通常の加齢ではない物忘れ

高齢者の軽度の記憶に関する問題は、「高齢者の物忘れ」と言い訳されることが多いです。しかし、新たな研究で、深刻な認知症を引き起こす、脳の同様の変化も、このような記憶力の衰えの原因であるかもしれないと発見されました。

この発見は、物忘れは加齢の正常な現象であるという長年の見解と矛盾する、とアメリカのチームは言います。

「私たちは、ただ、高齢だから、思考と記憶における問題が起こるのは通常のことであり、無視して構わないとは思いません。これは、実際に、病気のサインだと思います」と、アメリカ、シカゴの Rush University Medical Centreの研究者である、Robert Wilsonは言います。彼の研究は、the journal Neurologyに掲載されました。

アルツハイマー病

最も一般的な認知症である、アルツハイマー病は、徐々に記憶、論理的思考能力を失い、自立して生きられなくなるために命に関わる、脳の病気です。

部検によってのみ、アルツハイマー病の診断に用いられる、脳の変化を確認することができます。つまり、患者の多くは、専門家監修の、一連の記憶テストを受けなければなりません。

Wilsonの発見は、最大13年間、毎年、記憶検査を受けた、350人のカトリックの修道女、司祭、修道士による、長期の研究の、最新のものです。

彼らが亡くなった時には、脳が検査されました。病理学者は、特に、タウという、アルツハイマー病と関連のあり、脳でもつれる、有毒タンパク質に注目しました。

また、脳卒中や、レビー小体の証拠がないか、調べられました。レビー小体とは、レビー小体病と呼ばれる、認知症発症の原因となる、神経細胞における異常なタンパク質です。

「きれいな脳」に物忘れはない

物忘れのサインを示していない患者の脳もきれいです。記憶に問題がある患者は、徐々に進展しますが、人生の最後の4、5年で加速することが多いです。

「私たちは、アルツハイマー病の主な原因である脳の変化について話しており、ほかの認知症も、記憶や思考における、非常に軽く、初期の変化の主な原因であると考えられています」と、Wilsonは、電話インタビューで話していました。

アルツハイマーは診断の10年前に始まっています

アルツハイマー病は、診断の10年前に始まっていると多くの専門家は考えています。Wilsonは、彼の発見が、この理論の信憑性をより高めると言っていました。

記憶力の変化について不安があれば、検査を受けてみるのが良いと、Wilsonは言っています。しかし、その決定を下すのであれば、慎重に検討しなければなりません。なぜなら、世界で2600万人に影響を及ぼす、アルツハイマーの進行を改められる薬は、今のところ、存在しないからです。

この病気の進行を阻止する新薬の開発を目指して、研究者は、血液や髄液のタンパク質バイオマーカー、または新たな造影剤に基づいて、認知症を診断する新たな方法について、取り組んでいます。

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