ナットウキナーゼ

その他

ナットウキナーゼは、食品の納豆(茹で大豆を枯草菌というバクテリアにより発酵したもの)に由来する多くの酵素の一つで、すぐに、線維素溶解活性(フィブリン分解)を持つと考えられています。ナットウキナーゼにより、心臓血管系イベントのリスクが減少すると考えられていますが、研究は不十分な状況です。

概要

ナットウキナーゼは、発酵食品の納豆(茹で大豆を特に枯草菌というバクテリアで発酵したもの)に含まれる、多くの酵素の一つです。当初、キナーゼだと考えられたので、このような名前がつきました。専門的分類では、スブチリシンクラスのセリン・プロテアーゼで、「線維素溶解」作用があるため、健康サプリとして使用されています。ナットウキナーゼは、酵素によって線維素を分解します。これにより、血栓形成や、それに続く血液凝固を予防することで、心臓血管系のイベントが減少すると考えられています。

この酵素は、経口摂取後に活性化すると考えられています。ただし、すぐに活性化するかは不明です。試験管内実験(生体外で行われる実験)において、ナットウキナーゼが、すぐに線維素を消化することが示唆されました。また、いくつかの介入実験において、ナットウキナーゼを経口摂取することで、血栓形成を減少できることが指摘されました。ナットウキナーゼは、生物活性ペプチドに代謝されます。これは、後に線維素溶解作用を持つ、組織プラスミノゲン活性化因子という因子も誘発します。そのため、線維素溶解作用により血液の凝固が発生しにくくなる、という全般的な効果があるにも関わらず、その基本的なメカニズムは完全に解明されたわけではないと考えられています。

熱または酸破壊後、ナットウキナーゼの分解産物は、レニン活性やアンジオテンシンIIを減少させ、血圧を下げることもある、生物活性ペプチドになります。トリグリセリドやコレステロールへの効果に関しては、ナットウキナーゼや、ナットウキナーゼに由来する生物活性ペプチドは、全く機能しないと考えられます。

人間における介入実験から、ナットウキナーゼ摂取と関連して、わずかに血圧低下作用があるのではないかと考えられます。しかし、経口摂取後、人間において線維素溶解作用があることを支持する研究はわずかです。その中でも、分離したナットウキナーゼを用いた実験では、統計的検出力が制限されているか、ナットウキナーゼと他の物質を使用しているかのどちらかです。最近の、最も信頼できる研究では、ナットウキナーゼに加えてピクノジェノールを用いていました。

総じて、ナットウキナーゼの酵素活性や薬力学は新しいものです。そのため、他のサプリや、薬理学的選択肢と比較すると、ナットウキナーゼの使用法を裏付ける研究は十分ではありません。特に、予防薬としての使用法に関しては、アスピリンの方がはるかに研究進んでおり、現在、ナットウキナーゼと上述の対照薬剤を比較した、比較研究は存在しません。

納豆による心臓の健康への効果は、バクテリアに由来するほかの酵素を含むものと、納豆に固有の豊富なビタミンKの両方が混同されています。ビタミンKは、植物内や、腸内細菌によって生成される必須ビタミンです。ビタミンKは骨の健康や、血液凝固を抑制するのに重要な役割を果たします。

基礎知識

混同注意
納豆(食品)

摂取方法

ナットウキナーゼを経口摂取する際の適量を示唆した研究は、十分にはありません。しかし、人間における実験では、1日に500mgから5000FU(線維素溶解単位)を用いることが多く、通常、食事とともに、2回に分けて摂取します。

納豆自体が実験に用いられる事もあります。その実験では、2週間以上、毎日12gの納豆を食べることで、血栓を予防する効果があることが指摘されました。

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