物忘れ（健忘症）

序論

物忘れは、健忘症とも呼ばれますが、これは、通常であれば思い出せるはずの情報や出来事が思い出せないことです。

思い出せないことは、数秒または数分前の出来事や、過去の印象深い出来事かもしれません。物忘れは、突然始まる可能性もありますし、数年間で徐々に悪化する可能性もあります。

年齢とともに、物忘れが激しくなるのは普通のことです。しかし、物忘れは、より深刻な症状となることもあり、その場合は、家庭医の診察を受けた方が良いでしょう。

物忘れは、本人や家族にとって、辛いものでしょう。親族が、最も恐怖を抱き、認知症によって引き起こされているのではないかと推測することもあるでしょう。しかし、認知症ではない場合がほとんどです。

物忘れの疑いがあるときにするべきこと

自信や、面倒を見ている人に記憶喪失の疑いがあるときは、家庭医の診察を受けましょう。家庭医は、初期診察を行い、症状、家族歴、生活習慣についての質問をします。また、血液検査も手配されます。

物忘れの原因は多様で、物忘れの種類によって異なります。

医学的に、記憶は以下のように分類されます。

・即時記憶。例えば、音は、数秒しか記憶されません。
・短期記憶または近時記憶。例えば、電話番号は、15秒から20秒間記憶されます。脳には、常に、7つのパートの短期記憶を保管できます。
・長期記憶または遠隔記憶。繰り返し思い浮かべることで、強化される、より恒久的な記憶。

あなたや、あなたの親族が、認知症の検査が必要だと判断された場合や、脳の損傷など、他により深刻な基礎疾患がある可能性があると判断された場合、専門家を紹介されるでしょう。

物忘れの場合、認知症の可能性はあるのでしょうか？

もし、記憶に関する問題が、認知症のサインの可能性があると考え、これを読んでいる場合、その可能性はかなり低いので、安心してください。

その物忘れは、気分の落ち込みなど、より一般的で、治療しやすい原因によって引き起こされている可能性が高いです。

認知症の人は、通常、物忘れに気づかなかったり、物忘れを否定したりするでしょう。

また、面倒を見ている人が、認知症であるかもしれないと心配しているかもしれません。あなたの本能が正しい場合、その人が、記憶をなくしていることを認めなかったり、それに気づいていなかったりすると、医者に行くことを説得するのは難しいでしょう。

物忘れの主な原因

医者によると、物忘れで医者にかかる人には、以下のような症状が見られることが多いそうです。

・不安
・ストレス
・気分の落ち込み

このような物忘れは、集中力の欠如と、関心が薄いために、最初の段階で物事に気づかなかった結果起こるものです。しばしば、睡眠障害によって、物忘れは悪化します。

医者から、抗鬱薬を勧められることがあるかもしれません。気分の落ち込みや不安がある場合、これらが改善すると、記憶障害が改善することがあります。

高齢者に物忘れがあり、買いだめや、怒りっぽくなるなど、行動における変化もある場合、気分が落ち込みやすくなります。

物忘れの主な他の原因は、以下の通りです。

・頭の怪我。自動車事故後など。
・脳卒中。これにより、脳への血液の供給が絶たれ、脳細胞が死にます。

これらにより、突然の物忘れが起こり、トラウマが発生する前の出来事を忘れたり（逆行性健忘症
）、トラウマが発生した後のことを全て忘れること（前向性健忘症）があります。

物忘れの他の原因

物忘れの原因として、それほど知られていないものには、以下のようなものがあります。

・甲状腺機能の低下。首の中にある甲状腺が、十分なホルモンを生成しないこと。
・鎮静剤や、パーキンソン病治療のための薬の一部など、特定の医薬品。
・長期間のアルコールの乱用
・脳内での出血（くも膜下出血）
・ビタミンB１（チアミン）不足。例えば、消化器系に問題がある場合に起こります。
・一過性全健忘症。脳の一部への血流に問題があると、突然の物忘れを引き起こし、後に、その記憶を思い出すことができなくなります。
・心因性健忘症。ストレスの大きい出来事や、トラウマになる出来事によって、記憶がブロックされ、重要な情報を記憶することが不可能になります。
・脳腫瘍

記憶力の低下に対処するためのヒント

・車の鍵など、普段良く使うものは、同じ場所に置き、何かをする時には、毎回同じ順番で行うようにしましょう。
・情報を紙に書き出しましょう。紙と鉛筆を携帯電話の近くに置いておきましょう。
・毎日やらなければならないことを忘れないように、家だけではなく、職場でも日記をつけましょう。
・何かをオーブンから取り出すなど、これからやらなければならないことを忘れないように、アラームをかけましょう。
・思い出さなければならない重要な情報を、誰かに繰り返し言いましょう。