性同一性障害

その他

性同一性障害は、生物学的性とジェンダー・アイデンティティの間にずれがあるために不快感や苦悩を感じる病気です。

生物学的性は、生殖器の見た目によって、産まれた時に決まります。ジェンダー・アイデンティティは、その人が一致すると感じる性、もしくは自分がそうだと感じる性のことを言います。

大半の人において、生物学的性とジェンダー・アイデンティティは同じですが、全員がそうではありません。例えば、男性の生態構造をしているが、自分は女性だと感じる人もいれば、男性とも女性とも呼べないと感じる人もいるようです。

性とジェンダー・アイデンティティの間のずれは、性同一性障害と呼ばれる、苦しくて不快な感情に発展するかもしれません。性同一性障害は、時に治療を必要とする、広く認められた病気です。これは、精神疾患ではありません。

性同一性障害を持っている人の中には、生物学的性よりもジェンダー・アイデンティティに従って生きていきたいという、強い不変の願望を持っている人もいます。このような人は、性転換者と呼ばれることがあります。性転換者には、外見をジェンダー・アイデンティティに近づけるための治療を受ける人もいます。

性同一性障害のサイン

性同一性障害のはじめのサインは、非常に若い年齢で現れることがあります。例えば、一般的な男の子や女の子の洋服を着ることを拒んだり、一般的な男の子や女の子のゲームや遊びに参加することを嫌がるかもしれません。

ほとんどの場合、このような態度は成長の一過程であり、次第におさまりますが、性同一性障害の人はそれが幼少期から成人期に入ってからも続きます。

性同一性障害を持つ大人は、ジェンダー・アイデンティティと一致しない体の中に閉じ込められていると感じるかもしれません。

このような人は、社会的期待に従うことに不満を抱くあまり、自分がそうであると思っている性ではなく、身体構造上の性として生活してしまう場合があるかもしれません。また、顔の毛や胸など、生物学的性の身体的な特徴を変えたり無くしたりしたいと強く願う可能性もあります。

力を借りる

もしお子さんが性同一性障害かもしれないと感じた場合には、医師に診てもらいましょう。

アセスメント

性同一性障害の診断は、たいていは2人以上の専門家による徹底的なアセスメントが行われた後に、診断することができます。

これは、数ヶ月の間隔をあけて実施される複数のセッションを必要とし、家族やパートナーなど、あなたの近しい人との話し合いも行われるかもしれません。

アセスメントは、あなたが性同一性障害かどうか、そしてあなたに必要なものは何かを判断します。これには、次のものが含まれるかもしれません。

・あなたの生物学的性とジェンダー・アイデンティティとの間に明らかなずれがあるかどうか。
・ずれがあるという結果を受けて、身体的特徴を変えたいという強い願望があるかどうか。
・考えられるずれによる問題にあなたがどう対処しているか。
・あなたの気持ちと態度が時間とともにどう変化したか。
・友人や家族など、あなたにどのようなサポートがあるか。

アセスメントには、もっと一般的な、あなたの身体的と心理的な健康におけるものも含まれるかもしれません。

性同一性障害の治療

もしアセスメントの結果が、あなたもしくはあなたのお子さんが性同一性障害を抱えているということを示唆したら、ジェンダークリニックの人があなたと一緒に個別の治療プランを立ててくれるでしょう。これには、あなたに必要かもしれない精神的なサポートもすべて含まれます。

性同一性障害のための治療は、生物学的性とジェンダー・アイデンティティ間のずれによる苦しい気持ちを和らげたり取り除いたりすることを目的としています。

これは、人によって意味合いが違います。一部の人にとっては、自分の好む性別としての格好をし、生活していけることを示します。

他の人にとっては、ホルモンを摂取したり外見を変えるための手術を受けることを示すかもしれません。

性転換者の多くは、自分のジェンダー・アイデンティティに従うことができるように永久的に体を変える治療を受け、その大半は結果に満足しています。

性同一性障害の原因

ジェンダーの発達は複雑で、人の生物学的性とジェンダー・アイデンティティにずれを生じさせる原因として考えられる変化は数多くあり、このことによって性同一性障害の正確な原因は不明です。

時々、生物学的性の発達の引き金となるホルモンが脳や生殖器に適切に働きかけず、違いが生まれるかもしれません。これは、次のようなことが原因となっている可能性があります。

・おそらく薬の服用による、母親の体内における余分なホルモン。
・アンドロゲン不応症(AIS)と呼ばれる、ホルモンに対する胎児の不感受性。これが起こると、性同一性障害は子宮内で正常に働いていないホルモンによるものかもしれません。

性同一性障害は、次のような他の珍しい病気の結果として起こっている可能性もあります。

・先天性副腎過形成症(CAH)‐多量の男性ホルモンが女の子の胎児において生成されることにより起こる。これは、生殖器の見た目が男性のものに似て、場合によっては赤ちゃんが産まれてから生物学的に男の子だと思われることもあるかもしれません。
・間性状態‐両方の性の生殖器(もしくは性別がはっきりしない生殖器)を持った赤ちゃんが産まれる。親は、手術が施される前に、子供が自分のジェンダー・アイデンティティを選べるようになるまで待つことがすすめられます。

どのくらいの人が性同一性障害になるのか

性同一性障害を持つ人の多くは一度も医師のもとを訪ねないため、性同一性障害を経験する人が何人くらいいるのかは正確にはわかりません。

性同一性障害が珍しいように思われる一方で、社会の認識が広がっていることによってこの障害の診断を受ける人は増えています。

しかし、性同一性障害を持つ人の多くは未だに偏見や誤解に直面しています。

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