反社会性パーソナリティー障害

その他

反社会性パーソナリティー障害(ASPD)のある人は、機知に富んでいて魅力的で、一緒にて楽しいかもしれません。その反面、彼らは嘘をついたり他人を利用したりします。ASPDの患者は人への配慮を欠きます。自分の行動が人を傷つける時であっても、罪悪感を感じることはありません。軽率で、破壊的な、そして危険な行動をとるようになります。

現代の診断システムによれば、ASPDには二つの、関連しているが同一ではない条件が含まれています。一つ目は「精神病質」です。精神病質者(サイコパス)は、他人を傷つける行為が計算高く、操作的で狡猾になる傾向にあります。さらに、感情を感じることは少なく、実際にするのではなく、共感している振りをします。しかし同時に、精神病質者は見かけによらず、カリスマ的で魅力的であることもあるのです。二つ目は「社会病質」です。社会病質者(ソシオパス)は他人と関わることはできても、依然として社会的なルールなどは無視してしまいます。彼らは、精神病質者よりも衝動的で、でたらめで、動揺しがちです。なお、ASPDは珍しい病であり、患者は人口のわずか0.6%しかいません。

症状

ASPDには以下のような症状が伴います。

・嘘をつき、人を騙し、利用する
・軽率な行動をとる
・怒りっぽい、自信過剰、攻撃的
・人に暴力を加えたり襲ったりする
・犯罪を犯す
・他者や自分の安全を気にしない
・誰かを傷つけても自責の念を感じない
・経済的に困窮する、仕事ができなくなる、社会義務を果たせなくなる
・薬物中毒やアルコール中毒になる

ASPDになりやすい人

女性よりも男性の方がASPDになりやすいです。ASPDを引き起こす原因は、専門家にもまだはっきりとはわかっていません。しかし、精神病質には遺伝的、生物学的要因が、社会病質には精神的外傷を与えるような環境で育った経験などが、関係しているとされています。成長期における脳の欠陥や怪我と、ASPDとには関連がある、という研究結果も出ています。

ASPDの患者は犯罪を犯すことが多いからか、囚人の多くにASPDがあります。ある研究では、男性収容者の47%、女性収容者の21%にこの障害があった、という結果が出ています。

診断と治療

ASPDと診断されるためには、患者は15歳までに症状が現れていることと、18歳以上であることが必要になります。症状は10代後半と20代に最も重くなりますが、年月が過ぎるにつれ緩和していくことがあります。

この障害は治療するのが難しいです。ASPDの患者は、自分には治療は必要ないと思うことが多いため、自ら助けを求めることは稀です。

治療法としては、行動療法や、個人または集団での精神療法が効果的です。医師によっては、衝動的な攻撃といった症状を抑えるために、精神安定剤や非定型抗精神病薬などの精神科の薬を利用する場合もあります。

自分の家族や周囲の人にASPDの患者がいる場合、支援団体に参加するか、精神科医やソーシャルワーカー、心理学者などに助けを求めましょう。その人の行動を変えることはできなくても、境界を設定して自分の身を守るための対処法を学ぶことができます。

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