産後うつ病

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母親になるということは、女性の人生において重要な成長期間です。この期間中に、女性はさまざまな変化を遂げ、アイデンティティーや体、大切な人との人間関係、母親としての役割など、人生のたくさんの面を見直します。

妊娠すると元気づけられるという社会的期待があり、また、子供ができるのだという興奮が、出産や育児に伴うストレスや不安を圧倒します。産後、興奮や幸福感とともに、恐怖や不安など、女性はたくさんの異なる感情を感じる傾向にあります。

これらは普通の感情ですが、睡眠不足であったり新生児に慣れていっている間は、打ちのめされてしまうかもしれません。しかし、もし「マタニティブルー」が数日では治まらなかったり、それらの感情がさらに強くなったりして、対処するのがだんだん大変になっていったらどうなるでしょう?産後うつ病は、人が思うよりもよく起こる病気で、多くの女性がその症状を経験するものの、あまり気にかけられない現象となっています。助けを求める患者は少なく、助けが必要であるということを親しい人に認めることすらしない人も多いです。

深刻な場合には、女性は気分症状以外に精神病の症状も発症します。女性の500人に1人から1000人に1人が精神病の症状を発症することがあると推定されています。精神病の症状を発症する確率は、過去に産後うつ病になったことのある女性や、以前にうつ病もしくは双極性障害と診断されたことのある女性、もしくは家系にうつ病と/もしくは双極性障害の人がいる女性において高いです。

母親になるということは、温かみや喜びとともに、悲しみや喪失感、不安などの入り混じった感情と関連付けられることが多いです。先ほど述べたように、「マタニティブルー」と関連した感情は普通で、悲しみや不安から苛立ちや涙、寝つきの悪さ、集中力の低下まで、幅広く含まれます。しかし、もしこれらの症状が激しくなったり長期に及んだりし、感情が日常活動を行うことに影響をきたし始めたら、なるべく早く専門家に助けを求めることが推奨されます。

産後うつ病の症状

・ほぼ毎日、1日の大半を落ち込んで過ごしている。
・怒りっぽかったり、腹が立ったりする。
・呆然としたり、虚無感を覚える。
・以前は楽しんでいた活動への興味が薄れる。
・食欲不振や体重の減少。
・不眠症や過眠症(過剰に寝る)。
・疲れる。無気力。
・自分が役立たずのように感じる。恥ずかしさや罪悪感。
・集中したり決断を下すことが困難。
・自分と/もしくは赤ちゃんに危害を加えたり、消え入りたいと思う。

産後うつ病にひとつのはっきりとした原因はありませんが、原因となり得る複数の要因はあります

・出産前と後には、女性はたくさんの身体的な変化を体験します。ホルモン値が変わり、血圧も落ちるかもしれません。これらはすべて、疲労や気力のなさにつながることがあります。

・子供を生むことに対する不安や乳児の世話をする能力、恋愛関係における変化、身体イメージの変化、経済的なストレス、あまりサポートしてもらえなかったり、ストレスの多い人間関係などの精神的な要因も、なりたての母親の精神的安定に影響を及ぼします。

・うつ病や双極性障害の病歴を持っていたり、家系にうつ病や双極性障害の人がいたりすると、産後うつ病を発症する原因となるかもしれません。

多くの場合、女性は「これらの感情を振り払う」ことができないことに対して恥ずかしさを感じ、自分がなぜそのように感じているのかを理解することができないことがあります。非難されたり責められたりするかもしれないことへの恐怖から、彼らは誰にもそのことを打ち明けず、このつらい時期をひとりで耐えることが多く、それから落ち込んだ気持ちがさらにひどくなる場合もあります。

産後うつ病は治療を受けずに放置されると、日常生活を送ることが困難になり、母親と子供の絆を築いていく工程の妨害となることがあります。他の人からの批判や社会的支援の不足、強い罪悪感は、女性が助けを求めることをやめさせてしまいます。もし上記の症状がひとつでもあれば、なるべく早いうちに医療従事者に連絡をし、治療を受けることが重要です。

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