うつ病と食事

その他

不運なことに、うつ病を改善することができると証明された特定の食べものがあるわけではありません。だからといって、変な食習慣で生活していてはうつ病の症状は良くならず、すぐに気分を良くすることはできません。健康的な食事をして治療の一助としましょう。

抗酸化物質は細胞のダメージを防ぐことができます。

私たちの体は、普通、フリーラジカルと呼ばれる分子を作ります。しかし、フリーラジカルがあると、細胞の破壊、老化などの問題につながってしまいます。

研究によれば、脳のリスクが特に高いそうです。フリーラジカルの分泌を完全に止める方法はありませんが、抗酸化物質を摂取することで細胞を破壊する効果を弱めることができます。抗酸化物質の例を紹介します。

・β‐カロテン:アプリコット、ブロッコリー、メロン、ニンジン、コラード、モモ、カボチャ、ホウレンソウ、サツマイモ
・ビタミンC:ブルーベリー、ブロッコリー、グレープフルーツ、キウイ、オレンジ、コショウ、ジャガイモ、イチゴ、トマト
・ビタミンE:マーガリン、ナッツ類、野菜油、小麦胚芽

「スマートに」炭水化物を摂取すれば鎮静効果が期待できます

炭水化物は気分を高める脳内分泌物質、セロトニンと関わっています。専門家もよく分かっていないのですが、炭水化物を摂取したくなる欲求は、ときどきセロトニンの活動が弱まるのと関係しているかもしれません。

炭水化物は賢く選びましょう。甘い食べ物を制限し、単純炭水化物(ケーキやクッキーのような)よりもスマートで「複合」炭水化物(小麦胚芽のような)を食べると良いでしょう。フルーツ、野菜、豆類も健康的な炭水化物および食物繊維として機能するでしょう。

タンパク質豊富な食べものを食べて注意力を高めましょう

ターキーやマグロ、チキンなどの食べものにはトリプトファンと呼ばれるアミノ酸が含まれており、セロトニンの分泌を促すはたらきがあります。一日に数回タンパク質入りの食事をするようにしましょう。特に、頭をスッキリさせたい時や、活力を高めたい時にはおすすめです。

豆類、牛肉の赤肉、低脂肪チーズ、魚、ミルク、鶏肉、大豆製品、ヨーグルトは、健康的なタンパク質源です。

十分な量のビタミンDを摂取しましょう

ビタミンD受容体は体中にあり、もちろん脳の中にもあります。

2010年の全国調査では、体内のビタミンDが少なかった人の方がうつ病になる可能性が高いということが発見されました。別の研究では、University of Torontoの研究者がうつ病の症状がある人、特に季節性感情障害(SAD)の人は、春や夏に摂取するくらいの量にビタミンDの摂取量を増やしたら症状が改善しました。

研究者も、どのくらいの量のビタミンDが最善なのかは分かっていません。過剰摂取すると体内のカルシウム量に問題をきたし、腎臓にも問題が発生してしまいます。

セレンを多く含んだ食べものを選びましょう

研究によれば、セレンの量が少ないと、気分が落ち込んでしまうという関係性があるそうです。大人は、1日当たり55マイクログラムのセレンを摂取することが勧められています。

サプリメントを飲むことで、本来期待されている効果が出るかどうかを示す明確な根拠はありません。セレンを過剰摂取してしまう可能性もあります。そのため、食べものを介して摂取することに主眼を置いていきます。

・豆類
・赤肉(ブタ・牛の赤肉、皮なしチキンとターキー)
・低脂肪乳製品
・ナッツ類(特にブラジルナッツ。ただし、セレン含有量が多いので、1日当たり1,2個で十分です。)
・シーフード(カキ、ハマグリ、イワシ、カニ、海水魚、淡水魚)
・全粒穀物(全粒パスタ、玄米、オートミールなど)

ω‐3脂肪酸を含んだ食べもの

最近、十分な量のω‐3脂肪酸を食べない人が多い社会ではうつ病になる人の割合が高いということが分かりました。別の研究では、豊富なω‐3脂肪酸の摂取源である魚をそんなに食べない人はうつ病になりやすい傾向があるということが分かりました。

α‐リノレン酸を含んだ良いω‐3脂肪酸の摂取源を紹介します。

・脂っこい魚(アンチョビー、サバ、サケ、イワシ、コノシロ、マグロ)
・亜麻仁(フラックスシード)
・キャノーラ油および大豆油
・ナッツ類、特に、クルミ
・ダークグリーンの葉の野菜

体重と生活習慣も大事です

肥満の人はうつ病になりやすいです。また、いくつかの研究によると、うつ病になった人は肥満になりやすい傾向があるようです。研究者は、これはうつ病に起因する免疫システムとホルモンの変化の結果であると考えています。

さいわいなことに、以上に挙げた食べものを含む栄養満点の食事を食べていれば、健康な体重に戻し、そのまま体重を維持しやすくなります。難しかったり、辛かったりしたら、医師に相談しましょう。

うつ病の人の多くはアルコールや薬物に頼ってしまいがちです。アルコールや薬物は気分、睡眠、モチベーションを害するだけでなく、抗うつ薬の効果を弱めてしまうことがあります。

カフェイン入りの飲みものや食べものは不安を引き起こすことがありますし、夜眠りにくくする効果もあります。夜しっかり眠りたい日は、午後にカフェインを摂取しないか、量を減らすかすると良いでしょう。

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