摂食障害の治療:選択肢を知る

治療方法

摂食障害の治療には、セラピー、教育、薬剤によるものがあります。どれが効果的であるか理解しましょう。

摂食障害の治療は、患者の特定の障害や症状によって異なります。通常、治療は心理療法、栄養指導、医療の監視を組み合わせて行われますが、この中に薬物療法も含まれることがあります。

摂食障害の治療には、摂食障害によって引き起こされており、あまりにも長い間治療せずにいると深刻な状態あるいは命に関わる状態になってしまう可能性のある健康問題に対処することも含まれています。摂食障害が標準的な治療を行っても改善しなかったり、健康問題が生じたりした場合には、入院をしたり、他のプログラムを試す必要があるかもしれません。

摂食障害の治療に対して効果的なアプローチをすることで、症状を管理したり、体重を健康的なレベルまで戻したり、心身の健康を維持できるようになります。

かかりつけの医者の診察を受けることから始めても、精神医療の専門家のもとへ訪問することから始めても、摂食障害の専門家チームに紹介してもらえれば、そこから利益を得ることができるでしょう。治療班の中には、以下のような人が含まれているかもしれません。

・心理療法を行う心理学者など、精神医療の専門家:薬剤の処方と監視を必要とする場合には、精神科医の診察を受けると良いでしょう。心理療法も行っている精神科医もいます
・栄養指導を行い食事計画を立ててくれる公認栄養士
・摂食障害によって起こっている健康問題や歯の問題を治療してくれる、専門医や歯科医
・パートナーや両親、家族:まだ実家で暮らしている若者の場合、両親が治療に積極的に関わり、できれば食事も管理すると良いでしょう

治療に関わっている人全員が治療の進展について話し合い、必要であれば治療を調整していけるようにすることがベストです。

摂食障害に対処することは、長期にわたる挑戦になる可能性があります。摂食障害やそれに関連した健康問題がコントロールされていたとしても、定期的に治療班のもとへ診察を受けに行く必要があるかもしれません。

患者と治療班が、患者に必要なことが何かを判断し、目標と指針を決定します。治療班は患者と一緒に以下のようなことをします。

・治療計画を立てます。この中には、摂食障害を治療するためや治療目標を設定するための計画が含まれています。計画を立てることによって、計画に従うことができなくなった場合に何をすればいいかということを明らかにすることもできます
・身体合併症を治療します。治療班は、摂食障害によって起こっている健康問題や精神問題を監視し、対処します
・資源を特定します。治療班は、目標を達成するために患者の住んでいる地域で利用することができる資源を特定する手助けをします
・手ごろな値段の治療法を特定できるようにします。摂食障害を治療するための入院や外来患者プログラムは効果である可能性があり、保険によって治療にかかる費用が全額負担してもらえるというわけではないかもしれません。経済的な問題や何らかの懸念があれば、治療班に相談しましょう。予想される費用が原因で治療を行わないということがないようにしましょう

心理療法は摂食障害の治療の最も重要な構成要素です。この治療法を行う場合、定期的に心理学者やその他の精神医療の専門家のもとで診察を受ける必要があります。

心理療法は数ヶ月から数年にわたって続くかもしれません。この治療法によって以下のようなことができるようになります。

・食事のパターンを標準的なものにし、健康的な体重に戻す
・不健康な習慣を健康的なものに変える
・自分の食事や気分を監視する方法を身につける
・問題解決能力を身につける
・ストレスのかかる状況に対処する健康的な方法を探す
・人間関係を改善する
・気分を向上させる

治療では、以下のような異なる種類の治療法を組み合わせるかもしれません。

・認知行動療法:このタイプの心理療法では、摂食障害と関係のある行動、思考、感情に焦点を当てます。健康的な食事行動を身につけられたら、この治療法は摂食行動に繋がるゆがんだ思考を認識し、変化させるために役立ちます
・家族療法:この治療では、患者が自分で健康的な食事パターンを取り戻し、健康的な体重に戻れるようになるまで、患者がそのようなことをするのを家族が手伝えるようにします。このタイプの治療法は、摂食障害を抱えている10代の若者を支える両親にとっては特に役に立つ可能性があります
・集団認知行動療法:このタイプの治療法では、摂食障害と診断された他の患者と一緒に、心理学者や精神医療の専門家と面会します。この治療法によって、摂食障害と関係のある思考や感情、行動を話し、症状に対処する能力を身につけ、健康的な食事パターンを取り戻すことができます

