ストレスについて理解する

その他

ストレスとは、日常生活の中で負荷のかかるストレス要因に直面、応答あるいは反応した時に心や体が感じることを説明するために使われる言葉です。

「ストレス反応」として知られる反応の度合いは、主としてストレスのかかる出来事の受け入れ方、ストレス要因に対処する能力、出来事の規模によって決まります。「ストレス反応」には、神経系やホルモン系、免疫系の間の複雑な相互作用を通して媒介される、非常に物理的な構成要素があります。

よくあるストレス要因

日常生活の中で最もよく見られるストレス要因には、以下のようなものがあります。

・愛する人の死、経費削減、離婚などの人生の大きな出来事
・性的虐待や地震、戦闘などのトラウマ
・栄養失調、貧困、官僚制度などの社会経済的要因
・人間関係の問題や家族の変動、性別、孤独や社交恐怖などの社会的要因
・過労や締め切り、失業などの職業的要因
・食習慣の乱れや栄養摂取量の低さ、ダイエットなどの栄養上の要因
・カフェインやアルコール、薬、タバコや麻薬などの物質乱用
・財政上のストレス
・運動不足
・慢性的な病気や痛み

ストレス反応

「ストレス反応」とは、全ての生物に生まれつき備わっているものであり、生存本能と直接結びついています。人間においては、ストレス反応は危険を知らせるものであり、「闘争・逃走反応」とも呼ばれることがあります。

体内の資源は、主に即時的な身体反応のために動員されます。この刺激と反応の過程に、時間が経つにつれて順応していくトレーニング効果があります。

しかし、ストレス要因がコントロールできないほど大きくなっていたり、それに対処する能力が低下していると知覚した時には、ストレス反応は健康に悪影響を及ぼし始めるのです。

この2つの異なる要因(ストレスのかかる出来事の認知と対処メカニズム)によって、同じようなストレス要因でも影響の仕方が人によって異なる理由と、見たところ大きさが異なっているストレス要因が強いストレスを引き起こす可能性がある理由を判断することができます。

ストレスは、人間の生来の能力が比較的変わっていない一方で人生のペースは増加しているために、現代の欧米世界の決定的な特徴となっています。ストレスは連続体です。良い影響をもたらすストレスは「ユーストレス(eustress)」、悪い影響をもたらすストレスは「ディストレス(distress)」として知られています。

弛緩反応

Herbert Benson医師は、1970年代に、ストレス反応と逆の反応を指す言葉として、この言葉を使いました。ストレス反応は交感神経系によって抑制されますが、リラックス反応は副交感神経系によって抑制され、個人個人によって条件づけられている可能性があります。

これが体の回復や維持を目的として反応であり、健康のためには欠かせないものです。無意識のストレス反応は、意識的に深呼吸をすることによって弛緩反応に変えることができます。瞑想や漸進的弛緩法、自己催眠、バイオフィードバックや祈りなど、様々な方法を通して、ストレス反応を修繕することができます。

積極的にリラックスするためのこの条件つきの能力によって、ストレスの影響の及ぼし方をコントロールする手段を得ることができます。

ストレスの条件づけ

ストレスの特性や種類は、過去数百年の間で変化してきました。日常生活におけるストレス要因は、現在ではより長期的で仮想的なものになっています。現代の生活の中で人にストレスを与えているものは、ほとんどが実際には起こらないものなのです。この場合のストレスは「もしそれが起こったらどうなるだろう」という考えによって生じます。潜在意識は、現実に起こるストレスのかかる出来事とストレスのかかる出来事に対する精神的な先入観の違いを区別することができません。そのため、体はある意味それが現実のことであるかのように反応するのです。

長い間繰り返される仮想的なストレス要因は、出来事をフィルターにかけ、その認識を変えることができるので、それによって一つの条件つき反応を生み出すことができます。ストレス条件づけによって、最終的に最小のストレス要因に直面した際に大きな負の反応が生じます。これが不安や不眠症、その他の慢性的なストレスの症状を引き起こすものであることもあります。また、多くの人が「弛緩反応」を学び直さなければいけなくなる理由でもあります。

ストレスレジリエンス/ストレスコンピテンシー

ストレスレジリエンスとは、ストレスに対処するための「適性」のことです。主として、身体的・精神的・感情的健康状態、ストレスのかかる出来事の認知や対応策、環境や支持構造、ストレス対処の習慣の健全さによって決定されます。効果的なストレスコンピテンシーは発達させることができ、これによってストレスレジリエンスが増加します。

良い対処メカニズム

特定のストレス対処の習慣によって、悪い影響を得ることなく、安全で効果的なレベルでストレスにうまく対処することができます。そのような習慣には以下のようなものがあります。

・ポジティブな考え方
・休息とリラクゼーション
・適度な運動
・十分でバランスのとれた栄養
・十分なコミュニケーション
・精神的支援
・スキンシップ
・ユーモア
・時間計画
・財政計画

悪い対処メカニズム

ディストレスに対処するために、特定の習慣的な方法も使われます。このような習慣は、即時的なストレスに対処する一方で、時間が経つにつれてストレスをより増加させ、健康に悪影響を及ぼします。

悪い対処メカニズムの例としては以下のようなものがあります。

・違法ドラッグや薬剤、アルコール、カフェイン、タバコなどへの薬物依存
・食べすぎ
・テレビの見すぎ
・感情的爆発
・被害者意識
・浪費
・躁病的行動

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