有酸素運動で腹部脂肪を燃やす
有酸素運動は、腹部脂肪を減らすためには確実な方法である、と新たな研究で明らかになっています。
Duke University Medical Centerの研究者たちが、有酸素運動と筋力トレーニング、そしてその2つを組合わせたものを直接比較した時に、健康を最も害する腹部脂肪をなくすためには、有酸素運動がもっとも効率的で効果的であるということを発見しました。
これは皮膚のすぐ下にあって、恐ろしい贅肉を生み出してしまう脂肪ではありません。腹部脂肪―科学界では内臓脂肪や肝臓脂肪として知られる―は腹腔の奥深くにあり、内臓の周りの空間を埋めているものです。心臓病や糖尿病、特定のがんのリスクと関係があります。
「健康に対するリスクが高まるという話になると、体の中で脂肪がどの場所にあるかということの方が、どのくらいの脂肪がついているかということよりも重要になってきます。」こう言っているのは、American Journal of Physiologyで発表された研究の指導的立案者であるDuke University Medical Centerの運動生理学者のCrus Slentz学術博士です。「私たちの研究は、この不健康な脂肪を取り除くための最も効果的な運動形態を特定することを目標としていました。」
Duke University Medical Centerの研究では、有酸素運動によって、非アルコール性脂肪性肝疾患の原因である内臓脂肪や肝臓脂肪を大幅に減らすことができるということを明らかにしました。有酸素運動は、空腹時インスリン抵抗を改善し、肝酵素と空腹時トリグリセリド値を減らす点においても、筋力トレーニングよりも効果がありました。このようなものは全て、糖尿病や心臓病の危険因子として知られています。
運動を組合わせることがベスト
筋力トレーニングでは、内臓脂肪、肝臓脂肪、肝酵素値を大幅に減らしたり、インスリン抵抗を大幅に改善することはできません。有酸素運動と筋力トレーニングを組合わせることで、有酸素運動のみの場合と似たような結果を得ることができます。
「筋力トレーニングは、体力を改善し、徐脂肪体重を増加することに関してはすばらしいものです。」Slenz氏は言います。「しかし、肥満である場合―これは人口の3分の2が当てはまることですが―、そして腹部脂肪を減らしたいと思っている場合には、有酸素運動がより良い選択肢です。有酸素運動によってより多くのカロリーを燃やすことができるからです。」研究では、有酸素運動は、筋力トレーニングと比較すると67%多くカロリーを燃焼していました。
8ヶ月の研究は、肥満で、ほとんど体を動かさない成人(18~70歳)196人に対して行われ、参加者たちは有酸素運動をするグループ、筋力トレーニングをするグループ、2つの運動を組合わせて行うグループの3つのグループに分けられました。
有酸素運動のグループは、最大心拍数の80%で、週にジョギング12マイル分に相当する運動を行いました。筋力トレーニングのグループは、週に3回、8~12回の反復運動を3セット行いました。全てのプログラムは念入りに監視され、最大限の努力をもって運動に参加できるようにしました。
運動プログラムは激しく、しっかりとしたものでしたが、Slentz氏は、過去の研究から、より適度な有酸素運動プログラムでも同じような結果を得ることができると考えている、と述べました。
「本当に重要なことはどのくらい運動をしているか、どのくらいの距離を歩いているか、そしてどのくらいのカロリーを燃焼しているかということです。」と彼は言います。「軽い有酸素運動を行うことを選んだ場合には、単に同じ量の不健康な脂肪を燃やせるようになるまでにより長い時間がかかるというだけなのです。」