子供が熱もないのに嘔吐しているのはなぜ?
吐くということは、子供にとってはとても辛いことです。もしお子さんが突然嘔吐したら、親であるあなたも心配になりますよね。子供が熱がないのに嘔吐をする場合、たくさんの要因が考えられます。考えられる原因を知っておくことで、お子さんの体調不良の元となっていることを絞ることができ、適切な治療を受けられることに繋がります。
ウイルス性胃腸炎
ほとんどの場合、胃腸炎はロタウイルスやノロウイルスといったウイルスが原因で発症します。一方で、大腸菌やサルモネラ菌といった細菌が原因となることもあります。ノロウイルスは、時に微熱を引き起こすこともありますが、全く熱が出ない場合もあります。
ノロウイルスは伝染します。お子さんがノロウイルスに感染した場合、以下の3つの感染経路が考えられます。
・ノロウイルスに感染している人と接触した
・ノロウイルスが混入している食べ物を食べた
・ノロウイルスが付着しているものを触り、その後手を洗うことなく口や鼻を触った
お子さんがウイルスに感染してから12~48時間後から症状が出始めます。嘔吐のほか、下痢、吐き気、胃けいれんなどの症状がみられることがあります。
たいていの子供は、1日~3日ほどで回復します。
食物アレルギー
お子さんの嘔吐の原因が、食物アレルギーである場合もあります。症状が嘔吐だけのこともありますが、ほかにも、息苦しくなったり、じんましんが出たり、繰り返し咳が出たり、喉がゼーゼーいったり、飲み込むのが困難になるといった症状が出ることがあります。アレルギーを引き起こす原因となっている食べ物は、たいていの場合、以下のようなものです。
・ピーナッツ
・ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、クルミなど)
・魚
・甲殻類(海老など)
・卵
・牛乳
・小麦
・大豆
食中毒
ばい菌が子供の食べるものに混入すれば、食物経由の病気(食中毒)を発症する可能性はあります。食べ物に隠れている細菌として一般的なのは、以下の通りです。
・サルモネラ菌
・リステリア菌
・カンピロバクター
・大腸菌
どのような食べ物でも、食中毒を引き起こす可能性があります。とくに、正しく調理されていなかったり、保存方法が間違っていた場合に多くみられます。主な原因には、以下のようなものがあります。
・肉
・鶏肉
・卵
・甲殻類
・野菜を洗わなかった場合(レタスなど)
細菌に汚染された食べ物を食べてから数時間くらい経った頃に、お子さんが嘔吐を始めるかもしれません。症状が出るまでに、1日~2日かかることもあります。通常は、嘔吐とともに、吐き気や水に近い下痢、腹痛などの症状も出ます。
食中毒が原因で熱が出ることもありますが、熱がなくて嘔吐をするケースが一般的です。症状は数時間から、場合によっては数日間続くこともあります。
腸閉塞
新生児は、嘔吐をしているのかただ吐き出しているだけなのかを見分けるのが難しいことがあります。嘔吐は、吐き出すときよりも体の力を使います。また、吐き出す行為をするのは、授乳してからそんなに時間が経っていない場合が多いです。どちらか判断が難しい場合は、医師が助けてくれるでしょう。
力強い嘔吐は、赤ちゃんにはあまり起こりませんが、起こった場合は、赤ちゃんの腸が塞がってしまっているということの表れかもしれません。また、「幽門狭窄症」と呼ばれる病気にかかっているという可能性もあります。これは、腸が狭すぎて、食べ物がうまく通過できないという病気です。これらの二つは、どちらもとても深刻な病気ですので、直ちに医師に診てもらう必要があります。
脳震とう
子供は、頭を打つ機会がとても多いです。とくに、歩けるようになる頃や、運動をしているときに見られます。子供が頭を怪我した場合は常に、脳震とうの症状が出ていないかどうかに注意しましょう。嘔吐は、その代表的な症状です。ほかにも、以下のような症状が出ることがあります。
・意識を失う
・頭痛
・視力障害
・歩行困難
・精神錯乱
・発話が不明瞭
・起き上がるのが困難
嘔吐やその他の症状は、子供が頭を打ってから24~72時間経たないと現れない場合もあります。
薬
お子さんが、おなかが空いているときに特定の薬を服用すると、嘔吐を引き起こすことがあります。子供に薬を飲ませて嘔吐をした場合、時に、量を飲ませすぎたことが原因であることがあります。このようなことを引き起こす可能性のある薬として代表的なものは、以下の通りです。
・コデイン
・エリスロマイシン
・特定の避妊ピル
・テオフィリンなどの喘息の薬
・鉄
・アセトアミノフェン
・イブプロフェン
乗り物酔い
子供の脳が動きに対して複数の信号を受け取ってしまうと、気分が悪くなり、嘔吐をしてしまうことがあります。例えば、映画を観ているだけで気持ち悪くなるという子供もいます。目は動きを認識していますが、体は動きを感じていないからです。車酔いは、小さくて窓の外を眺めることができない子供に多くみられます。
乗り物酔いは、通常、腹痛や胃のむかつきが初期症状として現れます。汗をかいたり、食欲がなくなり、食べたくないと訴える子供もいます。次第に、嘔吐を始めます。これには、遺伝も関係しています。父親か母親のどちらかがかつて乗り物酔いに苦しんでいた場合は、その子供も乗り物酔いを起こしやすい傾向にあります。
偏頭痛
小学校に通うくらいの年齢の子供の10%が偏頭痛に苦しんでいるというデータもあります。こうした頭痛は、早ければ18ヶ月の赤ちゃんに見られることもあります。頭の痛みを引き起こしますが、偏頭痛が原因で子供が嘔吐をするという場合も珍しくありません。そのほかにも、以下のような症状が現れることがあります。
・めまい
・吐き気
・感触、音、臭いに敏感になる
専門家は、偏頭痛の明確な原因を特定できていません。子供の身近なところに原因が隠れているかもしれません。遺伝である可能性もあります。両親のどちらかが偏頭痛持ちの場合、その子供が偏頭痛を発症する可能性は50%と言われています。両親とも偏頭痛持ちの場合、その確率は75%まで上昇します。
ストレス
ストレスを感じると嘔吐をしてしまう子供がいるのは事実です。耳感染などの病気の煩わしさから、嘔吐を引き起こすという場合もあります。また、長時間泣いたあとに嘔吐をすることもあります。嘔吐の原因がストレスであるかどうかを判断する指標として、嘔吐が1~2回しかなく、腹痛や下痢といったほかの症状が見られないということが挙げられます。