物忘れ
症状
物忘れに悩まされている人は、その名の通り、物事を忘れやすくなります。共通して言えることは、新しい情報を消化することができなくなるということで、これは短期記憶障害と呼ばれます。その時の時間や場所がよくわからなくなってしまうため、混乱してしまうのです。健忘症の人が、逆に、古い記憶や、よく知っている記憶を忘れることは、一般的にありません。
大人に生じる、程度の軽い物忘れは、記憶の期間等に決まった法則性はありません。短期記憶も長期記憶も忘れる危険性がありますし、つい最近のことは覚えていたとしても、ATMの暗証コードのように、使い古された情報ですら、忘れることがあります。このようなタイプの物忘れは、鬱病や、不安、そしてストレスと一緒に起こることが多いです。
考えられる原因
物忘れの原因は、若い世代から高齢者の世代に渡って、それぞれ異なります。ここでの高齢者とは、65歳より上の人を指します。以下のリストに、上から順に、最も一般的なものから珍しいものまで、物忘れの原因をまとめてみました。
若い世代間の物忘れ
・不安やストレスが原因で物忘れが起こることがあります。リラックスすることができなかったり、緊張感があったりすると、集中力が欠如し、脳の記憶する場所に染みとおるのに、十分な情報を作り出せないことがあります。
・鬱病も同じく注意力や集中力を削ぎ、思い出したり記憶するのに支障をきたしてしまうがあります。またやる気や動機が足りなくても、質の良い記憶を作りにくくなります。鬱病を治療することで、気分を前向きにし、記憶力の欠如の改善することができるのです。
・睡眠の質や量に影響を及ぼしかねない、不眠症や、無呼吸のような睡眠の障害もまた、記憶に悪影響を及ぼすことがあります。
・精神安定剤等の過度の使用は、脳の機能を抑圧するため、記憶力を低下させてしまいます。これは、記憶する役割を持つ機能にも影響を及ぼし、物忘れを激しくしてしまいます。
・甲状腺機能低下症、いわば甲状腺がうまく機能していない状況下では、脳細胞の機能が低下し、その結果として最近の出来事を忘れやすくなってしまうことがあります。
・外傷性脳損傷によって意識がなくなると、物事を忘れることがあります。脳の記憶する箇所自体が損傷してしまうと、治療不可能な記憶障害になってしまう恐れがあります。
・アルコールや違法ドラッグへの依存は、脳を麻痺させ、結果的に記憶力が低下してしまうかもしれません。アルコールを大量に摂取することで、ビタミンB1が欠如する恐れがあり、記憶力が損傷してしまいます。
・赤血球の酸素を運ぶ用量が少なくなることで起きる貧血が原因で、体が弱くなったり、疲労感に襲われることになるかもしれません。これによって混乱状態に陥り、記憶力が低下する恐れがあります。
・血流の問題によって脳の機能が低下してしまうことが特徴的な脳卒中は、数多の記憶障害を引き起こしてしまう恐れがあります。例えば新しい情報を学習したり、覚えたり、異なる場面に既知の情報を当てはめたり、日常的な動作を誰にも指示されることなくこなしたりすることが難しくなり、また良く知っているはずの場所で迷ってしまったり、日付や時間がわからなくなってしまうこと等があります。
・多発性硬化症(MS)は、中枢神経系の神経線維を囲む保護鞘である、ミエリンの損傷によって引き起こされます。この損傷は、脳から他の体のパーツに飛ばされた指令を、妨害してしまいます。MSによって、脳や脊髄の一部が変わるに従って、患者は思考障害、もしくは記憶障害になってしまうことがあります。ウイルスや細菌が最も一般的ですが、菌類、寄生生物等、他の物質も脳に感染することができます。病気の名前は、感染した箇所によって変わります。例えば、髄膜炎(脳や脊髄を覆う保護膜である、髄膜の炎症)、脳炎(脳)、脊髄炎(脊髄)等があります。
高齢者の世代間の物忘れ
・まずアルツハイマー病が挙げられます。この病気の初期段階では、主に短期記憶が阻害されます。進行していくと脳の機能の他の側面にも影響を及ぼしていき、最終的には脳の機能障害をもたらしてしまいます。脳細胞を傷つけてしまう、異常タンパク質(アミロイド)の形成によって引き起こされます。
・血管性認知症もまた、脳の機能障害の症状の一つですが、脳の機能のどの側面よりも先に、計画力の障害から始まることが特徴的です。動脈硬化(アテローム性動脈硬化)が原因です。
・鬱病に関しては、既に若い世代間の記憶障害で触れた通りです。
・脱水症は、体内の水分が足りていない状態のことを言いますが、混乱してしまい、記憶障害に繋がる恐れもあります。
・処方箋やその他薬の副作用によって、記憶や思考するのに重要な、脳の化学構成が変わってしまう場合があります。
・甲状腺機能低下症、もしくは甲状腺機能亢進症で、甲状腺がうまく機能しないと、最近の出来事を思い出しにくくなってしまうでしょう。
・外傷性脳損傷は高齢者にも、特にこけたとき等に、起こり得ます。
・頭に小さな怪我を受けてしまったとき。
・脳に腫瘍ができると、脳の構造が抑圧され、記憶構造が圧迫されてしまいます。
・レヴィー小体病やパーキンソン病等、その他の進行性の脳の病気もまた、高齢者の記憶機能に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
家で自分でできる治療法
・適度な運動と、バランスの良い栄養は、良い記憶力の礎を築くのに、なくてはならないものです。特に高齢者の方にとって、年をとると同時に、運動や健康的な食生活を維持することは大切です。
・個人個人の記憶機能を改善するのに役立つ補償戦略はたくさんあります。その中には、健康的な人々も使っている、日記や電子日記も含まれています。記憶に障害のある人は、日記や電子日記を使うことを忘れてしまう可能性があるため、毎日決まった時間に鳴るアラームなどの、特別なリマインダーを使う必要があります。
・他にも記憶力の改善には、様々なコツがあります。その内の一つが、情報の視覚化です。覚えなければならないものの絵を描く等が良いでしょう。このようなイラストは、物事を思い出す良い手助けとなる、日常の中のエピソードと結びつくことがあるのです。
・アルツハイマー病等、記憶障害がもっと深刻な場合、患者をカレンダーや親しみ深いもの、写真、音楽等に再び触れさせるのが良いでしょう。
・アルツハイマー病を患っており、さらに医者に診てもらっている場合、イチョウの葉の成分を摂取するのが良いかもしれないと、一部の専門家は発表しました。これ以外のホメオパシー療法のような治療は、対照実験において有用性を示すことができていません。