性を変える:それはどのように行われるのでしょうか?
数千人のうち数百人のアメリカ人が、自身が生まれた性に違和感を感じ、性を変えようと試みます。
しかし、承知の通り、身体的な性を変えるのは複雑なプロセスで、みなが同じ道をたどるとは限りません。ホルモン療法だけを選ぶ人もいます。性を転換するために、それに加えて、大手術を受ける人もいます。以下では、性転換のためのステップを紹介します。
ステップ1:メンタルヘルス評価
多くの医者が、まず、精神分析医や、ジェンダーに関する問題を専門とする、他のメンタルヘルスの専門家に相談するように勧めています。
まず、セラピストが、性同一性障害(gender dysphoria)であることを確認します。これは、以前、性同一性障害(gender identity disorder)と呼ばれていました。この障害を持つ人は、他方の性でなければならないと感じ、それによって苦痛が発生します。
その後、セラピストが、性適合手術のリスクや限界など、これから何が起こるかについての患者の理解、そして、ホルモン治療と実施する可能性がある手術に関するインフォームドコンセントを与える能力を評価するでしょう。
「さらに、患者が、今後、支援を受けられる社会的ネットワークを持っているか、または、自力でやり遂げる内面的な強さがあるかを判断します」とthe World Professional Association for Transgender Health (WPATH)の会長の、博士号Jamison Greenは言います。
Greenは、ほとんどの人が、2、3回診察を行うと言います。問題がなければ、その後、内分泌学者、または、ホルモンの専門家を紹介されます。
ステップ2:ホルモン療法
ホルモンは、体毛、筋肉量、乳房の大きさといった、医学用語で言う二次性徴をコントロールします。
女性から男性に転換する人は、アンドロゲンという男性ホルモンを摂取します。このホルモンによって、より男性らしい外見になります。治療により、以下のような変化が見られるでしょう。
・声が低くなる
・筋肉と力が強くなる
・顔の毛や体毛の成長が促進される
・陰核が大きくなる
女性ホルモンによって、男性はより女性らしい外見になります。この治療により、以下のような変化が起こります。
・筋肉量や力が弱くなる
・体脂肪が再分配される
・乳房組織が増加する
・体毛や顔の毛が薄くなり、成長が遅くなる
・テストステロンの量が減少する
1ヵ月以内に身体に変化が出現し始めることもありますが、最大の効果が現れるまでに、5年かかると考えられています。例えば、女性になる男性では、2、3年の間に乳房が成長し終え、Aカップ、時にはそれより大きくなることもあります。
しかし、ホルモン療法は、外見を変化させる以上の効果があります。ホルモン療法によって、劇的に、そして即座に、性同一性障害の感情を和らげることもできると、Greenは言います。
「ホルモン療法を開始して数週間以内に、患者の気分はほぐれ、張り詰めた気分や緊張が和らぎます」と彼は言います。「彼らは、こう言います。『今、私は、普通で、とてもバランスが保たれているように感じます。』これは、もちろん、非常に主観的ですが。」
しかし、ホルモンセラピーには、リスクが伴うと、外科医で、The Philadelphia Center for Transgender Surgeryの整骨医学外科学博士Sherman Leisは言います。
「治療を始める前に、患者が健康か確かめなければなりません」とLeisは言います。「そして、効果は出るが、危険にはならない程度のホルモン量を摂取するように注意しなければなりません。」
ホルモン療法により、高血圧、体重の増加、睡眠時無呼吸、肝酵素の増加、心臓病、不妊症、脳の下垂体の腫瘍、血栓、そして、他の深刻な疾患のリスクを高めます。
ホルモンの投薬計画に十分に適応しているか確かめるために、特に、治療開始後数ヶ月は、定期的かつ頻繁に検査を受ける必要があります。
さらに、ホルモン投薬を開始する時に、不安になったり、疑念を抱いたりする人もいます。そのため、メンタルヘルスの専門家のカウンセリングを受け続けたり、内分泌学者やホルモンの専門家のところに行くことが重要です。
ステップ3:手術
異なる性への転換をした人の75%が、手術を続行しないと、GreenとLeisは言います。
手術の続行に、コストが問題となる場合があります。手術を全て行うには、数万ドルかかり、保険の適用範囲も様々でしょう。しかし、多くの場合、性同一性障害による感情を解放するのに、ホルモン療法で事足ります。
ホルモンだけでは十分でない場合、手術が選択肢に挙がるでしょう。しかし、手術は大手術で、方法によっては、不可逆な選択となります。患者と外科医、両者が、決定に納得していなければなりません。
ガイドラインでは、性適合手術GRSを受ける前に、ホルモン療法を12ヶ月行うことを推奨しています。この手術では、患者の生殖器を、異なる性のものに形成し直すものです。同時に、性腺が除去されることもあります。
「患者に、最低1年はホルモンを使い、フルタイムで生活をし、自身が望む性として生きて欲しいです」とLeisは言います。
ガイドラインは、男性の乳腺移植や、女性の乳腺切除といった、他の手術に関しては、それほど厳しくありません。稀に心が変わった場合、胸部外科手術は元に戻すことができます。男性に関しては、移植されたものは、ただ、取り除くだけでよく、女性に関しては、新たな乳房を形成できると、Leisは言います。
他の手術と同様、性適合手術には、リスクが伴います。女性に転換する男性に関わる合併症には、以下のようなものがあります。
・膣や陰門の形成に用いられた、(通常、陰茎や陰嚢からの)皮膚の組織死
・尿道が狭まり、尿の流れが妨げられることで、腎臓にダメージが出る。
・膀胱や腸と膣の間の瘻、つまり、異常な結合
男性に転換する女性の合併症は、以下の通りです。
・尿路が狭まる、妨げられる、もしくは、尿路の瘻
・新たな陰茎の組織死
女性に転換する男性は、膣が形成され、性交時に使用できます。
陰茎形成と呼ばれる、新しく陰茎を形成するための手術は、合併症のリスクが高いため、性転換を行う女性の多くが、陰茎を持たないことを選択します。その代わり、卵巣と子宮のみを取り除くという選択をすることが多いです。
WPATHのガイドラインによると、男性になり、手術による陰茎の形成を望む女性は、「手術には、別個の段階が複数あり、高い確率で、技術的な困難に直面するため、追加の手術が必要となる可能性がある」と知らされなければなりません。
性適合手術を受ける男性15人に対して、手術を受ける女性は、ただ1人だと、Leisは推定します。
「これは、手術を望む女性が多くないからというわけではありません」と彼は言います。「外見、そして機能に関して、良い結果が得られないからです。」
転換後の生活
性適合手術を行ったことを後悔する人は、100人に1人しかいないと、LeisとGreenは言います。しかし、それが、評価を継続する必要がないことを意味するわけではありません。術後の医療的ケアに加えて、うつ病や不安神経症など、よく見られる問題に対処するために、カウンセリングが必要な場合があります。
「社会に関する問題に直面した時に、その問題に精通している人に相談できれば、大きな助けになるでしょう」とGreenは言います。