睡眠障害を持っている可能性の有無
日中に眠気を感じ、足は引きずるように、まぶたはくっつきそうになりながら過ごしているのは普通ではないということを自覚しましょう。「私は昔からこうだから」という考えに騙されて大丈夫だと思ってはいけません。本来なら、朝起きたらすっきりしていて、一日中目が冴えているということが毎日起こっていなければなりません。
次のようなことを経験したことはありますか?
・7、8時間寝た後にすっきりせずに目覚めた。
・無意識のうちに会議や社交行事中に寝てしまった。
・特に夜にベッドで寝転んでいる際に、脚にむずむずする、這い回るような感覚がし、動かしたくてたまらなくなった。
・あなたのいびきがうるさすぎて寝ている間にパートナーがどこかに消えた、もしくはパートナーをベッドから蹴り落としてしまった。
もしこれらのひとつでも当てはまれば、治療すれば人生が変わる可能性のある睡眠問題、睡眠障害、もしくはそれと関連する病気をあなたは持っているかもしれません。
7,8時間の睡眠の後にすっきりせずに目覚めることは、睡眠の質が悪いことを示しているかもしれません。睡眠の質は時間と同じで、私たちの健康と幸福にとって極めて重要です。私たちの睡眠には複雑なパターンもしくは構造があり、夜間にさまざまな周期を通る4つの段階があります。睡眠周期の特定の段階と時間では、私たちはさまざまなホルモンや、私たちの代謝や健康に関する要因を調整する、その他の物質を分泌します。もし私たちの睡眠パターンが変われば、私たちはすっきりせず、疲れ、眠たくなり、深刻な病気のリスクを抱えることになります。
まずは、簡単に睡眠問題、原発性睡眠障害、そして病気から派生する睡眠障害を識別しましょう。
睡眠問題は、「睡眠衛生」や「悪習慣」の結果として起こることが多いです。これらは、さまざまな習慣や環境要因であり、たいていのものはあなたがコントロールできるものです。この中には、あなたの眠りにつく能力や眠り続ける能力に影響を与える喫煙、アルコールやカフェインの摂取、激しい運動や就寝前のごちそう、時差のある区間の移動による時差ぼけ、そして締め切りや試験、夫婦間葛藤、就職危機のような心理的なストレス因子などが含まれます。質の良い睡眠衛生プログラムを考案し、それを続けることでこの類の問題は和らげることができるはずです。
認識されている睡眠障害は85種類以上あり、最も知られているものは不眠症や睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、そしてむずむず脚症候群などでしょう。これらやその他の病気は、さまざまな形で現れるかもしれません。
無呼吸
ベルベットの金づちが頭のはるか上にある、あなたの寛大で親身になってくれる同床者は、あなたがいびきだけでなく呼吸まで止まっていることに気づきます。10、20、それから30秒間、あなたは実際に息をしなくなります。そして、パートナーが驚き、不安になることに、まるで最後の一息かのようにあなたは空気を求めて苦しそうにあえぎます。このサイクルが一晩中、繰り返し起こります。あなたはそのことに全く気づいていない可能性があります。目覚ましが鳴り、乾いた口、頭痛、二日酔いのような感覚で起こるかもしれません。また、日中に眠たかったり、物忘れがひどかったり、集中力、注意力、機嫌、その他の関連している問題もあるかもしれません。このやや恐ろしい状況は、睡眠時無呼吸症候群という病気においてよく見られるものです。
閉塞型睡眠時無呼吸症候群の治療には、3つのカテゴリーがあります。
・理学療法もしくは機械療法。
・手術。
・非特異的療法。
その他の睡眠障害
むずむず脚症候群(RLS)
特に就寝時間あたりになると多くの人(人口の約15%)が、後に激しく脚を動かして不快感をぬぐいたい衝動に駆られる、脚の「しびれてピリピリするような感覚」、「内部におけるかゆみ」、もしくは「むずむずする、這うような感覚」を味わいます。この動きをすることによって、不快感は完全に和らぎます。これらは、RLSの典型的な症状です。RLSは、眠りにつくのが困難になり、また、目が覚めてしまい、不快感を和らげるために歩き回るしかなくなる可能性もあります。医学的に重大なものとは考えられていませんが、RLSの症状は煩わしいものから、あなたとあなたの同床者の生活に深刻な影響を及ぼすものまで、幅広くあります。
ナルコレプシー
無意識のうちに寝てしまうのは、ナルコレプシーという症候群を示しているかもしれません。日中における過度の眠気は、一般的に最初に現れる症状です。これは、起きていたいにもかかわらず襲ってくるどうしようもない眠気です。ナルコレプシーは、カタプレキシーと呼ばれる笑いやその他の激しい感情、半分起きてはいるのに動けない、たいていは怖い状況にある睡眠麻痺、そして入眠時や眠りから目覚める際に起こる、非常に鮮明で恐ろしい夢である入眠時幻覚によって引き起こされることの多い、突然の衰弱もしくは無気力と関連しています。また、いつもしていることやつまらないことをするが、後に記憶に残らない、無意識下での行動をする可能性もあります。
この状況には、行動療法も薬もあり、これらによって生活がまた送りやすいものとなるかもしれません。
治療
覚醒状態のレベルを高めるために刺激剤、上記の関連する症状をコントロールするために抗うつ剤が薬には一般的に含まれます。刺激剤の効果は人によって大きく異なり、その服用量や服用するタイミングは個別に定められなければなりません。
正確な診断と治療のためには、睡眠の専門家に診てもらうことが必須です。
睡眠障害の多くは、さまざまな医学的障害やメンタルヘルスの障害、痛み、さらにはこれらの障害の治療から派生します。糖尿病やうっ血性心不全、肺気腫、脳卒中などの病気は、睡眠の妨害となる夜間の症状を伴うかもしれません。ほんの数例を挙げれば、関節炎、がん、胃酸の逆流などによる痛みと同様に、抑うつ病や不安障害は睡眠障害と関連しています。
睡眠問題や原発性睡眠障害、それから病気から派生している、もしくは病気と関連している症状に気づき、識別することは、正確な診断と治療に極めて重要です。しかし、それらが互いに影響を与え、複雑に相互作用することが多いという事実に気づくこともまた、同じくらい重要です。例えば、睡眠不足は機嫌に影響し、機嫌は睡眠の質に影響を与える可能性があります。睡眠不足は肥満の原因となり、肥満は睡眠障害を引き起こすかもしれません。厳密に、これらの要因がどのようにして相互作用しているのかは完全には知られていませんが、各要因を個別に対象とし、大きく改善された治療介入や治療を得ることはできます。
睡眠障害は、私たち個人の公衆衛生、安全、能力に巨大な影響を及ぼします。幸いなことに、認知度が上がってきたことによって、より効果的な治療が開発され、苦痛が減り、もっと幸福で充実した生活を送れるようになってきています。