食事と美しい肌

その他

ほとんどの中高生が、肌のことで悩み、大事なイベントの前に限ってニキビができてしまうという状況に苦しめられます。しかし、あまり知られていませんが、思春期からだいぶ時間の経った大人でも、ニキビに悩まされることがあります。

ニキビは、いくつになっても、見た目が良くない病気で、外出が億劫になってしまうこともあります。傷ついた肌を何とか治したい!と、「奇跡の治療法」を求めたくなる気持ちも分からなくはありません。

ニキビができると、ほとんどの人がまず考えがちな原因として挙げられるのは、食事です。健康な食生活のおかげで肌がきれいになるという事実はなくはないですが、食生活はニキビの一番の原因とはなりません。

しかし、「レチノイド」という皮膚科学の雑誌に載ったレビューによると、食生活と血中のインスリンの高さとニキビの関連性がある可能性があるということを突き止めた研究があります。 

ニキビとホルモン

ニキビは、通常、性ホルモンのバランスが悪くなるとできます。若い男女は、多量の男性ホルモンや女性ホルモンにさらされます。思春期での発症が多いのはそのためです。

吹き出物や腫れ物に悩まされている場合は、皮膚科を受診して、どのような治療法が自分に一番合っているのかを相談するのがおすすめです。皮膚科医は、それぞれの治療法の説明と、それらがどのように効果を発揮するのかを教えてくれます。どんな種類のニキビに悩まされているか、また、症状の重さによって、最も合う治療法は異なってきます。

栄養不足や体の全体的な健康を維持するために、健康的でバランスの取れた食生活を送ること以外に、例えば特定のサプリメントを摂取することでニキビを治すことは残念ながらできません。多くの患者は、この皮膚の疾患の治癒のために、医学的な治療を必要とします。

新しい研究

ニキビに食生活が関係している可能性があると指摘した研究によると、ニキビと血中のインスリンの量が高いことに関連があるということを示しています。

研究者たちは、西洋的でない生活習慣(十分な運動と、加工食品を食べない食事)を送る人々と、西洋的な食生活(脂肪が高く、加工された炭水化物の多い食事)と、西洋的な生活習慣(ほとんど運動しない)を送る人々の、それぞれのグループのインスリンの量を比べました。

パプアニューギニアのキタバ島に暮らすキタバ族と、パラグアイに暮らすアチェ人は、血中のインスリンの量が低く、肥満や糖尿病、ニキビの発生率が非常に低いということがわかりました。一方、西洋の人々は、インスリンの量が多く、肥満や糖尿病、ニキビの発生率が高いという結果が出ました。

西洋ではない人々が送っている典型的な食生活は、果物、野菜、混載、ナッツ、魚や肉を摂取しており、これらからは血糖値が上がりにくい食事とされています。西洋の典型的な食事は、脂肪を多く含み、炭水化物の量も多いため、血糖値が上がりやすい食事です。

学説の説明

上記の研究で研究者たちが提示した学説は、西洋の食生活や生活習慣が、人々のインスリンの量を上げ、インスリン様成長因子と呼ばれている因子を刺激しているというものです。後者の要因によって、肌の皮脂生成が刺激されます。皮脂とは、皮膚の皮脂腺から排出される老廃物で、脂肪性の物質です。私たちの皮膚は一定の量の保湿を必要としているため、皮脂は必要なものです。しかし、皮脂腺が皮脂を排出しすぎてしまうと、毛穴が詰まってしまい(黒ニキビ)、炎症を起こしてしまうのです(ニキビ)。

インスリンの量が多い人はニキビができやすい傾向にあるという学説を補足する説として、大人になってからニキビを発症する女性は、血中のインスリン様成長因子の量が多いということを指摘している研究もあります。

食生活とニキビ

この学説によって、ニキビに悩んでいる人で、肥満やインスリン抵抗性、もしくは糖尿病にも悩んでいる人は、インスリンやインスリン様成長因子の働きを抑えるために、食生活を変える必要があるということが示されました。

このような人たちは、基本的には血糖値の上がりにくいものを食べることを心がけ、インスリンバランスの悪さや肥満に打ち勝つために、1日あたりの運動量を増やす必要があります。低糖の食事を心がけ、体重を落とし、積極的に体を動かすことで、同時にニキビを減らすこともできるかもしれません。

インスリンの量をコントロールするために、専門の栄養士に相談してみましょう。低糖の食事の基本を理解し、実践したり、栄養士にアドバイスをもらうことは時間もかかりますし、訓練も必要ですが、日常生活が楽になり、正しいことをしているという確証も持てるでしょう。

健康で透き通った肌

ニキビに特に悩んでいない人でも、健康で透き通った肌を目指すなら、栄養バランスの整った、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含むような食生活を心がけましょう。

生の果物や野菜、穀物やシリアル、低脂肪の牛乳やヨーグルト、チーズ、赤み肉、魚、卵を買っておくようにし、体に必要なすべてのビタミンやミネラル、オメガ脂肪酸を摂取できるようにしましょう。そうすることで、体も健康になりますし、肌もきれいになります。また、日常的に運動をすることも心がけ、肌に血液や酸素が十分に行き渡るようにしましょう。

インスリンの異常のない中高生のほとんどが、ニキビに悩んでいる場合は皮膚科を受診する必要がありますが、肥満やインスリン抵抗性、肥満などとともにニキビに悩んでいる場合は、低糖の食事に関するアドバイスをもらうために、専門の栄養士に相談したほうがいいでしょう。大人になってからニキビを発症した人や、多嚢胞性卵巣症候群にかかっている女性でニキビもできている人は、医学的な治療のほかに、低糖の食事をとり、運動も心がけると良いかもしれません。

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