強迫神経症
兆候と症状
強迫神経症の人々は、強迫観念や強迫感、あるいはその両方の症状がみられることがあります。これらの症状は、仕事、学校、個人的な関係など、生活のあらゆる側面を妨げる可能性があります。
強迫観念は、不安を引き起こす考え、衝動、または精神的なイメージです。一般的な症状は次のとおりです。
・細菌や汚染に対する恐れ
・性欲、宗教、害における、望ましくない禁じられた、あるいはタブーの思考
・他人や自己に対する好戦的なな考え
・物事を対称的に、または完璧な順序で行う
強迫は、強迫観念を持った人が、その観念に応じて、やらざるを得ないと感じる反復的な行動です。一般的な強迫は次のとおりです。
・過度の洗浄や手洗い
・注文やアレンジを、具体的で正確な方法でおこなう
・ドアがロックされているかどうか、またはオーブンのスイッチがオフになっているかの確認など、何度も繰り返し確認をするる
・衝動的に数える
すべての儀式や習慣が強迫だと言うわけではありません。物事を二重にチェックするのは、誰でも行うことです。しかし一般的に強迫性障害の人には、以下が見られます
・思考や行動が過剰だと思っていても、制御できない
・これらの考えや行動について、1日に少なくとも1時間を費やす
・行動や儀式を行うときには喜びを感じるのではなく、不安からの一時的に開放されたと感じる。
・これらの考えや行動によって、日常生活における重大な問題を経験する。
強迫性障害の人の中にはチック障害を持つ人もいます。運動性チックは、瞬きなど目を動かす、しかめっ面をする、肩をすくめる、頭や肩が痙攣するなど、突然の、短く、反復的な動きをみせます。一般的な声帯チックとしては、喉払い、臭いをかぐ、低いうなり声をあげるなどがあります。
症状は出たり消えたり、時間の経過とともに緩和したり、悪化したりすることがあります。
強迫神経症の人の中には、強迫を引き起こす状況を避けることによって、対処しようとする人もあれば、アルコールや薬物を使って自分自身を落ち着かせようとする人もいます。
大人で強迫神経症の人のほとんどは、自分たちがしていることが意味をなさないと認識していますが、少数の大人や大部分の子供は、その行動が普通ではないことを認識しないこともあります。親や教師は、通常、子供の強迫神経症の症状を認識しています。
強迫性障害があると思われる場合は、症状について医師に相談してください。未治療のまま放置すると、人生のあらゆる面に、影響を及ぼす可能性があります。
リスク要因
強迫性障害は、世界中の大人、青少年、および子供に影響を及ぼす一般的な障害です。ほとんどの人は19歳くらいまでに診断され、通常女の子より男との子の方が、発症年齢が早いですが、35歳以降に発症することもあります。
強迫性障害の原因は不明であるが、リスク要因には以下が考えられています
遺伝子
双子および家族に関する研究では、一等親血縁者(親、兄弟、または子供など)に強迫性障害の人がいる人は、強迫性障害を発症するリスクが高いことが示されています。その一親等の家族が、小児または10代のときにOCDを発症した場合、さらにリスクは高くなります。現在でも、遺伝子とOCDとの関連が研究され続けており、OCDの診断と治療の改善が見込める可能性があります。
脳の構造と機能
造影の研究では、強迫性障害の患者の脳の前頭皮質と皮質下構造に差異が見出されています。 強迫性障害の症状と、脳の特定の部位の異常に関連性があると考えられています、どのように関係があるのかは明らかになっています。研究はまだ進行中です。原因を理解するこでとで、強迫性障害の治療のための、個別の治療法を決定するのに役立ちます。
環境
小児期に虐待(身体的または性的虐待)を受けた人や、その他のトラウマを経験した人は、強迫性障害を発症するリスクが高くなります。
治療ととセラピー
強迫性障害は通常、投薬、心理療法、またはこれら2つを組み合わることで治療されます。殆どのケースで治療で効果が見られますが、中には症状を引き続き経験する患者もいます。
強迫性障害の患者の中には、不安、うつ病、身体醜形障害(自分の体の一部が異常だという、間違った思い込みがある)など、他の精神障害を持つ人もいます。治療に関する決定を下す際には、これらの他の障害を考慮することが重要です。
薬
セロトニン再取り込み阻害剤(SRI)や選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、強迫性障害の症状の軽減を助けるために使用されます。大人と小児の両方でOCDの有効性が実証されている薬としては、より古いクラスの「三環式」抗うつ薬群であるクロミプラミンがあります。また、以下を含む新しい「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」(SSRI)があります。
・フルオキセチン
・フルボキサミン
・セルトラリン
SRIは、うつ病よりもOCDの治療において、1日の服用量が高いことが多く、効果を実感するまでに8〜12週間かかりますが、一部の患者には、より迅速な改善がみられています。
これらのタイプの薬物で症状が改善しない場合、患者によってはリサーチペリドンなどの抗精神病薬がうまく作用することが研究によって示されています。研究では、抗精神病薬がOCDとチック障害の両方を持つ人の症状の管理に効果的であることが示されていますが、OCDを治療するための抗精神病薬の有効性に関する研究は混在しています。
投薬を処方されている場合は、必ず次のようにしてください。
医師または薬剤師と相談する
今服用している薬物のリスクと効果を確認してください
先ず医師に相談することなく、投薬を中止しない
突然薬を止めると、症状がぶり返したり、または悪化する可能性があります。他の不快な、または潜在的に危険な離脱効果が起こることも考えられます。
副作用に関する懸念事項があれば、すぐに医師に報告する
薬の用量、または薬自体の変更が必要な場合があります。
心理療法
心理療法は、強迫性障害を持つ大人と子どもにとって効果的な治療法となり得ます。研究では、認知行動療法(CBT)などの心理療法が、多くの人にとって、薬と同じくらい有効である可能性が示唆されています。
また、研究では、暴露-反応妨害法(Ex / RP)と呼ばれるCBTの一種は、SRI薬で効果が無かった人々の、OCDの強迫行動を軽減するのに効果的であると示しています。多くの患者にとって、EX / RPは、SRIまたはSSRI薬がOCD症状を効果的に治療しない場合に選択される追加治療です。
その他の治療法
NIMHは、強迫性障害が通常の治療法でうまく成果が見られない人々のための、新しい治療法の研究を支援しています。これらの新しいアプローチには、組み合わせおよび追加(拡張)治療、そしてに深部脳刺激法(DBS)などの新規技術があります。