避妊のための避妊リング(IUD)

陰部

概要

避妊リング(IUD)とは小さな、T字型のプラスチックの器具で、銅またはホルモンが付加されているものもあります。避妊リングは医師によって子宮内に挿入されるものです。避妊リングの端に結ばれたプラスチックの糸は頸部から腟の一部までぶらさがった状態になります。この糸を感じることによって、避妊リングが正しい場所にあることが確認できます。この糸は医師が避妊リングを取り出すときにも使われるものです。

どのように効果がでるのか

銅付加避妊リングもホルモン付加避妊リングも、精子の動きを弱らせたり、殺すことで受精卵になることを防ぎます。また、受精卵が着床し、成長する場所である子宮内膜にも影響を与えて避妊するものです。

避妊リングの挿入

いつでも避妊リングの挿入をすることはできますが、妊娠していたり、骨盤内感染症にかかっている場合にはできません。医師によって避妊リングは子宮内に挿入されます。挿入するにはほんの数分しかかからず、産科医のクリニックで行うことができます。頸部の周辺に局所麻酔をかけることもありますが、麻酔は常に必要ということではありません。

避妊リングの挿入は、経産婦には簡単にできます。

避妊リングを挿入後すぐに、避妊リングの糸を感じることができるかどうかを確認するため、糸があるのをどう感じるか聞いてきます。

避妊リングを挿入後どうなるのか

避妊リングの挿入後は、誰かに家まで運転をしてもらいたくなるかもしれません。1-2日間、軽度の腹痛や少量の出血があることがあります。

避妊リングを挿入してから最初の24時間は、セックスしたり、タンポンその他のものを腟に入れないようにしましょう。

避妊リングを使うことができる場合

もし、以下に当てはまるようであれば、避妊リングを使うことができる可能性が高いです。

・避妊リングを挿入する時点で、骨盤内感染症になっていない
・他にセックスパートナーがいないセックスパートナーが一人だけで、その人が性感染症に感染していない場合。これは、あなた自身が性感染症もしくは骨盤内感染症にかかっているリスクが高くないこと、またはあなたもパートナーもコンドームも積極的に使おうと考えている場合を意味している
・簡単かつ効果的で長期間効果が続き、妊娠したくなったらすぐに変更できる避妊方法を希望している場合
・避妊ピルやその他のホルモン避妊剤を使いたくない、または使うことができない場合
・母乳育児をしている場合

どれぐらい効果があるのか

避妊リングは避妊方法としては、非常に高い効果があります。

・銅付加避妊リングやホルモン付加避妊リングを使うときは、最初の1年間で女性100人のうち妊娠する女性は1人以下
・避妊リングをしているにも関わらず妊娠するケースのほとんどは、知らない間に避妊リングが子宮から押し出されてしまっているからです。出産直後に挿入されたり、出産系系のない女性では、避妊リングの使用を開始して最初の2-3ヶ月で外れてしまうことがあります。
・避妊リングを使うことの利点は、時間とともに費用対効果が高くなること、使用が簡単であること、子宮外妊娠のリスクが低いこと、前戯や性交の妨げにならないことです。

ホルモン付加避妊リングの利点

ホルモン付加避妊リングの利点は以下の通りです。

・避妊リングの使用開始2-3ヶ月で、平均して90%の女性が、生理の出血が軽くなっている
・生理出血や生理の腹痛が和らぎ、時折生理自体が来なくなることがある。このケースでは生理が来なくても体に悪影響はない
・子宮内膜増殖症や子宮内膜がんを防ぐかもしれない
・子宮内膜症を効果的に和らげる効果がある場合があり、高用量プロゲスチンよりも副作用を起こすことが少ない
・子宮外妊娠のリスクを減らす
・体重増加の原因とならない

リスクについて

避妊リングを使用することのリスクには次のものがあります。

・生理のトラブル。銅付加避妊リングは生理中の経血量の増加や月経痛が強くなることがあります。また、生理と生理の間に少量の出血がある場合があります。ホルモン付加避妊リングは、月経痛や経血量が減ることがあります。
・穿孔。女性の1,000人に1人が、避妊リングが取れなくなったり、子宮に穴をあけてしまうことがある。穿孔は稀なことですが、避妊リングを挿入している時に起こる。子宮に穴が開いてしまった場合、避妊リングを取り出す必要がある。
・避妊リングが外れる。最初の1年間で、100人中、2-10人は、避妊リングが子宮から腟に外れることがある。これは大抵、使い始めてから最初の2-3ヶ月で起こることが多い。出産直後に避妊リングを入れた時、もしくは出産したことのない女性が避妊リングを挿入した場合に避妊リングが外れることがある。避妊リングが外れた時は、避妊はできない状態になっています。

避妊リングの難点は、挿入する時のコストが高い、性感染症に対する保護はない、医師に取り外してもらわなければならない、などです。

ホルモン付加避妊リングのデメリット

ホルモン付加避妊リングは、卵巣嚢胞と呼ばれる、非がん性(良性)腫瘍ができる原因となることがあります。卵巣嚢胞は自然と消えていきます。

ホルモン付加避妊リングは、経口避妊ピルによって起きるのと同様のホルモン副作用が起こることがあります。乳房の圧痛、気分の変動、頭痛、にきびなどです。これは非常に稀なことです。副作用が現れた場合、通常、最初の2-3ヶ月で消えていきます。

避妊リングをつけていたが妊娠した場合

避妊リングをつけていても、妊娠した場合は医師は避妊リングを外すように勧めます。これは、避妊リングが流産や早産の原因となるためです。(避妊リングは出生異常の原因とはなりません。)

医師に相談しなければならない場合

避妊リングを使っている時、避妊リングに関した重大な問題の兆候には気をつけないとなりません。

もし、以下のようなことがあれば、すぐに医師に連絡をとるか、受診をしてください。
・お腹もしくは骨盤にひどい痛みがある場合
・腟からひどく出血している場合
・1時間に2回、またはそれ以上の時間で2回、生理用ナプキンやタンポンから血が染み出している場合
・腟分泌物に悪臭がある場合。熱や寒気がある場合
・妊娠したかもしれないと思う場合

健康状態の変化をよく観察するようにし、もし以下のようなことがあれば医師に連絡してください。
・避妊リングの糸が見つからない場合、または糸の長さがいつもより短かったり、長かったりする場合
・避妊法について何か問題がある場合
・性感染症に罹ったかもしれないと考える場合

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