L-チロシン

その他

L-チロシンはノルアドレナリンとドーパミンを作るうえで必要となるアミノ酸です。L-チロシンの補給は、強いストレス要因(ノルアドレナリンを枯渇させます)に対して抗ストレス性を示し、また、ストレスによる記憶障害の改善につながることがあります。

概要

L-チロシンは食物の中に含まれているアミノ酸で、ドーパミンやアドレナリンといったカテコールアミンを生成する過程に関わっています。具体的には、アミノ酸自体が代謝され、これらの神経伝達物質を生成します。L-チロシンを補給することで、これらのカテコールアミン生成の構成要素を増やし、それらに次ぐ効果を間接的に得ることができるとして、サプリメントのかたちでの研究が進められています。構造上、甲状腺ホルモンにも関係しており、アドレナリンと甲状腺の両方に関わることから、脂肪を燃焼するサプリメントにある程度配合されています。

ドーパミンとアドレナリンを増やすことに関しては、あまり期待ができません。カテコールアミンの合成は体内で厳しく制限されています。特にL-チロシンを次の代謝産物であるL-DOPAに変える一つの酵素が制限されているため、体内のL-チロシンの量はカテコールアミンの生成量を必ずしも増やすわけではありません。

しかしながら、ストレスの多い状況下ではノルアドレナリンというカテコールアミンが防御効果を発揮すると指摘する研究結果もいくつかあります。L-チロシンはカテコールアミンの構成要素が不足しないための「保険」となることで、カテコールアミンの抗ストレス作用を延長することができると考えられます。人体では、寒冷ストレスや睡眠不足といった状況においてこの効果がみられていますが、150mg/kgという比較的多い量を服用した場合です。

究極的には、L-チロシンは単純に新たにカテコールアミンを生成するための材料を提供するといった意味で、カテコールアミンが枯渇しうる状況において効果的であるといえます。ですが、カテコールアミンをただ増やすことにおいてはあまり見込みがありません。

摂取方法

逸話的には、L-チロシンは強いストレス要因(運動であることが多いです)にさらされる約30分から60分前に500-2000mgの服用量で摂取される傾向にあります。

臨床試験で最も抗ストレス性を示したL-チロシンの補給量は100-150mg/体重1kgで、運動の60分前に服用することができます。これは200lbの人なら9-13.5gで、150lbの人なら7-10gの投与量範囲です。

より多く服用する場合や消化器系の問題が生じた場合は、30分の間隔を空けて2回の服用(強いストレスの30分前と60分前)に分けることができます。

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