双極性障害の原因

その他

医師は双極性障害の原因を完全には解明してはいません。しかし、彼らは近年、躁うつ病での気分の高揚と大うつ病での気分の低迷、そしてこれら2つの極端な状況の間の様々な気分を含む、双極性スペクトラムに関し、より大きな範囲で理解を深めています。

双極性障害は家族内で頻繁に見られ、この気分障害に遺伝的な部分があるようです。環境や生活習慣の問題が障害の重症度に影響をあたえるという証拠が増えています。ストレスの多い生活習慣や、アルコールや薬物の乱用は、双極性障害の治療をより困難にする可能性があります。

脳と双極性障害

専門家は、双極性障害の一部は、特定の脳回路に関する根本的な問題と、神経伝達物質と呼ばれる脳化学物質の機能によって引き起こされると考えています。

3つの脳化学物質、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、セロトニン、およびドーパミンは、脳機能および身体機能の両方に関与しています。ノルアドレナリンおよびセロトニンはうつ病および双極性障害のような精神医学的気分障害と一貫して関連しています。喜びとポジティブな感情(emotional reward)を調整する脳の部位内の神経経路は、ドーパミンによって調整されます。他の脳領域でドーパミンを使用して伝達する回路の破壊は、現実のゆがみや非論理的な思考パターンおよび行動を特徴とする重度の精神障害である精神病および統合失調症と関連しているようです。

脳化学物質のセロトニンは、睡眠、覚醒、食事、性的活動、衝動性、学習、記憶など多くの身体機能に関連しています。研究者らは、セロトニンが化学伝達物質として関与する脳回路の機能の異常状態は、気分障害(うつ病および双極性障害)に寄与すると考えています。

環境と生活習慣の双極性障害に及ぼす影響

双極性障害との遺伝的関連とともに、双極性の親を持つ子どもたちはしばしば重大な環境ストレス要因に囲まれていることが研究によって示されています。それには、大きな気分変動、アルコールまたは薬物の乱用、金銭的および性的無分別、および入院の傾向のある両親と共に暮らすことが含まれます。双極性障害の親の子どものほとんどは双極性障害を発症しませんが、一部はADHD、大うつ病、統合失調症、または薬物乱用などの異なる精神障害を発症することがあります。

環境ストレス要因はまた、遺伝的な傾向がある人々の双極性障害を発症させる役割を果たします。例えば、双極性障害を持った家庭で育った子どもは、気分や感情のコントロールに欠ける親と一緒に暮らすことになるでしょう。双極性障害の親が、投薬治療を受けていないか、アルコールや薬物を使用している場合、一定の言葉による、または身体的な虐待を受けている子どももいます。

睡眠不足の双極性障害に及ぼす影響

双極性障害を有する人々は、うつ病や躁病の症状を引き起こす可能性のある睡眠-覚醒サイクルの問題に対する遺伝的素因があることを示す研究結果があります。

しかし、双極性障害の患者にとっての問題は、睡眠不足が一部の患者を躁病(高揚)などの気分に関する症状を引き起こす可能性があるということです。睡眠不足を心配すると不安が増し、双極性気分障害が悪化する可能性があります。双極性障害を持つ睡眠不足の人が躁状態になると、睡眠の必要性はさらに減ります。

眠りにつくことや睡眠の維持をすることが困難な場合には、医師に相談して下さい。睡眠の問題を解決するのに役立つ、中毒性のない睡眠薬があります。また、認知行動療法は、睡眠不足または不安および睡眠不足に対する恐怖を有する双極性障害患者にとって有益な治療法であることが示されています。

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