心理学者や他の精神医療の専門家は、患者に宿題を出すかもしれません。例えば、食事日記をつけてそれをセラピーの時に見直し、食べすぎや食べ物を吐いてしまうこと、不健康な摂食行動を引き起こす原因を特定できるようにすることなどです。

公認栄養士や、治療に関わっている他の専門家は、患者が摂食障害についてより理解することを手助けし、健康的な食習慣を身につけ、維持できるようにするための計画を立てる手伝いをしてくれます。栄養指導の目標は以下のようなものであるかもしれません。

・健康的な体重になるよう努力する
・栄養物を摂取することが体にどのように影響するのか理解する(摂食障害によってどのように栄養問題や健康問題が引き起こされているのか理解することなど)
・食事計画を実行する
・規則正しい食事パターンを確立する(一般的には、1日3食と一定の軽食)
・減食や食べすぎを防ぐための方法を講じる
・栄養失調や肥満から生じている健康問題を治す

薬では摂食障害を治療することはできません。心理療法と組み合わせた場合には、最も大きな効果が得られます。

抗うつ剤は、過食や嘔吐を伴う摂食障害を治療するために最もよく使われる薬ですが、状況によっては他の薬が処方されることもあります。

抗うつ剤を服用することは、過食症や過食性障害を抱えている場合には特に役立つかもしれません。抗うつ剤によって、摂食障害と共に起こることが多いうつや不安の症状も軽減できる可能性があります。

深刻な身体問題あるいは精神問題を抱えている場合や、無食欲症でものを食べたり体重を増やすことができない場合には、入院する必要があるかもしれません。無食欲症と共に重度あるいは命を脅かす危険のある身体問題が生じた場合、それは医学的な緊急事態であるかもしれません。

多くの場合、入院することの最も重要な目標は、食事や体重を標準的なものにし始めることで、急性の医学的症状を安定させることです。食事や体重の回復の大部分は、外来診療の場で行われます。

日帰り治療プログラムは構造化されており、一般的に1日に数時間治療をし、それを週に数日間行う必要があります。日帰り治療には、診療、集団・個人・家族療法、構造化された食事セッション、栄養指導が含まれている可能性があります。

居住治療では、一時的に摂食障害治療施設に住むことになります。居住治療プログラムは、摂食障害に長期の治療が必要な場合や、何度も入院しているものの心身の健康が改善しない場合に必要になるかもしれません。

摂食障害によって、栄養不足や過食、その他の要因に関連した重度の健康問題が生じる可能性があります。摂食障害によって引き起こされる健康問題の種類は、摂食障害の種類や重症度によって異なります。多くの場合、摂食障害によって引き起こされる問題には、継続した治療と監視が必要です。

摂食障害に関連した健康問題には、以下のようなものがあるかもしれません。

・電解質平衡障害(筋肉、心臓、神経の機能を妨げる可能性がある)
・心臓障害や高血圧
・消化障害
・栄養失調
・頻繁な嘔吐による虫歯や歯の表面の侵食(過食症
・不規則な月経周期や長期の栄養失調(無食欲症)による骨密度の低下(骨粗鬆症)
・栄養不足による発育不全(無食欲症)
・うつや不安、強迫性障害、薬物乱用などの精神健康状態
・月経が来ないこと、生殖不能や妊娠の問題

患者は治療班の中で最も重要なメンバーです。治療がうまくいくためには、患者や家族などが積極的に治療に関わっていくことが必要です。治療班は知識を与え、どこでより多くの情報や支援を得ることができるか教えてくれます。

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