透析について

治療方法

概要

透析は、腎臓が適切に働かなくなった際に、血液からの排出物や余分な水分などを取り除くことができる方法です。血液を浄化するため、透析機器に血液を通すことで行うことが多いです。

通常、腎臓は血液をろ過し、有害な老廃物や過剰な水分を取り除き、これを尿に変えて体外に排出する働きをしています。

なぜ透析が必要なのでしょうか?

例えば、末期の慢性腎臓病(末期腎不全)により、腎臓が適切に働いていない場合、腎臓は血液を適切に浄化できていない可能性があります。排出物や水分が体内に危険な値まで蓄積していく可能性があります。

治療しないままでいると、不快な症状を多く引き起こし、命にかかわることもあります。こうしたことが起こる前に、透析により、不要な排出物や水分を血液からろ過することができます。

透析はどれぐらいの期間が必要でしょうか?

患者の状況ごとに異なります。患者によっては腎不全は一時的な疾患である場合があり、その場合は腎臓が回復した時に透析を止めることができます。

しかし、末期の腎不全の患者の多くは、腎移植が必要なことが多いです。すぐに腎移植を行うことは可能ではないため、適切な腎臓ドナーが見つかるまで透析が必要です。

大きな手術に耐えうるほどの体力がない場合など、腎移植が適切でない場合、残りの人生全てに渡り必要になる可能性があります。

透析の間、どのような治療が行われるのでしょうか

透析には主に2種類があり、血液透析と腹膜透析があります。

血液透析

血液透析はもっとも一般的な透析方法で、もっとも患者からも知られているものです。

透析の間、腕の中の針にチューブが取り付けられます。血液がチューブを通り、血液を浄化する外部の透析機器を通り、別のチューブからきれいになった血液が腕に戻ります。

これは通常週に3回程度行われ、1回の透析には4時間かかります。

腹膜透析

腹膜透析は、機械ではなく、お腹の中の内膜(腹膜)をフィルターとして使うものです。腎臓と同様、腹膜は数千の毛細血管が含まれており、血液の浄化装置として使うことができます。

治療が始まる以前に、おへそのそばを切開し、カテーテルと呼ばれる細いチューブを切開部分を通してお腹の中の空間(腹膜腔)に挿入します。これは永久に入れられたままになります。

カテーテルを通じて、腹膜腔に透析液が入れられます。腹膜腔の血管を血液が通る際に、老廃物や余分な水分が血液から出て透析液に移動します。2-3時間後、透析液は何も入っていないバッグに流れ出してくるので、新しい透析液と交換します。

透析液の交換は通常30-40分かかり、通常このバッグ交換を1日に4回行う必要があります。もし希望する場合は、このバッグ交換を就寝中は機械が行うこともできます。

どちらの透析が自分には適切でしょうか?

多くの場合において、自分の行いたい透析法を選ぶことができます。

2つの透析法とも、ほとんどの患者にとって効果は同じですが、それぞれに利点と難点があります。例えば次のようなことです。

・血液透析の場合、透析治療をしなくてよい日が週に4日あることになりますが、1回の治療時間は長く、毎回透析のために病院に通院する必要があります。
・腹膜透析は自宅で容易にでき、時々就寝中でも行うことができますが、毎日行わなければなりません。

自分に適した透析法を選んだら、担当の医療チームがその透析法についてよい点と悪い点を話し合い、決断の手助けをしてくれることでしょう。

透析の副作用

血液透析は肌のかゆみや筋けいれんの原因となることがあります。腹膜透析は、腹膜炎(お腹の臓器を覆っている薄い膜に感染が起こること)が起こるリスクがあります。

どちらの透析法も疲労感を感じることがあります。

透析をしながらの生活とは

透析をしている患者の多くは生活の質が高いです。そのようであれば、患者は以下のことができます。
・仕事を続けたり、勉強を続けること
・車の運転
・運動
・水泳
・旅行

多くの人が長期間透析を受けることができますが、透析治療は失われた腎臓の機能の一部を補うことができるだけであり、適切に働かない腎臓があることは体にとって大きな負担がかかることがあります。

残念なことですが、これは透析をしている患者は腎移植がされないと死亡する可能性があるということです。特に高齢者や他の疾患がある患者の場合です。透析を20代後半で受けた患者は20年以上生きることができますが、75歳以上の高齢者の場合、わずか2-3年しか生きることができません。

しかし、透析患者の生存率はこの10年で改善していることを知ることは重要で、今後も生存率は高まっていくものとみられます。

関連記事一覧