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精神健康(メンタルヘルス)と演技性パーソナリティー障害について

演技性パーソナリティー障害は、「クラスターB」もしくは「演技性パーソナリティー・ディスオーダー」と呼ばれる人格障害の群の一つです。この障害のある人は、激しく、不安定な感情と歪んだ自己像を持っています。演技性パーソナリティー障害の人たちは、自尊心が他人からの称賛によるもので得られており、本当の自尊心を感じたことから出てきているものではありません。他人から注目されたいという衝動にかられるため、注目を引くために演技がかった行動や不適切な行動をしばしばとります。

この人格障害は、男性よりも女性に多く、青年期や若年成人期に起こることが多いようです。

演技性パーソナリティー障害の症状とはどのようなものでしょうか?

多くのケースにおいて、演技性パーソナリティー障害の人は社交性が高いのですが、自分がいつも注目の的となれるように、高い社交性スキルで他人を操作しようとする傾向があります。

この人格障害の人は以下のような傾向もあります。

・自分が注目の的にない限り、不愉快になる
・挑発的な服を着たり、不適切な誘惑をしたり、異性の気を引く行為をしたりする
・感情が突然変化する
・まるで観客の前で演技しているかのように、演技がかったような行動をする。過度な感情表出と表情をするが、浅薄である
・外見を非常に気にする
・常に安心感と他人からの称賛を求める
・騙されやすく、他の人の影響を簡単に受けやすい
・批判には過度に繊細である
・不満に対する許容範囲が少なく、繰り返しの日常には飽きてしまい、最後までやることなく計画したことをはじめ、次から次へとイベントに参加する
・演技前に考えていない
・すぐに判断を下そうとする
・自分が中心にいると考え、他の人にはほとんど関心を示さない
・人間関係を維持することが難しく、他の人との関わりが浅く、嘘っぽくみえることがある
・注意をひくために、脅したり、自殺を試みたりする

演技性パーソナリティー障害の原因は何でしょうか?

演技性パーソナリティー障害の原因はわかっていませんが、メンタルヘルス専門家の考えでは、発達段階における遺伝的要因と学習的要因が影響を与えているとしています。例えば、演技性パーソナリティー障害は遺伝する傾向があり、これはこの障害が遺伝的感受性があることを示しています。しかし、この障害のある親を持つ子供は、単に学習行動を繰り返している可能性もあります。他の環境的な要因としては、子供時代に批判をされることがなかったり、虐待を受けていたり、一定の褒められる行動を行ったときだけ、それを繰り返し行わせる正の強化が行われ、親から子供へ気まぐれな注目が行われたことにあります。こうしたこと全てにより、どのような行動が親からの称賛を得ることができるのか、ということを子供が混乱したことに繋がったのが原因であると考えられています。通常、人格障害は、個人の気質や精神的様式、成長期のストレスにどう対処するか学んできたかに関連して発症しています。

演技性パーソナリティー障害はどのように診断されますか?

このタイプの人格障害の兆候がある場合、医師は医学的・精神的病歴の評価を行うところから始めます。もし、身体症状がある場合は、身体検査と血液検査や神経画像検査などの臨床検査を行うよう勧められます。これは、出ている症状が身体的疾患が原因でないことを確認するためです。

医師が症状には身体的な理由がないと判断した場合、医師は精神科医や精神分析医、または精神疾患の診断のための特別な訓練を受けた医療専門家を紹介します。精神科医や精神分析医は、評価するための特別な内容のインタビューと評価ツールを使用し、人格障害であるか評価を行います。

演技性パーソナリティー障害はどのように治療するのでしょうか?

一般的に、演技性パーソナリティー障害の人は、自分が治療が必要だと思っていません。自分の感情を誇張する傾向があり、繰り返しを好まない傾向があるため、治療計画を立てることは困難です。しかし、人間関係を失ったり、失敗したことに関連したり、または自分の行動による他の問題が悩みの種となり、うつになった場合は、助けを求めるはずです。

心理療法は、一般的に演技性パーソナリティー障害の治療の選択肢となっているものです。治療の目標は、患者の考えや行動に関連した動機や恐れを明らかにし、もっとポジティブな方法で他人と関わることを学ぼうとすることです。

うつ病や不安症のような疾患が現れている場合は、薬剤による治療が行われることがあります。

演技性パーソナリティー障害に関連した合併症にはどのようなものがありますか?

演技性パーソナリティー障害は、患者の社会的、職業的、恋愛関係、喪失や失敗にどう対応するかに影響を及ぼす可能性があります。この障害のある人は、そうでない人に比べてうつ病になるリスクが高いです。

演技性パーソナリティー障害の人の将来の見通しはどのようなものでしょうか?

この障害のある人は、社会生活や仕事を上手に行うことができます。しかし、障害が重い場合は、日常生活に重大な問題がでることもあります。

演技性パーソナリティー障害は予防することができますか?

演技性パーソナリティー障害を予防することはできませんが、この障害になりやすい人を状況に合わせた生産的な方法を学ばせることで治療することはできます。

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