うつ病に関する一般的な情報
キーポイント
・うつ病は、普通の悲しみとは異なる。
・がん患者の中には、他の人よりもうつ病になる可能性が高い人がいるかもしれない。
・うつ病の原因となり得る病気はたくさんある。
・家族もうつ病になる可能性がある。
うつ病は、普通の悲しみとは異なる
うつ病は、単純に悲しくなるということではありません。うつ病は、診断され、治療することのできる特定の症状を持った病気です。がんと診断されている患者の約10人に2人は、うつ病になります。発病する男女比は同じくらいです。
がんと診断された人は、精神的に疲れる出来事とたくさん向き合います。これには、次のようなものが含まれるかもしれません。
・死への恐怖。
・人生設計の変更。
・身体イメージと自尊心の変化。
・日常生活の変化。
・経済面や法的問題の心配。
悲しみや嘆きは、がん診断に対してよく起こる反応です。がんを患っている人は、次のような他のうつ病の症状もあるかもしれません。
・不信、否定、または絶望などの感情。
・睡眠障害。
・食欲不振。
・将来についての不安や心配。
がんの診断を受けた人が皆同じように反応するわけではありません。うつ病や不安神経症のないがん患者もいれば、大うつ病や不安障害を持っている人もいるかもしれません。
がん診断と治療に慣れてきたことを示すサインには、次のようなものがあります。
・日常生活で活動をすることができる。
・配偶者、親、従業員としての役割りを果たし続けることができる。
・がんと関連のある気持ちや感情をコントロールすることができる。
がん患者の中には、他の人よりもうつ病になる可能性が高い人がいるかもしれない
がん診断の後になるうつ病の危険因子には、知られているものがあります。うつ病になる確率を上げるものは、すべてうつ病の危険因子と呼ばれています。うつ病になるリスクを高めるものが必ずしもがんと関連しているとは限りません。
がんと関連している、うつ病を引き起こす可能性のある危険因子には、次のようなものが含まれます。
・すでにうつ病を持っている状態で、がんと診断される。
・うまく管理されていないがんの痛みがある。
・がんによって身体的に弱っている。
・すい臓がんを患っている。
・進行がんを患っていたり、予後が不良である。
・自分が他の人にとって負担となっていると感じている。
・特定の薬を服用している。
うつ病を引き起こす可能性のある、がんと関連性のない危険因子には、次のようなものが含まれます。
・うつ病や自殺未遂などの経歴がある。
・家族にうつ病を患っていたり自殺をした人がいる。
・精神的な問題やアルコール依存症、薬物乱用などの経歴がある。
・家族や友人からのサポートが足りていない。
・がん以外の人生の出来事によるストレスを感じている。
・脳卒中や心臓発作など、うつ病の原因となる可能性のあるその他の健康問題を抱えている。
うつ病の原因となり得る病気はたくさんある
うつ病を引き起こす可能性のある病気には、次のようなものが含まれます。
・治療で治まらない痛み。
・血中のカルシウムやナトリウム、カリウム濃度の異常。
・食事にビタミンB12や葉酸が不足している。
・貧血症。
・発熱。
・甲状腺ホルモンが多すぎたり少なすぎたりする。
・副腎ホルモンの不足。
・特定の薬による副作用。
家族もうつ病になる可能性がある
不安神経症やうつ病は、がんを患っている大切な人の世話をしている家族にも起こるかもしれません。自分の気持ちについて話し、一緒に問題を解決していく家族は、うつ病や不安神経症がひどくならない傾向にあります。