統合失調症の治療について

統合失調症の治療は、薬物療法と心理社会的な治療の組み合わせをし、患者一人一人に合わせて作られた治療法を行います。

統合失調症は、専門家がチームとなって治療にあたることがほとんどです。

専門家チームの目標は、毎日のサポートと治療を行いながら、自立した生活ができる限りできるように確保することです。

専門家チームは以下のような人たちで構成されています。

・ソーシャルワーカー
・セラピスト
・精神科訪問看護師(精神疾患に対する特別な訓練を受けている訪問看護師)
・薬剤師
・カウンセラー、心理療法士
・精神分析医、精神科医(通常精神科医がチームを率いている)

抗精神病薬

抗精神病薬は通常、急性の統合失調症の症状の発現の最初の治療に勧められるものです。脳内の化学物質であるドーパミンの効果を阻害するように働きます。

抗精神病薬は、使用してから2-3時間で不安や攻撃的な気持ちを失くすことができますが、幻覚や妄想などの他の症状が消えるには恐らく5-6日から数週間かかることがあるかもしれません。

抗精神病薬を服用し始める前に、身体検査を行っておくことは重要で、これによって患者にあっている治療方法を見つけることができます。

抗精神病薬は、錠剤で経口で服用したり、デポ製剤で知られる注射を行う場合もあります。持続放出製抗精神病薬もあります。この場合、2-4週間に1度注射を打てばよいです。

急性の統合失調症の症状の出現が過ぎるまで、抗精神病薬が必要なだけになるかもしれません。

しかしながら、多くの人が最初の急性の統合失調症の症状の出現の後、次の急性の統合失調症の症状の出現を防ぐため、1-2年の間薬剤を服用し、症状が繰り返す場合はさらに長期間服用しています。

抗精神病薬には主に2種類あります。

・定型抗精神病薬
・非定型抗精神病薬

抗精神病薬の選択については、患者と医師の間で効果と副作用について話し合った上で決定します。

定型抗精神病薬、非定型抗精神病薬も副作用を起こす可能性がありますが、全員に起きるわけではなく、副作用の重度は患者一人一人で異なっています。

定型抗精神病薬の副作用には次のようなものがあります。
・身震い
・震え
・筋肉のひきつり
・筋肉のけいれん

定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬、両方の副作用には次のようなものがあります。
・眠気
・体重増加(特に非定型抗精神薬の副作用)
・視野のかすみ
・便秘
・性欲の減退
・ドライマウス
副作用がひどくなったら、医師に相談しましょう。他の抗精神薬を服用できる場合もありますし、副作用に対処することに役立つ追加の薬が処方されることもあります。

抗精神薬を定期的に服用した後、6-7週間すぎても効果がない場合は、他の抗精神薬を試したほうがよいかもしれません。専門家チームに患者に合う薬を処方してもらうことは重要です。

医師への相談なしに、抗精神薬を自己判断で止めないようにしましょう。服用しなくなると、症状が再発します。

薬は最低でも年に1回は再評価されるべきです。

心理療法

心理療法は、統合失調症の患者が幻覚や妄想の症状により良く対応できるようにするものです。

無気力症や、喜びの欠如など、統合失調症の陰性症状を治療することにも役立ちます。

統合失調症のための心理療法は、抗精神病薬の投与と一緒に行うときに最も効果を発揮します。

一般的な心理療法には次のようなものがあります。

・認知行動療法
・家族療法
・芸術療法

認知行動療法

認知行動療法は、患者が望まない気持ちや行動の原因となる思考パターンを特定し、その思考パターンをもっと現実的で価値がある考えに変えていくことを学ぶことを目的としています。

例えば、妄想的な考えの例を認識するように教えられる場合があります。次にこうした考えに従って行動しないようにするためのアドバイスや助けを得ることができます、

多くの患者が6-12ヶ月の間に、認知行動療法のセッションを8-20回受ける必要があります。1回のセッションはだいたい1時間半の長さです。

専門家チームは、認知行動療法のセラピストに患者を紹介する必要があるでしょう。

家族療法

統合失調症の患者は、家族によるケアと支援が頼みの綱となります。家族のほとんどが支援をしたいと思う一方で、どんな家族であれ、統合失調症の患者の世話をすることはストレスがかかるものです。

家族療法は、患者と家族がうまく統合失調症に対処できるよう助けとなる方法の一つです。およそ半年間の間、ミーティングに参加することが含まれます。
そのミーティングの内容とは以下の通りです。
・統合失調症に関する情報について話し合う
・統合失調症の患者を支援する方法を見つける
・統合失調症の症状が原因で起こるかもしれない実際的な問題の解決法を決定する

家族療法が患者と家族に効果的と考えるようであれば、医師に相談してみましょう。

芸術療法

芸術療法は、創造的表現を促進するためのものです。芸術療法のセラピストは、少人数か個別に統合失調症の経験を芸術表現することを助けます。

芸術を通して、非言語的方法で統合失調症の経験を表現することができることができ、患者が他の人たちと関係する新しい方法となります。

芸術療法により、統合失調症による陰性症状が和らぐ人もいます。

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