ペパーミント
ペパーミント(セイヨウハッカ)は、香りや味覚といった感覚を刺激する作用がある雑種植物です。ペパーミントオイルは、内服すると、胃腸内のガスを排出し、腸をサポートする作用があります。胃や腸の緊張をほぐす効果は、十分に裏づけされており、過敏性腸症候群(IBS)の腹痛を和らげるのに効果があります。
概要
ペパーミント(セイヨウハッカ)は、沼薄荷とスペアミント交配種です。当初は料理や食品を製造する目的で使われていましたが、それ以外にも、医学的な目的でも使われていました。ペパーミントには、油成分が含まれ、これが医薬的成分であると考えられています。そして、この油成分には、生物活性原料だと考えられている極めて多量のメントールが含まれています。このメントールは、推奨量では毒性を持ちません。しかし、同じ成分が、タバコ製品に含まれることがあります。
ペパーミントの主な医薬的効能は、胃や腸管での筋肉の弛緩作用からくるものです。そして、ペパーミントを内服することで、結腸運動が減少する一方で、胃での初期段階の消化スピードが速まります。ペパーミントは、胃腸のガスを排出させると考えられている、駆風薬的な物質として知られています。そして、ペパーミントを服用することで、過敏性腸症候群(IBS)の患者の腹痛を軽減できるということが、極めて多くの研究によって裏付けられています。過敏性腸症候群の他の症状への効果はそれほど大きくないようですが、腹痛の軽減は極めて重要です。
ペパーミントオイルの他の効能としては、頭痛の早期軽減があります。緊張性頭痛が起こった際、局所用溶液(うち10%がペパーミントオイルのもの)を頭皮に塗りこむことで、頭痛が早期に軽減されることがあります。アロマセラピーとして使用される際には、吐き気が軽減されるかもしれません。推奨量を服用するのは安全ですが、ペパーミントオイルを過度に摂取する事で、意図的に毒性量に到達すると考えられます。
注意事項
混同注意
スペアミント、沼薄荷(これらの交配によってペパーミントが誕生しました)
注意事項
・ニコチンからコチニンへの転換が抑制されることが指摘されています。これは、CYP2D6酵素が抑制されることにより起こると考えられています。効能においては些細なことですが、ペパーミントの摂取に関連すると考えられます。(対象の研究ではお茶が使用されています)
・メントールは、人間の体内のCYP3A4 酵素をかなり効果的に抑制します。この効果は、グレープフルーツジュースにわずかに劣る程度です。それゆえ、厳選した薬剤を使用する時には、禁断症状を示す可能性があります。
摂取方法
胃腸の調子や運動性を向上させるために、ペパーミントオイルを経口摂取するときは、1日2、3回に分けておよそ450-750mgの用量を摂取しましょう。これは、オイルでは、1回あたり約0.1-0.2mLです。ペパーミントの正確な適量は分かっていません。しかし、この量では、メントール含有量はおよそ33-50%に相当します。
頭痛治療のためにペパーミントを用いる時は、頭痛が始まった際に、ペパーミントオイル10%を含む溶液を、頭の正面に薄く塗り、その15分後、30分後に再度塗ります。合計3回ペパーミント溶液を塗りましょう。
アロマセラピーにペパーミントを使用する際は、とりわけ特定の用量はありません。他の方法のアロマセラピーと同じく、オイルまたはスチーマーで、香りが周囲に広がるまで使用しましょう。
ペパーミントオイルは、そのかたちに関わらず効果的です。しかし、特に、胸やけ(胃酸の逆流)の症状がある人や、腸のためにペパーミントオイルを摂取しようと望む人には、腸溶性カプセルがいいでしょう。なぜなら、カプセルが予定より早く溶けてしまった場合、筋肉の弛緩作用が食道で働いてしまうからです。