アルコールの離脱症状って何?
もしあなたが、何週にも、何ヶ月にも、何年にもわたってかなりの量のアルコールを飲んでいるなら、飲酒を止めたり飲む量を大きく減らしたりしたとき、精神的にも身体的にも体に問題が発生する可能性があります。これをアルコールの離脱症状といいます。その離脱症状には軽度なものから重度のものまでさまざまです。
一定期間をおいて飲酒するようにしているなら、飲酒を止めたときに離脱症状が出る可能性は低いです。しかし、いったん離脱症状を経験してしまうと、次にお酒を止めることになったときにも再び離脱症状を経験することになるでしょう。
どうして離脱症状が出てしまうの?
アルコールを飲むと、抑うつ効果が現れます。アルコールは脳の機能を低下させ、神経におけるメッセージのやりとり方法を変化させてしまいます。
時間をかけてゆっくり、中枢神経系は常にアルコールが体内をめぐっている状態に適応していきます。脳がより覚醒した状態を保ち、神経同士のやりとりを維持するために、体は活発化します。
血中アルコール濃度が急激に下がったときでも、脳は興奮状態のままです。これが離脱症状の起こる原因です。
どんな症状があるの?
離脱症状には軽度なものから重度なものまであり、その人がどのくらいの量のアルコールを飲んだのか、および、どのくらい長い期間飲み続けていたのかによって左右されます。
軽度の症状は、たいてい飲み終えてから6時間ほどで現れます。症状の例としては、
・不安感
・手の震え
・頭痛
・吐き気
・嘔吐
・不眠
・発汗
などです。
もっと重度な症状では、幻覚は飲み終えてから約12時間から24時間ほど、発作は飲み終えてから2日以内に現れます。そこに無いものを見たり感じたり聞いたりするようになるのです。
これはせん妄と同じではありません。せん妄は、たいてい飲み終えてから48時間から72時間後に現れ始めます。鮮明な幻覚や妄想など、深刻な症状が出てくるようになります。アルコールの離脱症状を持つ人のうち、こうした症状が出るのはたった5パーセントの人たちだけです。以下に挙げる症状が現れることもあるかもしれません。
・混乱
・心拍数の上昇
・高血圧
・熱
・激しい発汗
離脱症状はどのように診断されるの?
医師に離脱症状有りだと疑われた場合、今までどのようにお酒を飲んできたか、最後に飲んだのはいつごろなのかということに関して質問されると思います。また、過去に離脱症状を経験したことがあるのかどうかも聞かれるでしょう。
症状についても検討することになるかもしれません。検査中、症状から考え得るほかの病気がないか探すでしょう。
離脱症状を治療する
深刻な病気を抱えていたり、過去に激しい離脱症状が出たことがあるという場合以外は、おそらく、環境を整えるだけで良いでしょう。
・静かな場所
・やさしい光
・他人との交流制限
・その人の治療に対して前向きな周りの雰囲気
・健康な食事とたくさんの水分
血圧が上昇したり、動悸が激しくなったり、体温が上昇するようになったり、さらには発作や幻覚などの深刻な症状が確認された場合は、医師は入院治療および薬物治療を勧めるかもしれません。
不安感、不眠、発作などのような症状を治療する代表的な薬はベンゾジアゼピン類です。また、ほかの薬と一緒に抗精神病薬や抗発作薬を服用することになるかもしれません。
離脱症状は予防できるの?
アルコールの離脱症状の治療は短期間の治療で、根本の問題は解決しません。症状の抑制方法を医師に相談する時に、過度の飲酒やアルコール依存症の治療法に関しても相談すると良いでしょう。お酒を止めるアドバイスをしてもらえると思います。