アルコール依存症

その他

原因とリスクとなる要因

アルコール依存は、最も一般的な病気の一つで、薬物依存の最も一般的な形態です。アルコール依存症には、特定の原因はありませんが、アルコール依存症の発症には、複数の要因が関連していると考えられています。

・長期にわたる、過度の飲酒。長期間、絶え間なく、過度に飲酒をすることで、特定の脳内化学物質の量が変化することで、ポジティブな感情を復活させ、ネガティブな感情を避けるために、アルコールを欲するため、依存につながります。アルコール依存症の可能性があるのは、男性では、週に15杯以上、女性では週に12杯以上、もしくは、性別にかかわらず、最低、週に1回、一度に5杯以上アルコールを飲む人です。(1杯は、ビールではボトル1本、ワインではグラス1杯、蒸留酒では1単位です。)しかし、身体的な依存が、アルコール依存症の唯一の原因ではありません。通常、他の要素も作用します。
・遺伝的特長。遺伝子構造により、脳内化学物質に変化が起こり、アルコール依存症になりやすくなっている可能性があります。遺伝的要因が、アルコール依存症を発症する全てのリスクのうち、およそ半分を占めていると考えられます。アルコール依存症の両親を持つ場合、リスクは高まりますが、アルコール依存症の両親を持つ子どもが、自動的にアルコール依存症を発症するわけではありません。また、家族にアルコール依存症の人がいない人でも、この病気を発症することはあります。
・他の精神疾患。アルコール依存症では、他の精神疾患を発症する可能性が高いです。(これは重複診断と呼ばれます。)
・心理的要因。ストレス、不安、憂鬱、自尊心の低さから開放されるために、お酒を飲む人もいます。深刻なうつ病といった、特定の臨床的な情緒障害の場合、アルコール依存症のリスクは高まります。精神疾患を自分で治療しようとすることで、アルコール依存症を発症する場合もあります。
・社会的要因と文化的要因。同僚からの圧力、アルコールの入手可能性、アルコール摂取に対する社会的受容といった、社会環境によって、アルコール依存症が発症することもあります。
・年齢。十代、もしくは、早期に飲酒を始めた場合、アルコール依存症を発症するリスクが高まります。通常、成人では、アルコール依存症を発症するまでに数年かかることが多いですが、十代の若者は、数ヵ月のうちに依存症になることがあります。アルコール依存症の確率は、18から29歳で最も高く、65歳以上で最も低いです。
・性別。男性は、アルコール依存症になる確率が高いです。しかし、女性がアルコール依存症になる確率は、過去30年間で増加しています。

予防

家族に、アルコール依存症、もしくは、飲酒問題の症状がある人がいることを認識することが、飲酒からアルコール依存症に発展する前に予防するための重要なステップです。

以下の質問の答えに、「はい」が1つある場合、アルコールに関する問題が発生する可能性があります。「はい」が複数ある場合、問題がある可能性が非常に高いため、助けを求めた方が良いでしょう。

・飲酒量を減らす必要があると感じたことはありますか?
・自身の飲酒に関する質問や批判を受けて、不快に感じたことはありますか?
・飲酒に関して罪悪感を感じたり、困ったりしたことはありますか?
・心を落ち着かせるため、もしくは、二日酔いを和らげるために、朝に飲酒したことはありますか?

10代の若者に関しては、特に、早期の治療が重要です。十代の飲酒を避けるには、以下のような方法があります。

・飲酒に関する良い手本を示しましょう
・子どもと心を開いたコミュニケーションをするように働きかけましょう
・飲酒の医学的、法的結末について話し合いましょう

適量のお酒をたしなみ、アルコールに関連する問題を回避できる人は多いでしょう。「適量」とは、女性や高齢者であれば、1日に1杯未満、男性であれば、2杯未満です。生理学的差異のため、女性は、男性よりも、中毒になりやすいです。つまり、女性の方が、アルコール依存症になりやすいです。また、加齢による体の変化により、高齢者も中毒になりやすく、アルコールの影響を受けやすいです。

全く飲酒をしてはいけない人もいます。例えば、妊娠中の女性、妊娠をしようとしてる女性、運転や、注意力、協調能力を必要とする作業をする予定がある人、特定の医薬品を服用している人、飲酒によって悪化する可能性がある疾患を患っている人、もしくは、元アルコール依存症患者です。

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