認知症の行動変化にどう対処すればよいのか

認知症は、人の人格に大きな影響を与えます。不安感、喪失感、混乱、失望感などを感じさせることがあります。

認知症の人は自分自身でこうした気持ちに自分自身の方法で対処することができますが、以下に示すように、認知症の人に共通した特定の行動があります。

・質問を繰り返ししたり、同じことを何度も何度も繰り返す
・徘徊、歩くペースを早くしたり遅くしたりする
・攻撃性、叫び声をあげたり、怒鳴ったりする
・他の人を疑うようになる

こうした行動を自分がしていたり、このような行動をしている人の世話をしている場合は、患者が自分でどう感じているかを伝えようとしているということを思い出すことは重要です。患者はわざと気難しくしているわけではありません。自分が落ち着いて、認知症患者がなぜこのように表現しているのかを紐解くことができれば、患者を落ち着かせてあげることができるでしょう。

早期の警告サインを認識していた場合、行動変化が爆発的に始まることを予防することができるかもしれません。気晴らしは患者のエネルギーをどこかに集中させることができ、患者が挑戦的な行動を取ることを防ぐことができるという人たちもいます。

医師は認知症患者が気持ちに対処することに役立つ、行動療法を勧める場合があります。こうした療法はわかりやすいものであるかもしれません。例えば、認知症患者がある行動をとる場合に、患者は退屈していて、エネルギーが有り余っていれば、日常生活に定期的な運動を加えれば、患者の抱える問題を両方とも解決することができるかもしれないのです。

認知症の反復行動

認知症の患者は、よく質問を繰り返したり、ある行動を何度も何度もくりかえすことがあります。そうしたことが起こる理由には次のようなものがあります。
・記憶障害
・退屈
・不安感
・薬剤の副作用

患者が退屈していると思う場合、患者が楽しめるもの、例えば音楽を聴くなどに患者を参加させましょう。認知症の患者の多くは、一定の時点で不安感を感じており、付き添っている人の愛と支援によって安心させてあげる必要があります。患者が服用している薬剤が気になるようであれば、医師に相談しましょう。

認知症の患者にとって、徘徊や歩くペースを上げたり下げたりすることは一般的な行動です。一定の段階にある認知症の患者にとって、歩くペースを上げたり下げたり、家から遠くまで歩いていってしまうことはよくあることです。この段階の症状は、通常さほど長い間続くわけではありません。

認知症の患者が徘徊したり、歩くペースが早くなったり遅くなったりすることは不思議なことではなく、患者が家を離れる理由は、お店に行ったり友達に会いに行ったりなのでしょうが、単にどこに行こうとしているのか忘れてしまうのです。退屈しているかもしれませんし、家で座っていることが不快で、少し運動がしたいのかもしれませんん。または、単に自分が何をすべきなのか、またどこに行くべきなのかについて、混乱しているのかもしれません。

患者がどこかへ行こうとしているのに気が付いた場合、付いていって道案内してあげれば、最後に患者が困らなくてすむようにできます。

信頼できる近所のお店の店員や近所の人に、認知症であることを話すことを恐れないでください。近所の人たちが患者の行動が心配な時に連絡が取れるように連絡先を渡すのもよいかもしれません。幸運な場合、認知症にやさしいコミュニティーの一部である場合もあります。

追跡するための機器や警報機の利用は、全ての心配を解決するものではありませんが、心にゆとりを与えてくれるものになるかもしれません。

認知症患者は攻撃的である

攻撃的行動は認知症の症状として知られているものです。これはその患者の性格と全く違う場合には、特に恐ろしく動揺させられます。愛する人の性格が変わることは苦しいことで、記憶障害よりもはるかに動揺させられるものかもしれません。

攻撃性で最も一般的なものは、叫ぶ、怒鳴る、汚い言葉を使う、ずっと人を呼び続けたり、同じ言葉を叫んだり、繰り返し怒鳴ったりすることです。

認知症患者による攻撃的行動には以下のように沢山の原因があります。
・恐れや屈辱
・特定の状況での失望
・欝
・自分を表現する方法が他にない
・判断力がない
・抑制力の欠如、自制心の欠如

攻撃的行動の誘発要因となったものは何なのかをノートに書くことには価値があります。これは、試行錯誤ではありますが、誘発要因が特定できた場合は、それを避けることができます。

一連の攻撃的行動の間、患者と口論したり、攻撃的なポーズをしたりしないようにしましょう。そうしてしまうと、状況を悪化させることになり、患者に暴力を振わさせてしまうかもしれません。そんな時は、10まで数えたり、その場から離れたりしましょう。自分を落ち着かせるためには、攻撃的行動が個人的または意図的に思えたとしても、これは病気のせいだということを覚えておきましょう。

患者が落ち着いたら、普通通りにするようにしましょう。患者は攻撃的行動のこともすぐに忘れてしまうかもしれませんし、ばつが悪く感じるかもしれません。普通を装うことで、先に進むことができます。

攻撃的行動への一番簡単な解決法がある場合もあります。例えば、常夜灯をつければ、夜間の不安感が少し和らぐため、あまり患者が叫びだそうとしなくなるかもしれません。

認知症の患者は他の人を疑うようになってしまうことがある

認知症により、非常に疑い深くなってしまう人もいます。これは記憶障害、親しい人の顔を認識する能力の欠如、脳の病気の影響による一般的な混乱が原因の可能性があります。

あなたが面倒を見ている患者は、自分の持ち物が盗まれたと、あなたを責めたり、近所の人や友人を責めるかもしれません。患者はみんなが自分のものを盗むと信じています。物をなくした場合、患者はパニックになったり、泥棒に盗まれたんだと自分に言い聞かせます。患者の行動は、被害妄想や偏執症にように見えますが、患者の面倒を見ている人は、患者には本当にそう感じているんだということを覚えておきましょう。

患者が何を心配しているのかを聞いて、落ち着かせ、患者の言う疑念が根拠がないものだと確信したら、話の話題を変えてみるようにしましょう。

認知症に関連する行動の薬物治療

患者の行動が過激である場合、例えば、患者本人や他の人に有害である場合で、患者を落ち着かせる他の全ての方法を試した場合は、医師は薬剤を処方することがあります。

認知症の行動的症状を管理するために役立つ情報や、その薬剤の副作用が心配な場合は医師に相談してみましょう。

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