妊娠中の体重の増加と尿漏れとの関連性

お腹

妊娠中にどれだけ妊婦の体重が増えるのかということではなくて、出産後にどれだけ体重が減るかということが、出産後の尿漏れのリスクに影響を与えるということが新しい研究で示唆されています。

多くの研究において、過度の体重、特にお腹周りに体重が増加した場合、女性の尿漏れの危険性を増加させることと関連性があるとの研究結果を報告しています。加えて、太りすぎや肥満の女性が体重を減少させると尿漏れのリスクを抑えるということも報告されています。

尿漏れは妊娠自体にも関連しています。多くの妊婦が妊娠中の尿漏れの問題に悩まされています。特に経腟分娩は女性の人生の中において尿漏れを発症する危険要因の一つになります。

しかし、女性が妊娠中に増加した体重がどれだけであったかといういうことが、出産前もしくは出産後の尿漏れのリスクとして影響を与えているのかどうかについては明らかにはなっていません。

妊娠が始めてであるノルウェーの約13,000人の女性に対して行われた新しい研究では、研究者たちは妊娠中の体重の増加と尿漏れリスクとの関連性は薄いと報告しています。妊婦の体重と出産半年後の尿漏れの可能性との関連性もなかったと報告しています。

この研究結果は驚くべきものでした、とノルウェーにあるベルゲン大学のこの研究の筆頭研究者であるスティアン・ランゲランド・ウェスネス(Stian Langeland Wesnes)は言います。

「数十年もの間、産科医たちは妊娠中の大幅な体重増加は、妊娠中の尿漏れの増加を説明することができると考えられてきましたが、この仮説の科学的な証明は証拠不足だったのです。」と彼は言います。

尿漏れと関係しているのは単に体重増加だけではない

新しい研究結果では、体重の増加よりも妊娠中の尿漏れの原因となる要因があることが示唆されていました、とウェスネスは言います。

一方で、この研究では、出産後体重を多く減量した女性は、出産半年後の尿漏れのリスクが下がっていること、また出産後に体重が増加した女性は尿漏れのリスクが高くなったことがわかったとしています。

妊娠中ではなく、なぜ妊娠後の体重の変化が尿漏れのリスクと関連しているのかについてははっきりわかりません、とウェスネスは言います。

一つの可能性として、ウェスネスと他の研究者たちは、体重の増加の種類が影響しているのではないかと考えています。妊娠していない女性では、体脂肪が体重増加の主な原因となっていますが、妊娠中の女性の場合、胎児、胎盤、体液の増加が原因で体重のほとんどが増加しています。

体脂肪とホルモン値

例えば、体脂肪に何かの要因があるかもしれず(おそらく、ホルモン値の変化も)、尿漏れのリスクに影響を与えているのではないか、とウェスネスは述べています。しかしこの研究の結果では、この質問には答えることができないと言っています。

米国疫学雑誌に発表された研究では、妊娠第15-30週目の妊婦及び出産半年後の女性、12,679人にアンケート調査を行ったものがあります。

全体の40%が妊娠第30週には尿漏れがあり、21%の女性が出産後半年に新たに尿漏れの問題があると回答したと報告されました。

妊娠の初期である第15週に体重の増加が比較的多かった妊婦(7キロ以上の増加)は、妊娠第30週までに尿漏れのリスクがある程度高かったことが報告されています。45%がそうであったことを報告していますが、一方妊娠第15週に3キロよりも体重が増加していない女性38%はそう報告していません。

妊娠第15週以降は関連性がない

しかし、妊娠第15週より後の体重増加は、妊娠第30週までの尿漏れのリスクとは関連死絵がありませんでした。妊娠時に何キロ体重が増加したのか、出産半年後の尿漏れの可能性とは何も関連性がありませんでした。

反対に、妊娠中に尿漏れがあった女性のうち、出産半年後に尿漏れの問題がまだある可能性は、出産後に女性が1キロ体重を落とすごとに2%下がることが研究ではわかりました。

同様に、妊娠中に尿漏れをしていなかった女性のうち、最低でも出産後14キロ体重を落とした人は、出産後に尿漏れを発症しにくいことがわかりました。こうした女性のうち、18-19%が出産後半年以内に尿漏れを発症しましたが、出産後の体重の減少が少なかった女性は23%尿漏れを発症していました。

ケーゲル体操

ウェスネスは、骨盤底の筋肉を鍛えるケーゲル体操は、妊娠中に発症する尿漏れを改善するためによく使われる方法ですが、出産後の尿漏れを防止するにも効果的であると述べています。

しかし、最新の研究結果では、「出産後の体重減少と骨盤底筋肉の強化は、出産後の女性の尿漏れの発症を減らすかもしれない」ことが示唆されています。

しかし、この研究結果は、妊娠中の体重の大幅な増加自体が害があるものではあるとは言っていません。

妊娠時のあまりに大幅な体重増加には、妊娠糖尿病、分娩が困難になったり、帝王切開が必要になる原因となる胎児の肥大などの特定の合併症のリスクをあげるかもしれません。

加えて、あまりに大幅な体重の増加は出産後の減量が難しくなります。

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