては、アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパムがあり、一般的に軽度の精神安定剤と呼ばれています。これらは、不眠症またはかゆみなどの、軽躁病に伴う急性症状の短期的なコントロールに使用されます。

抗うつ薬

フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリンなどの一般的な抗うつ薬は、双極性II型うつ病で使用されることがあり、双極性I型障害のよりも、軽躁病を生じたり、悪化させる可能性が低いと考えられています。双極性II型うつ病を治療するために時々使用される他の医薬品には、リチウムなどの気分安定剤があります。認知行動療法などの心理療法も効果的です。

双極性II障害は典型的には再発エピソードを伴うので、再発予防には、しばしば、薬物による継続的な治療が推奨されます。

双極性II障害は予防できる?

双極性障害の原因はよく分かっていません。双極性障害が完全に予防できるかどうかは明らかになっていません。

将来的に軽躁病になるリスクや、双極性障害が発症した際のうつ病の発症リスクを減らすことは可能です。心理学者やソーシャルワーカーによるセラピーのセッションを定期的に受けることで、薬物療法に加えて気分を安定させ、入院のリスクを減らし、全体的に気分を良くするために効果的です。心理療法は、再発の前の警告徴候をよりよく認識し、また処方された医薬品が適切に服用されていることを確認するために効果的です。

双極性II障害と、他のタイプの双極性障害との違いは?

双極性I型障害が見られる人は、完全な躁病 (不規則な行動を伴う重度で異常な気分の向上)を経験します。躁病の症状は、人生において重大な混乱を招き、法的であったり、個人的に重大な問題を引き起こす可能性があります。

双極性II型障害の人は、気分が向上しても、完全な躁状態に達することはありません。双極性II型障害による軽躁状態では、気分が穏やかに向上します。しかしながら、双極性II型障害のうつ病エピソードは、しばしば長期持続性であり、双極性I型障害よりもさらに重症であることも可能性もあります。したがって、双極性Ⅱ型障害は、単に双極性Ⅰ障害の「軽度の」タイプというわけではありません。

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