パニック障害とは

パニック障害とは、数秒から数分続く非常に恐ろしく不快なパニック発作が繰り返し起こることが特徴であるものです。

典型的に、パニック発作が出る人は、突然始まり、数分しか続かない、恐怖や恐れの緊張感を克服することにより、発作がおさまります。パニック発作の間、患者は自分が心臓発作をおこすのではないか、または気が狂うのではないかという恐怖を感じることがあります。心拍が早くなり、胸に痛みがあり、めまい、頭がクラクラする、吐き気、息苦しさ、息切れ、手がしびれたり感覚がなくなる、体がほてる、体が冷える、非現実的な感覚がしたり、正気を失う恐怖などを、患者は訴えます。

パニック発作の患者は、自分の症状が生命を脅かすものではないかと心配になることから、心臓医、内科医、神経科医、など多くの専門医に相談していることがあります。正確な診断が出るまでに何年もかかることも珍しくありません。この間、また発作が起こることを恐れて、患者は最初に発作が起こった状況や場所(広場恐怖症の場合など)を避ける傾向があります。これは気力を消耗させ、不必要なほどに生活の制限となることがあります。

パニック障害になる人とは

性別、人種、社会経済的地位に関わらず、どんな人でもおそらくパニック障害になる可能性はあります。研究では、100人中2-4人は人生のうちのどこかでパニック障害に苦しんでいることが示されており、広場恐怖症に関して言えば、さらに高い率が示されています。

パニック障害は青年期後半から30代半ばで始まることが多く、子供でもパニック障害になることがあります。最初の発作は、近親者や友達の死、恋愛関係の破綻や別離などのストレスがかかる人生の出来事の後に起こることが多いです。女性は男性と比べて、2-3倍多くパニック障害になっているようです。

パニック障害の原因とは何でしょうか?

以前はパニック障害は精神的問題が原因と思われていました。しかし、今では脳内化学物質や遺伝的要因、またストレスがかかる人生での出来事や状況などが原因であると考えられています。パニック障害の患者の一等親血縁者は、そうでない人たちと比較して、5倍パニック障害を発症する可能性があります。

発症したらどうすればよいのか、どこに助けを求めればよいのでしょうか

一番大事な第一歩は、専門家に正確な診断をしてもらうことです。それにより、症状を和らげることに効果がほとんどのケースであります。薬剤による治療や心理療法による治療が行われますが、その両方を複合した治療を勧められることがあります。自助的認知行動的技法を用いることも価値があります。

パニック障害を治療するための薬剤には、即効性があるものもありますが、依存症の原因となるもの(ベンゾジアゼピン)には制限があります。ゆっくり効き目がでるのですが、すぐに中止することができるもの(抗うつ剤)があります。一般的に、パニック障害の治療では、ゆっくりと確実に効くものが最適と勧められています。抗うつ剤という言葉はあまりよくないかもしれませんが、成分の多くはパニック障害の薬として最適なものです。パニック障害の治療のための抗うつ剤として広く使われているものは、安全性が高く使い方が簡単である、選択的セロトニン再取り込み阻害薬です。

そうとはいっても、パニック障害の治療に抗うつ剤を使用する時に、念頭においておく必要がある重要な原則がいくつかあります。最も重要なことは、パニック障害の患者は、通常の量の抗うつ剤を服用し始めると、不安感の増加や他の副作用を経験することがあります。このため、できるだけ少量から始めることが重要で、量を増加させる時は徐々に行わなければなりません。治療から6-7週間すると、比較的に薬の量は増えますが、パニック発作を終わらせるためには、最終的に必要な量であるためです。

加えて、多くのパニック発作の患者にとって、一定の期間、ベンゾジアゼピンを使用することが役立つことがわかっています。短期間処方された場合は、この薬は非常に効果があります。ベンゾジアゼピンは、わずかに協調運動の障害の原因となることがあるので、この薬を服用した後の車の運転や機械の操作には注意が必要であることを覚えておくことは重要です。

パニック障害に対する心理療法で重要な要因は、恐怖刺激に対する曝露であるかもしれません。パニック障害の患者は自分がパニックに陥った場所を避け始めます。これは次々に制限を増やしていく悪循環です。治療の重要な面は、避けないようにすることを学ぶということです。不安な気持ちになることを継続的に疑似体験し、同時にその不安感により実際に死に至るわけではないという真実を経験することによって、パニック障害を究極的には克服できるかもしれません。

不安障害に対する認知行動療法においても、始めから増加した不安のレベルであるためこのアプローチを取ることが難しいです。しかしながら、不安感を和らげるために役立ついくつかの方法があります。

始めに、不安を「受け入れる」ことを練習してみましょう。リラックスすることに抑圧感を感じないようにしましょう。不安を感じることは大丈夫なことであり、こうした症状に立ち向かう練習をしましょう。もちろん、心理療法士は、不安のレベルを増加させる方法を患者に教え、不安の気持ちをそのまま受け入れることを奨励するという、内受容性曝露療法を増やす方法を提案してくるかもしれません。

二番目に、ゆっくりとやりましょう。今まで避けてきた状況を描写している、最も不安を感じないという状態をリストの1番とし、最も不安感を感じるという状態をリスト10番としてみることは効果的なことかもしれません。徐々に1-10番の異なった状況に少しずつ対峙してみるようにしましょう。

第三に、内的な切っ掛け(例えば、呼吸が速くなった後にめまいを感じる)または外的な切っ掛け(例えば避けいていた状況の順番を上げていく)に対する曝露の間、不安のレベルが高まっている時に、リラクゼーション体操を行うことは役立ちます。リラックスできる風景を思い浮かべたり、自分を支えてくれる人を全ての五感を使って思い浮かべ、一定の複式呼吸を行うことは役立ちます。

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